元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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投稿が遅くなって申し訳ございません。

バイトに講義と新しいリズムに慣れなかったというのと執筆意欲が極端に少なくなってしまったのが原因でした

次話はなるべく早く投稿できるように頑張ります


日常の一幕その1

8月9日、そろそろ夏休み中盤も抜けつつ終盤へと差し掛かっていた。具体的には2週間を切り、残るは12日となっていた。楽な時間程過ぎ去るのは早く、そしていつまでも満喫していたいと思うのは誰だって思うことだろう。俺、鏡野七実もそう思う1人である

 

「はぁ・・・」

 

「どうしたの?」

 

椅子に座り、紅茶を飲み、ただただ暇を潰していた。簪は出かけておりいないが同じ部屋にはシャルロットがいる。1つ溜息を吐き、退屈そうに見えてしまったのだろう。実はそんなことはなく夏休みを満喫しているだけなのだ

 

「いや、どうもしないぞ」

 

「だったら溜息なんてしてるの?」

 

なんてとはなんだよ、と物申したい。どうでもいい雑学ではあるが溜息は自然にできる深呼吸であってリラクゼーション効果があるんだぞ。まぁ、人前でするなと言われればそこまでなのだが。

 

「課題も終わらせてやることもやったし、来週は念のために予定は空けておくとして・・・引きこもりしすぎるとやることが無くなるな」

 

この部屋に置いてあるゲームは簪の物なのだが許可を貰ってやらせてもらっているが、やりすぎてしまいいくつかクリアしてしまったものもあったものもある。個人的にはT〇Lが気に入ってしまった。王道のRPGではあったがメインシナリオの他に他のキャラのシナリオも存在しており、どういう経緯で今までを生きて、これからを生きていこうとするのかというのが個人的には好きになった。文句を付けるとしたら戦闘システムだけだろう

 

「んー・・・今日は風もあって涼しいから外に出かけてみる?」

 

「特にやることもないが何しに行くんだ?」

 

俺がそういうとシャルロットは顔を赤くし、俯きながらこう答えた

 

「えっと、その、付き合い始めて2人っきりでデートしてなかったから・・・ダメ、かな?」

 

確かに暇があったら何人かでデートすることはあった。その代わり1対1でのデートはまだ誰とも経験したことはなかった。あくまでも平等に、としてきた結果がこれだから仕方ないと思う。だから今回の場合もまた平等にと考えてしまった

 

「んじゃ、これから用意するか」

 

「いいの!」

 

「いいのもなにもシャルロットは行きたくないのか?」

 

「ううん、それじゃあ僕も用意するね!」

 

ここ最近は本当に専業主夫化しつつあったせいか、出不精となっていた。もちろん自分を鍛えるために筋トレだとか1人でできる範囲はしていた

 

そんなこんなでIS学園から離れ、街中まで来ている。シャルロットの服装は白いノースリーブに青いスカート、胸元にはISの待機状態であるオレンジ色のネックレス。服とかはよくわからんがよく似合っていると思う

 

「んで、どこにいくとかは決めてるのか?」

 

「特に決めてないよ。七実は行きたいところとかってある?」

 

ここら辺の地理はさっぱりなもので、どこに何があるとか目的の場所が分からん

 

「俺も特にない。適当にぶらついて良さそうなところがあったら入ってみる感じにするか?」

 

「そうだね」

 

特に行く先は決めないが自由気ままに歩いては、スマホで地図を確認しながらこの先に何があるのかというのを調べながら道を進んでいく。互いに手を取りこの先の道を適当にぶらつくが特に店に入ろうとはせず、本当にただひたすら景観を楽しんでいるだけのようだ

 

「ちょっとこの公園に入ってみてもいい?」

 

駅から離れてしばらく歩いたところで一つの公園の前で止まった。この公園には大きな池があり、手漕ぎだか足漕ぎのボートで遊べるというのがウリだそうだ

 

「別に構わないぞ。ここにはボートがあるそうだ」

 

「ボートね、それじゃあ乗ってみようか」

 

池の近くに向かうと足漕ぎボートの代名詞とも言えるアヒルボートは既に使われており、残っているのは手漕ぎボートしか残っていなかった。仕方なく手漕ぎボートを選択し、料金を払い乗り出す。水面上にあるせいか、不安定だったため先に乗ってある程度安定したところでシャルロットに手を差し出す。目を見開いて少しだけ動きを止めたと思えば、今度は頬を緩め、手を取ってボートに乗った。まったくどうしたんだか

 

「ありがとうね」

 

「あいよ」

 

出始めるまで、ろくに顔を合わせることなくそっぽ向いたままだった。ボートを出して少しするとこちらに向き直りまじまじとこちら見てくるシャルロット

 

「ほんと、七実ってズルいよね」

 

「何がだよ」

 

「さっきのだよ、さっきの!手を引いてくれたのは嬉しかったけど、今までのことを思い返したらあんなことしないと思ってたからさ」

 

今までの出来事を思い返すがそうとしか言い返せなかった。助けようと思ったが1度突き放したりしてたしな。それでも俺が悪いとは言わないけどな

 

「・・・でもここ最近の七実は変わったと思うよ。優しくなったというかなんというか」

 

「そんなわけないと思うんだが・・・まぁ、でも、シャルロットが近くで見て感じたならそうなんだろうな」

 

自分では変化なんてわからないが、他人がそういうのだから少しは変わったのだろう

 

「正直な話、俺が変わったなんて分からん。だが変わったのであれば、それはシャルロット達がいてくれたからだろう。ありがとうな」

 

「僕たちと七実の間柄でしょ。たまーに偏屈なところもあるけど、それも七実の1つなんだから僕も向き合っていかなきゃね」

 

「そこまで偏屈か?」

 

「僕が編入したてはだいぶ偏屈だったと思うけど」

 

思ったことをはっきりと伝えるのが悪いことなのだろうか。むしろ、いいことなのではないだろうか。思いは言葉にしなければ他人には伝わらない。それが悪いことであろうとだ。隠し事は流石に除くが

 

「でも、今思えばあれは僕たちが悪かったから受け入れるしかなかったんだけどね。そして、僕に居場所をくれてありがとうね、七実」

 

「へいへい」

 

適当に返事をしたが、内心はとても恥ずかしくあるのだ。意図してしなかったからか、突き放したせいかまさか自分がそんな立ち位置になるとは思わなかった

 

「ふ~ん、素っ気ない七実、顔真っ赤」

 

「うっせ、ニヤニヤしながらこっち見んな」

 

内心だけではなく顔にも出ていたようだ。まったくこういうのはやめてほしいものだ。弄るだけ弄った後、シャルロットは何かを探すように周囲を見回していた

 

「何か探してるのか?」

 

「露店のクレープ屋さんをね。ちょっとした噂なんだけど、ミックスベリークレープを食べると縁起がいいって話を聞いてね。あるなら食べたいなーと」

 

「露店のクレープね、そろそろいい時間だし適当に昼食がてら探しにいくか」

 

「ん、ありがと。安全に漕いでね」

 

んなこと分かってるっての。こんな時に水に落ちたら最悪だ。事故が起きることなくボート置き場まで到着し、ボートから降りてこの公園から出ることにした。スマホで今いる公園付近の飲食店を検索してみると割と少なかった。多分だがモノレール駅からすぐのところにあるレゾナンスに客を取られ、閉店してしまった店も多かったのだろう

 

「適当に検索してみたから、どこにするか決めるか」

 

「うん、そうだね。ちょっと僕にも見せて」

 

横並びでスマホを見ながら歩いているとシャルロットが1つの店を指さしていた

 

「この『@クルーズ』って店に行ってみたいんだけどいいかな?」

 

「別に俺はどこでもいいぞ。食えればどこでも変わんないだろうし」

 

「料金が馬鹿のように高いかもしれないよ?」

 

そんなぼったくりみたいな店だったら嫌だが、こうしてネットに出回っているのだからそんな心配はいらないだろう。その『@クルーズ』という店までのルートを検索してみると歩いて10分ぐらいのところにあるらしい。銀行や郵便局を通り過ぎ、行きついた先にはオープンテラスのある大きめのレストランがあった。看板にはでかでかと『@クルーズ』と書かれているためここで間違いないだろう。店の中に入ると目に入ってきたのはホールで働いていたメイド服を着ている女性と執事服を着た男性が数人ずつ。。ヴィジュアル系に特化した店なのだろう、とこの時は頭の片隅に置いておくことにした。店員に案内されるままに小さいテーブルに到着し着席した

 

「さてと、何にすっかね」

 

「どうしようね。種類多いから悩んじゃうね」

 

「こういうのは食いたいものでも食っとけ。俺はカルボナーラで」

 

「いくら何でも早すぎない?まぁ、いいや。えっとね・・・」

 

「俺が決めんの早いだけで時間はまだまだあるんだ。だからゆっくり決めていいからな」

 

俺1人ならこれでいいんだろうが、俺以外がいる場合はもっと周囲に合わせた方がいいのだろうか。そんなことを考えているとようやく決めたようで注文するボタンを押していた

 

「はい、ご注文をお伺いいたします」

 

「海老とクリームトマトのパスタを1つ」

 

「あと、カルボナーラ1つ。以上で」

 

「かしこまりました。少々時間が掛かりますのでご了承ください」

 

そんなものだろうと思うがそれにしても、周囲が賑やかになっていた。時間的にもいい頃合いだったようで客入りも良くなってきたのだろう

 

「人が多くなってきたね」

 

「だな。飯処はこんなもんだろうけど、やっぱり人が多いのは慣れねぇわ」

 

「でも、これからは慣れていかなきゃいけなくなるんだから少しずつ慣れていこうよ」

 

そんなことは百も承知だ。この先でも人間関係は生まれてくるだろうけど今のうちはある程度選ぶ余裕はあってもいいだろう。少なくとも敵対及び険悪視する輩とは上手くやるつもりもするつもりはないけどな。鈴だったりラウラだったり本音の友人である相川達ならまだ何とかできそうだが。シャルロット的にはそういうことを言っている訳じゃないってのも分かっているがどうしてもそういう考えになってしまう

 

「へいへいっと。とはいえ、勝手に敵対視してくる奴らなんかと慣れあうつもりなんて無いけどな」

 

「うん、知ってる。僕だってそういう人とは関わりたくないよ。ましてや、その相手が七実だったら余計にね」

 

慣れなきゃいけないって話なのに関わりたくないって・・・あくまでシャルロットの話か。俺との関係はあるものの、なんだかんだで交友関係は広いのか

 

「あー・・・でも、矛盾するなー・・・」

 

「何がだよ?」

 

「あ、いやね、七実にも交友関係を持って欲しいけど、それと同じぐらい反対の気持ちがあったりするかな。簪曰く、なんだかんだ先生?だとかでフラグがなんとからしいから」

 

絶句だよ。何が絶句かって、俺はあそこまでフラグ乱立させたり強くもカッコよくもないっての。なんだかんだ先生(モテ眼鏡有)だなんて俺は認めたくないぞ。それと簪、余計な知識を吹き込むんじゃないっての

 

「そこまで心配するようなことか?」

 

「僕たちは心配なの!意図してないからこそ可能性としてラウラだってあったんだし、これからも増えちゃうかもしれないんだから!」

 

さすがにこれ以上、増やしようが無いということは考えていないだろうか。現状ですら4人と関係を作っているダメ人間だと思っているほどだというのに、これ以上増やせるかっての。そんな話をしていると注文した品が来た

 

「お待たせいたしました。ご注文の品をお持ちいたしました」

 

「美味しそうだね」

 

「だな、今度作れるか挑戦してみるか」

 

今のご時世、大概の物はインターネットで検索すると簡単に見つかるものだ。ましてや、料理のレシピなんて以ての外だ。簡単に見つかるだろう。今後、やってみることを考えているとシャルロットが浮かない顔をしていた

 

「七実って色んなことできるよね。僕もそこそこ料理だとかできるけど、七実ほど手際よくできないもん。羨ましくもあり、悔しくもあるなー」

 

「悪いけど他人に教えられる程では無いが、見て覚える分には別に構わんぞ。なんなら、一緒にやりながら覚えるのも手だと思うし」

 

「なら、お願いしてもいいかな?」

 

「どんとこい。とはいえ、時間に余裕がある時に限るからな。じゃないと構ってらんないし」

 

こればかりはしょうがないことだ。人は基本的に何かをしながら作業では物事を教えることができないのだからこれくらいでいいだろう。言い方が最悪かもしれんがな。のんびりと昼食を摂るが、こういう風に落ち着いて過ごせるのは素晴らしいことなんだろう。俺としてこんな日々であればストレスを感じずにいられたのだろうか

 

「ん・・・なんか外が騒がしくないか?」

 

「そう?」

 

微かだけどサイレンのようなものと乾いた破裂音。今年になって妙に聞き慣れたような、それでもってここ最近聞いたような音だ。この平穏も束の間、昼食を摂っていたシャルロットにも聞こえたようだった

 

「どんどん近づいてきてない?」

 

「だな。まったくもって騒々しい」

 

だが、次の瞬間には最悪の瞬間が訪れたのだ

 

「全員、動くんじゃねぇ!」

 

ドアを蹴破らん勢いで雪崩れ込んできた男3人組。1人は小さく、1人は横に太く、最後は高身長。左手にはトランクケース、右手には銃器、顔面には覆面。ハンドガンにサブマシンガン、極めつけにはショットガンなんて持ち込んでいた。この日本にどうやって持ち込んだんだか。店内の全員が何が起きているのか理解できていないようだったが、銃声によって絹を裂くような悲鳴が上がっていた

 

「日本って安全な国なんじゃなかったっけ!?」

 

「比較的安全なんだろ。この国でも死傷事件は発生するっての!」

 

身を隠すためテーブルの下に隠れるが脳裏に、ふとあることが思いついた。身の安全を守るためならばISを展開してもいいはずだ。むしろ、この状況で展開したことを咎める奴はいないだろう。念のためにシャルロットに確認を取っておこう

 

「シャルロット、1つ聞きたいことがあるんだがいいか?」

 

「こんな緊急時に下らない事じゃないよね?」

 

「んなもんかよ。専用機持ちってこういう時、ISを展開してもいいんだよな?」

 

「するつもりなの?」

 

流石に銃器持ちを相手に素手だけで立ち向かうなんて創作の中だけで十分だ。瞬間的に展開すればトリックなんてわからないだろうし、最悪頭部にぶち込まれなければ死にはしない。一応ISスーツも着ていることだしな。吸汗速乾な上に防護機能満載というチートアイテムを使わない手は無いだろう。現に活躍しそうだってのに

 

「あくまでこの状況から脱するためだけにだ。しかも、相手は銃器持ち。使わない手は無いだろう」

 

「それじゃあ大騒ぎだよ?」

 

「んなことは分かってる。だから、ある程度は手は打つし、それまでは何もしない。やられたらやり返す」

 

まったく、と溜息交じりでそう言うがどこかシャルロットも一応の納得はしてくれたようだ。外からは旧時代的な警察の対応が聞こえるが銃器を持った3人組を刺激している。刺激してしまえば更なる危険を生み出してしまう可能性だって・・・

 

ドスンッ!

 

警察の煽りを一喝するように店の天井に向けてショットガンを1発ぶち込んだ。それを見た周囲の客は更なる悲鳴を上げた。俺やシャルロットはIS操縦者ということもあってか、あまり動じなかったがこういう時に動じないって相当狂ってるんじゃなかろうか。そんな考えは放っておいて、どうやらショットガンを持っている奴は短気なようだ。いや、マジでどうするか迷う。こんな時、相棒(ラウラ)がいたのなら簡単に事が済んだのだろうと勝手ながら予想してしまった。

 

「さてと、どうすっかね。銃撃沙汰だけは避けたいがどうしようもないし、これ以上傷を増やしたくないしな。ま、なるようにしかならんか」

 

「怪我なんてしたら承知しないからね」

 

「無茶難題過ぎるだろ。とりあえず頑張ってみるさ」

 

この場から離れようと立ち上がると長身の男が近づいてきた

 

「おいテメェ、何立ち上がってんだよ」

 

「すみません、どうも朝から腹を下しておりまして、どうしてもトイレに行きたいのですが・・・」

 

「リーダーどうします?」

 

「あぁ?お前もついていけばいいだけだろうが、逃げだそうもんなら見せしめとして人質を殺すからな」

 

そう思われても仕方ないだろうさ。これからするのは逃亡なんかではなく制圧なんだけどな。銃を突き付けられながらトイレに向かう訳なのだが、ガラス越しから見える外には警察の包囲網があったがこうして見える状態は最悪だろう。扉を開けてトイレの中に入ると外から見えないような構造となっていたのは好都合だ

 

「さっさと済ませろよ」

 

「分かりました。んじゃ、さっさと済ませますねっ!」

 

ハンドガンを持った長身の男が目を逸らした隙に、左フックを顎を掠めるように放つ。微かに感じる骨の感触から手応えはあった。現に目の前で脳震盪を起こし倒れていた。まずは1人目を撃退したわけなのだが、回復されて撃たれるのは最悪なので弾倉を取り出してから銃器に残った弾丸を吐き出させる。これで完全に無力化できただろう。弾倉を手に持ち投擲できるようにしておこう。約6~700gの弾倉を投擲して当たれば痛いなんてものじゃないだろうけど、そこは相手方の自業自得である

 

「おーい、まだ入ってんのかー?」

 

と、突然扉が開いたのだった。目の前にはサブマシンガンを持った小さい男がいた。ばっちりと目が合ってしまった。俺の足元には脳震盪で気絶しているお仲間が1人いるのだから、銃殺待ったなしである。そうなる前に先に動き出して蹴り上げてしまった

 

「―――――ッ!?」

 

小さい男は声にならない声を上げて人体の急所を押えていた。もちろん武器を放してだ。蹴り上げた場所は男性における、最大の急所である睾丸だ。俺自身もあまりしたくなかったが、とっさのことでやってしまったのだ。後悔はしてない

 

「わりぃな。でも、悪いのはそっちなんだからな?」

 

相当な勢いで蹴り上げたせいか、その場から動けなくなってしまった小さい男をトイレに放り込んでおくことにした。店内を見回すが、外のサイレンのせいなのか難聴なのか、こっちのは全く聞こえていなかったようで安心した。しかも、その場から一歩も動こうとはせずカウンターから動こうとはしない。隠れるようにトイレからでて近づく。多少の重量がある弾倉を思いっきりぶつければ真っ赤な華が咲き乱れる(たいへんなことになる)ことになりかねないので、あえて手首のスナップを利かせる程度で投げた

 

「あぁ?テメェ戻ってきガァ!?」

 

「適当にくたばっとけや!」

 

投げた弾倉が見事にクリーンヒットし、その場で仰け反った。そこを思いっきり跳躍し鎖骨及び顔面にドロップキックを喰らわせると何回転か転がった後に壁にぶつかった。念のために鳩尾に追撃をかまして動けないようにした。正確に言えば呼吸することを困難にさせただけなのだが

 

「店員さんガムテープありますか?」

 

「ガ、ガムテープですか?探せばあると思います」

 

「なら早急に持ってきてください。縛って、突き出して終わりにします。男性の店員はトイレにいる無力化させた2人を押えつけといてください。動かれても面倒ですし、武器は放しておいてあるんで馬乗りで大丈夫だと思います」

 

顔を引きつらせながら、わかりました、と一言告げて店員に指示を出していた。トイレの2人には検査はしてなかったが念のため服の内側を見てみることにした

 

「・・・・・・シャルロット、来てくれ」

 

「ん、何って・・・この強盗ってバカなの?」

 

服の中を見てみるとそこには爆発物が大量に仕込まれていた。横に太く見えたのはこれのせいだったのか、と。服を剥ぎ取り、その服で手足をきつく縛り上げてから一つ一つ丁寧に爆弾を取り外していった。隣で爆弾を俺から受け取り床に置いていく姿は、後ろから聞こえる小さな悲鳴が証明してくれている。ISに慣れすぎた弊害なのだろうか、手荒くしなければ起爆しないというのが分かっていること自体がおかしいのだろう

 

「ガムテープ持ってきました!」

 

「あざます。手足縛ったら裏口借りていいですか?さすがにここまでやったんで騒ぎになりたくないんで」

 

「それくらいならお安い御用です。その前にお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

 

ここで名前を出すのは面倒事になりかねない。いる場所が場所だから面倒事が増えてせっかくの休みが消えてしまうかもしれない、というのが頭をよぎった。ここは適当に流すとしよう

 

「そこらへんにどこにでもいるただの一般人ですよ。少しばかりこういうのに慣れてるだけなんで」

 

横からは、そんな一般人がいるかという視線が送られてきているが無視させてくれ。爆弾を取り終えたところで手足をガムテープで縛り、トイレの2人組も縛っておいた。これでもう大丈夫だろう。俺たちはさっさとこの店の裏口から出ることにした

 

 

 

「お疲れ様」

 

場所は海辺にあるベンチで先ほどの事件の疲れを取ろうとしていたところだ。店の裏口から出たものの周辺には警察がいたものでどう逃げたものか、といろいろ走り回って今に至る訳なのだが如何せん走りすぎた

 

「全くだ」

 

「ドイツに行った成果が現れてるのかな?」

 

「だといいんだけどな。あいつだったらもっとスマートにやってたかもな」

 

「あはは・・・そのビジョンがはっきり見えるよ」

 

日も陰りを見せて、夕暮れ時だ。時間が経過するのが早くそろそろ簪も帰ってくる頃合いなのだろう。夕飯の準備もせねばな

 

「あ、あそこにクレープ屋が、行ってもいい?」

 

「いいぞ。でも、そろそろ寮に帰るからな。夕飯の支度もしなきゃいけないしよ」

 

「わかった。それじゃあ行こ!」

 

シャルロットは俺の手を取りクレープやのところまで走っていく。少しは歩かせてくれと言いたいところではあるがシャルロットが楽しそうなんでいいか。クレープ屋のところまで来るとイチゴやらバナナ、黒蜜きな粉、ブルーベリー等々の約20種のメニューが勢揃いしていた

 

「おじさん、ミックスベリーってありますか?」

 

「ん・・・あぁ、悪いけど今日、ミックスベリーは終わっちゃったんですよー」

 

店員の回答に落胆するシャルロット。目的の品が無かったのがそんなにも悔しいのか。しかし、ミックスベリーねぇ・・・

 

「んじゃ、イチゴとブルーベリーを1つずつ」

 

「はい、わかりました」

 

そもそもメニューにはミックスベリーのミの字もない。なぜシャルロットは無いものを注文したのだろうか

 

「シャルロット、適当に席取っといてくれ。そして奢らせてくれ」

 

「え、でも僕が来たかった場所だし」

 

「いいから、卑怯かもしれんがここは花を持たせてくれや」

 

戸惑いながらではあるが了承してくれたようで視界に映るベンチに座って待っていた

 

「君はこのダジャレに気づいたのかな?」

 

「ストロベリーとブルーベリー、メニューには無いけどヒントはあるみたいな一周回って回りくどいですね」

 

「失礼な、これでも業績を上げた魔法の呪文なんだけどね」

 

その氷菓をアイスクリーム(I Scream)みたいなダジャレは。個人的には氷菓好きだけどさ。食う方も見る方も

 

「はい、お待ちどうさん。彼女さんにできるといいね」

 

「あ?」

 

店員の言っている意味が分からんが料金を払ってクレープを受け取りシャルロットのところまで戻った

 

「ありがと、このお店だったけどもっと早く来なきゃダメだったかー」

 

「そういや、なんでミックスベリーなんだ?」

 

「七実には話してなかったね」

 

シャルロット曰く、縁結びだとか。なんでも好きな人と食べるとその恋が結ばれる、永遠に続くと。ならばしょうがないと思えてしまった。あの店員は頑張ってと応援していたのか。無論される必要は全くないわけだが

 

「ほれ、一口食うか?むしろ食うことを推奨する」

 

「推奨するんだ・・・そ、それじゃあご相伴に預かりましてっと」

 

俺の持つブルーベリーのクレープを1口パクリと食らう。これでシャルロットは食えたわけなのだが、気づいているだろうか?

 

「七実もこっち食べる?」

 

「おう、いただくわ」

 

たぶん理解していないみたいだから追及はしないでおこう。シャルロットの持つイチゴのクレープを1口食らう。ほんのりと口の中に広がるイチゴの甘さがとてもいい。その後食べ終わりIS学園へと足を向ける。何も無い道のりではあるがシャルロットとの思い出の1つとして残るだろう

 

 

 

無事IS学園に到着し、自室に入るのだが既に簪が帰っていたのである。ベッドに腰かけながらどこか物寂しそうに

 

「たでーまっと」

 

「おかえり七実とシャルロット・・・どこか行ってたの?」

 

「あー・・・っと、えっと・・・」

 

「デートに行ってた。10時頃から今まで」

 

言い淀むシャルロットをよそにきっぱりと簪に伝えると、それはそれはまるでリスのように頬を膨らませていた

 

「むー・・・シャルロットだけズルい・・・私も行きたかった・・・!」

 

「なら行くぞ。さすがに今日は無理だが明日とか明後日なら大丈夫だしな。誰か一人を特別扱いはしないっての。シャルロットも簪も本音も楯無も、それぞれでちゃんとした思い出を作りたい」

 

今回のデートはそういう意味合いも込めていたのだ。今回のトップバッターはシャルロットだっただけで次回は簪になるのだろう。言いたいことをキチンと言えたわけだが、簪が俺に近づいて軽く胸を叩いてくる

 

「なら、七実から誘って・・・私もちゃんと答えるから」

 

「はいはい。簪、今度俺とデートしてくれるか?」

 

「うんっ!」

 

答えるなり、そのまま抱き着いてくる簪。放すこともせずただ抱き寄せ満足するまでそのままでいることにした。シャルロットには苦笑いだったようだけども。さて、簪とはどこに行くとするか考えますか

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

というわけで夏休み編最後を飾るは各ヒロインとのデートにございます

一応順番は

シャル、簪、本音、楯無、夏祭り(虚)となっております
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