Monsters Life   作:究極極彩色ナメクジ

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ハンターを絡めすぎたりするとモンスターの描写がおろそかになってしまうようです。
まあ、ひとえに要約力といった文才が欠如しているからですが。
これからも頑張らせていただきます。
でわどうぞ。


No.3 影と骸と狩猟奏(終編)

轟音が響くたび、人々に悲鳴が上がる。

 

ネルスキュラ亜種の半成体とフルフルの半成体に加え、イーオス及びそのボス、ドスイーオスの戦いに巻き込まれ、立ち往生した商隊は、エリア8の隅で身を寄せ合って恐怖におびえていた。

戦いが終わるにしろ長引くにしろ、消耗した体力を補給するためにモンスター達は自分たちを捕食するのは目に見えている。

途中まで護衛していたハンターは、ここへ来る道中、ぎしりときしむ音と共に突如として消え失せ、ここに身を守る術のある者はいなかった。

今でこそモンスター達は目の前の「敵」に意識を向けているが、それも長くは続かない。いずれは自分たち「餌」を喰らいに来るだろう。そんな恐怖が、人々を包み込んでいた。

 

そんなさなか、フルフルの放った雷球が流れ弾として近くの岩に直撃する。轟音と共に岩が砕け散り、人々からより一層色濃い恐怖の悲鳴が上がった。

 

人々に恐怖が最高潮に達したその時、ついにドスイーオスが地面に倒れ伏した。ボスを失ったイーオスの群れは、蜘蛛の子を散らしたように逃げていく。その内の数匹が、商隊の方に迫っていた。

五匹ほどのイーオスは、逃げる方向に群れていた障害物を、あわよくば食らおうと牙を剥く。

 

「逃げる方向を間違っているぞ、赤トカゲ。」

よく通る声と共に、一人の男が商隊の前を通り過ぎた。直後、前衛にいた二匹のイーオスの頭が、その体色よりも赤い血を吹きだして地面に転がった。

あまりに唐突な出来事に、後ろの三匹が怯んだ刹那、巨大な棒が、一気に三匹を薙ぎ払った。

 

瞬く間にイーオスの小隊を壊滅させたのは、W男と少女である。W男がドヤ顔を浮かべているのに対し、少女は不満気な顔をしていた。

「なにが「逃げる方向を間違っているぞ、赤トカゲ。」(ザシュッ)ですか!黙って斬り伏せたら、一人でももう少しサクッと倒せたでしょう!?」

少女のツッコミに対し、W男は苦笑いをして「すまんすまん、つい。」と謝罪を述べた。

「ちょっとかっこつけたかっただけだ、気にするな。」

 

強力な二人のハンターの登場に、人々の顔に希望が宿った。

「すいません。イャンガルルガをふり切るのに時間がかかってしまいました。」

「テツカブラの大岩が奴の視界を遮ってくれたからよかったものの・・・・」

そして二人の言葉に、状況が極めて芳しくないことを思い知ったのであった。

 

 

邪魔者のいなくなった骸と影の戦いは一層激しさを増した。尋常ではない機動力をもつネルスキュラ亜種は猛攻を仕掛け、驚異的な雷の制御力をもつフルフルは見事にそれを迎え撃つ。

 

目の前の敵しか見えていない今が好機と見た二人は、意識を向けられないよう少人数ずつ皆を逃がそうと行動を起こした。・・・・・が。

 

ドサッ・・・・・・・

 

上、エリア6につながる崖から、もう一人のハンターが落ちてきた。その男は背中を地面に強かに打ち付けたにも関わらず、気にするそぶりを見せずに立ち上がり、手に持つ棍を強く握り、後ろに跳んだ。

 

ズゥゥゥゥゥン・・・・・・・・・

 

直後、男がさっきまで立っていた所に、青黒い甲殻と、緑の粘液を纏った巨大な影が降り立った。

後を追うようにして降って来たのは、件の巨大蜘蛛、常闇のドレスメーカーであった。タイミングの悪いことに、そこは避難のために通ろうとしていた場所だったのだ。

「チッ・・・!」

予想はしていたが、あまりのタイミングの悪さにW男は思わず舌打ちをする。

なんとか撃退しなければと太刀を抜きはらい、巨大蜘蛛と対峙する。

 

常闇のドレスメーカーの特徴は、人間以外で唯一、様々な”装備”を作り出すことにある。今回の装備は砕竜ブラキディオスの甲殻と粘菌を用いた、【黒燿・エクスプロ】奴が火山にいた時に発見され、名付けられた形態だ。

W男はちらと横を見る。男が持っている操蟲棍は爆破属性の爆棍エレクレット。操る虫は火属性を持たせている。ひょっとしたら相手の属性に合わせて装備を変えたのか、とW男の額に冷や汗が流れる。

男はそんなことは考えずに操蟲棍を使って跳ね、常闇のドレスメーカーに襲い掛かる。最悪の相性で特攻なんて正気の沙汰ではない。W男は仕方なく男のサポートに回った。

 

少女は人々の護衛に回りながら、そんな二人を支援すべく旋律を奏でる。

♪全状態異常無効

♪精霊王の加護

♪状態異常攻撃強化

狩猟笛の摩訶不思議な効果により、二人に様々な効果が出る。笛使いが少数派なのには、この癖も多さも関係しているのだ。

 

W男の一閃が、黒曜石の外殻を斬る。刹那、常闇のドレスメーカーは大きくバックジャンプしながら二つの糸拘束弾を放った。

強靭な糸がW男と男の自由を封じ、その隙にドレスメーカーは触肢に粘菌を纏い、二人を一撃のもとに亡ぼそうとしていた。

 

「ゴァァァァァァァァッッ!!!!」

二人に向かって振り下ろされた触肢は、虚空を断った。爆破性の粘菌が無意味に爆発する。ネルスキュラ亜種に吹っ飛ばされたフルフルがぶつかってきたことで、二人は偶然難を逃れたのである。

 

ドレスメーカーは自分の攻撃の邪魔をされたことに腹を立てたのか、フルフルに飛び掛かる。吹っ飛ばされた直後のフルフルに避けるすべは無かった・・・・・

 

ドカッ!!

襲い掛かる巨大蜘蛛に、二回り小さな蜘蛛が空中で体当たりをした。当然小さい蜘蛛の方が吹っ飛ばされたのだが、ドレスメーカーも体勢が乱れて転んだ。自分を攻撃したネルスキュラ亜種を、ドレスメーカーは何の真似だ?と言いたげに睨む。

 

―これは俺の獲物だ。―

ネルスキュラ亜種に言葉があったら、そう言っただろうか。自分よりも強大な相手に、怯むこともなく威嚇をする。

 

フルフルも、W男も、男も復帰し、いよいよエリア8は決戦の様相を呈してきた。・・・・・・その時だった。

 

 

ゴゴ・・・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

地響きと共に、地底洞窟が大きく揺れた。天井が崩落し始め、地面には大きな亀裂が入る。突然の災害に、商隊の人々も、ハンター達も、モンスター達も、そしてドレスメーカーも驚きを隠せなかった。

地割れは大きくなり、やがて千尋とも思える谷を作り出した。W男は少女に指示を出し、人々をモンスターの中を無理矢理避難させる。案の定と言おうか幸いと言おうか、モンスターはそれに構っている余裕はなく、強行突破を可能にした。

 

突如発生した地震に対し、最も素早く冷静を取り戻したのはW男とドレスメーカーであった。W男は男の首根っこを掴んで走り、ドレスメーカーは亀裂を跳び越えて巣に戻ろうとした。

亀裂を跳び越えようとドレスメーカーがジャンプした瞬間。崩落した天井の一部がドレスメーカーに直撃し、ドレスメーカーは谷底に叩き落とされる。しかしそこは流石蜘蛛、崖際に糸を張り付けて落下を防いだ。

 

直後、自分の首根っこを掴んでいたW男の腕を振り払い、男は亀裂に向かって走り出した。W男の静止も聞かず、男は亀裂に飛び込む。

 

「さらばだ、常闇のドレスメーカー・・・・・・!」

 

男は落下しながら、操蟲棍に渾身の力を込めドレスメーカーの命綱の糸を切りはらう。

ドレスメーカーはそれに気づき、再び糸を出そうと崖際に腹の先を向けた。

 

「さらばだ・・・・・・・」

 

上を向いた糸の噴出孔目掛けて、男は操蟲棍を振り下ろす。

 

「俺。」

 

糸の噴出孔に操蟲棍が突き刺さり、糸の発射を阻害する。命綱を失ったドレスメーカーは、男と共に、千尋の谷底へと消えていった。

 

少女と商隊の人々が待つBCに戻って来たW男の表情は、とても嶮しかった。

 

後日。

 

地底洞窟及びその周辺を襲った地震は、噴火が近いことによる火山性地震と判断したギルドは、地底洞窟を一時立ち入り禁止とした。

しかし、ひとつ気になることがあったW男は、なんとか許可をもらい、十分ほど地底洞窟に降り立った。

「常闇のドレスメーカーは、装備を求め各地を放浪する。今回のようにずっと同じ場所にいるのは妙だと思ったが・・・・なるほど、こういうことか。」

エリア5、無数につるされた骸に混じって、一つの大きな糸の塊がつるされていた。

「蜘蛛の卵・・・・・」

その塊は、内側から破かれていた・・・・・・・。

 

―――――――

地震で一部が崩れ、静寂に包まれた地底洞窟の中で、響き渡る戦闘音。

バチバチバチッ!!バシーーンッ!!!

それは、地底で生まれた・・・・砂漠で生まれた・・・・・

影と・・・骸の・・・

―――狩猟奏





完結!!
という訳でNo.3影と骸と狩猟奏、終了です。
こんなに長引く予定ではなかったんですが、見切り発車はいつものこと!!(開き直り)
次回は紹介と言うことでまたも長くなります。
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