Monsters Life 作:究極極彩色ナメクジ
イャンガルルガの尻尾が振り回される。レイアシリーズの変態は、怒りに任せて踏み込んでいたためその紫色の尻尾に直撃し、吹っ飛ばされて地面を二転三転地面を転げる。
幸い当たった瞬間に後ろに飛んだため、大したダメージにはならず、レイアシリーズの効果もあって毒を受けることもなかった。
「・・・・・・滅べ。」
立ち上がった変態は、開口一番不吉な言葉を口にし、再びイャンガルルガ目掛けて突撃する。
「シネシネシネシネェェェ・・・・・」
もっと不気味なクックシリーズの女は、水冷弾をこれでもかと言うほどにイャンガルルガに撃ち込む。
苦手な水属性の連撃と、足元で暴れまくるうっとおしい変態の猛攻により、イャンガルルガに怯みが生まれる。
「・・・・なんか気の毒なことになってるな。」
その一瞬のスキを突いて、Wレックスシリーズの男がイャンガルルガの翼膜に気刃切りをくらわせ、イャンガルルガにまた一つ傷を増やしていく。
イャンガルルガは危機を感じたのかけたたましい声を上げながらバックジャンプで距離を取る。その動作に、Wレックスシリーズの男は危機感を覚え、変態に向かって叫んだ。
「横に跳べ!!」
しかし運の悪いことに、変態は咆哮を防ぐために耳を塞いで踏みとどまるように姿勢を下げていた。男のWレックスシリーズは耳栓の効果を持つスキルがあるため咆哮を防ぐということをしなかったが、普通のモンスターの咆哮を防ぐ手段としては変態のとっている行動は正しい。
しかしそれはあくまで普通のモンスターの話、イャンガルルガを相手にするときには、この動作は非常に危険なのである。
バックジャンプしたイャンガルルガは着地の寸前、突如翼を広げて滑空し変態に迫る。
・・・・・・・変態が慌てて行動した時にはもう遅かった。
凶悪な尻尾が、変態に直撃した。
それは、悪名高いバックジャンプサマーソルト。
狡猾なイャンガルルガが、《対人間》用に編み出した技である。
咆哮によって人間の動きが止められることを理解しているイャンガルルガは、バックジャンプと共に咆哮を上げ、人間を拘束。直後、拘束から解けきっていない人間目掛けて滑空で迫り、勢いのままサマーソルトを叩き込む。
初見ではまず避けられない、数多の初心、中堅ハンターを葬って来た技なのである。
変態はその技の衝撃に吹き飛ばされ、背中を強かに壁面に叩き付ける。先程くらっていた尻尾薙ぎ払いのダメージも加わって相当な深手になってしまっている。
「回復弾!」
「・・・はっ・・・はい!」
普通なら取り乱す場面もWレックスシリーズの男の呼びかけでなんとか戦局の崩壊だけは免れた。
女の放った回復弾が当たった瞬間変態の体がピクリと動いたので死んだわけではないらしい。
再び咆哮バックジャンプをしたイャンガルルガにWレックスシリーズの男が既に握っていた閃光玉を投げ、イャンガルルガを撃墜し、すぐさま変態を担ぎ上げもがくガルルガの横を走り抜けた。
「一時離脱っ!!」
三人はエリア3になだれ込んだ。どさくさで女が投げた煙玉が功を奏したようで、イャンガルルガは未だにエリア4を探し回っているらしい。
「もたもたしている時間は無いぞ、飲め。」
男は変態にいにしえの秘薬を押し付け、女が抱き起してそれを飲ませた。
「大丈夫・・・・?」
女は心配そうに男に聞いた。男は「死にゃせん。」と簡潔に答えたが、心なしか表情が暗かった。
「・・・・・んっ・・・」
変態が僅かに動く。そして小さく呻き、ゆっくりと目を開けた。
「・・・・!?・・・ゴキブリ並みの復活力だな・・・。」
男は変態の怒涛の復帰速度に目を丸くする。
変態は気怠そうに体を起こし、体に走る痛みに顔をしかめながらも立ち上がった。
周りの心配の表情も気にせず変態は額に青筋を立てて叫んだ。
「あのヘッポコカラスめ・・・・生まれてきたことを後悔させてくれるわ!!!!」
そして男はさっきの言葉を訂正した。ゴキブリ並みではなくゴキブリ以上だと・・・。
「クォアアアアァァァァァァッ!!!」
場所が移り、今度は森丘エリア10にて戦闘が再開された。
レイアシリーズの変態はさっきの戦闘でコツを掴んだらしく、危なげはあるが直撃はしないギリギリの戦闘をしていた。そこに、Wレックスシリーズの男の強力かつ鋭い斬撃と、クックシリーズの女の的確な支援射撃が加わり、イャンガルルガをどんどんと追い詰めていった。
猛攻に耐えかねたイャンガルルガは足を引きずって飛び立った。
「弱っている、もうすぐだぞ!!」
「・・・・・・しまった。」
変態の叫びに対し、男の顔は青ざめた。
「・・・・弱ったらどこへ行くと思う?」
「どこって・・・・あ。」
三人は今回の目標を思い出し、慌ててエリア5に向かって走り出す。
イャンガルルガもほぼ同時にエリア5に向けて滑空を始める。
「だめだ!・・・間に合わない!!」
・・・・・・誰もがそう思ったとき・・・・・・
「クワァァァァァァァァァァッッ!!!!!」
叫び声と共に、イャンガルルガが落下し、地面に体を打ち付けられた。あまりに急な出来事にハンター達は足を止めて振り返った。・・・・その叫び声の主は、イャンガルルガではなく・・・・・
「青い甲殻・・・・イャンクック亜種だ・・・!」
イャンガルルガを蹴り落としたイャンクック亜種は、イャンガルルガから少し距離を置いたところにふわりと着地した。
起き上ったイャンガルルガは憤怒を露わにし、イャンクック亜種に突撃した。しかし無策な突進はイャンクック亜種にひらりと躱されてしまい、イャンガルルガは突進の勢いを殺しきれず地面に倒れ込んだ。
倒れ込んだイャンガルルガに攻撃しようとイャンクック亜種が迫ったが、なんとイャンガルルガが倒れた状態から無理矢理放ったサマーソルトがイャンクック亜種に直撃し、イャンクック亜種は思わず後退した。しかし無理な体勢であったため、イャンガルルガはすぐにまた倒れてしまった。
倒れ込んだイャンガルルガにイャンクック亜種は火球を放つ。その火球は、イャンガルルガを僅かにそれ、すぐ近くの大木に着弾する。
イャンガルルガは無理矢理体を起こし、反撃の火球を吐きかけようと息を吸う。
・・・・ギ・・・・・ギギ・・・・・・ギギギギギバキバキバキ!!!!
イャンクック亜種の火球によって倒れた大木が、ゆっくりとイャンガルルガに倒れ掛かる。イャンガルルガは不幸にもブレスを放とうとしたために逃げられなかった。
ドスゥゥゥゥゥン・・・・・・・
重々しい音と共に、一つの命が消えた・・・・・。
イャンガルルガを倒したイャンクック亜種は、すぐさまエリア5に向けて飛び立った。
三人はその後を追うことにした。
イャンクック亜種が雌のイャンクックの前にゆっくりと降り立つ。三人のハンターは、それを岩陰から見守った。
イャンクックが顔を上げると、イャンクック亜種は吐き戻しによってイャンクックに食料を与えた。
その様子を見て、涙を流す二人。
「夫婦だったんだね・・・・。」
「父は強し・・・か。」
そんな二人を、Wレックスシリーズの男は呆れながらも優しげな表情で見つめた。
突如、イャンクック亜種が苦しみ始めた。
「な・・・なんだ!?」
突然のことに、変態は身を乗り出しそうになる。そんな彼を抑えながら、Wレックスシリーズの男は腹が大きく膨れ上がったオルタロスをどこからか取り出した。
「・・・そ・・・それは?」
「薬草やアオキノコ、解毒草を食べさせたオルタロスだ。これを食わせる。たぶんさっきのイャンガルルガの毒にやられているのだろう。」
そう言って男はオルタロスをその辺に投げた。イャンクック亜種はそれに気づき、しばらく警戒した後オルタロスを口に入れた。
イャンクック亜種から、苦しみの表情は消えていった。
「ひとまず一件落着・・・・だな。」
すいません。もう少し続きます。
・・・・・というかもう初回記念ってことで5話くらいやってしまおうかとおこがましいことを考えてしまったナメクジ頭に断罪を・・・・。
次回は平和です。(嘘になる率30%)