Monsters Life   作:究極極彩色ナメクジ

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題名で何のモンスターか察せますかね?
でわどうぞ。


No.3 影と骸と狩猟奏

その日、砂漠に産まれの風が吹く。

その日、地底に新たな影が産まれる。

 

砂漠の風に誘われて、流されるままに空中を舞う。

それは小さな紫色の蜘蛛。それは骸の始まり。

自分の糸を風に乗せてどこへともなく飛んでいくのは、骸蜘蛛、ネルスキュラ亜種の幼体だ。小型甲虫種よりはるかに小さい体は、風に抗うこともなく飛んでいく。

それは一部の蜘蛛にも見れる、「バルーニング」という生態で、ネルスキュラ亜種の幼体は、砂漠から世界各地に広がっていく。

この小さな骸は、いったいどこへ向かうのだろうか。

 

地底洞窟の闇の中、一匹のアプトノスが草を食んでいた。

すぐ背後に迫る、白き影にも気が付かず・・・・・気が付くはずもなく・・・・・。

・・・・・・バチッ・・・・・・・

青白い雷撃が迸り、体の自由が奪われる。体の表面が僅かに食いちぎられ、そこから何かが入れられる。しかしそれだけ。白き影は、そのまま闇に消えていった。

やがて体の痺れはとれ、アプトノスは自分の身に何が起こったのかも分からぬまま、再び草を食み始めた。

 

長く続いた空中の旅は、地底洞窟にて終わりを告げた。

地底洞窟に辿り着いた小さき骸は、バルーニングの糸を切り、地上へと降り立つ。すぐ近くには草を食むアプトノスがいるが、両者とも興味なさげにすれ違った。

・・・・・運命はここで交わった。

ネルスキュラ亜種の幼体は、しばらくの間は腐肉を主な食料として成長する。

地底洞窟は、つかの間の静けさに包まれていた。・・・しかしそれは、嵐の前兆なのだ。

 

アプトノスは、ある日突然手足の痺れを感じた。ここ最近急に痛みを感じることが多くなった。しかし、どれも少しすれば気にならなくなるので、アプトノスはただ平穏な日々を送った。体に白き影を宿しながら・・・・・。

 

小さき骸は、巨大な甲虫、ブナハブラの襲撃にあった。しかし、足の速さとまだ小さい体にモノを言わせ、小さな隙間に入り込むことで事なきを得た。腐肉を漁ろうとすればクンチュウの妨害を受け、歩いているだけで小型鳥竜種から狙われる。

・・・後にどんな強大な生物になろうとも、この頃はただのか弱い子蜘蛛であった。

 

アプトノスの体を激痛が襲う。それは今までにない衝撃であった。意識を手放したら死ぬ。アプトノスにそんな勘が働く。しかし、どんなに抗おうとも、影の生まれに逆らうことはできない。

ベリッ・・・・バリっ・・・・・ブシュッ・・・メリィッ・・・・

表皮が裂ける。肉が見え、骨がむき出しになる。赤黒い血と共に、白き影が産まれた。

 

目の前で突如として斃れたアプトノスを、小さき骸は眺めていた。そしてかぶりつく。鋏角で肉を掴むと、赤みのある繊維が裂けた。幸いにも周りには他のスカベンジャーはいない。絶好のチャンスと言わんばかりに亡骸を貪った。

気付けばすぐ隣で赤に濡れた白い何かが同じように貪っている。しかし気にすることはない。大きな肉塊を、ともに貪った。

・・・・・そして運命は絡まった・・・・・。

 

白き影は結晶体の集まる洞窟の、岩の隙間に入り込んだ。白い影、フルフルは、産み付けられ、寄生した生物の体を食い破り、その骸を食した後、こうした小さい隙間をしばしの安住の地とする。

 

小さき骸は甲虫をからめとった。この頃からネルスキュラ亜種は狩を覚え始める。

からめとった甲虫・・・・ランゴスタの麻痺毒をその身に貯えながら・・・・・・。

 

 

ある日、二人の狩人がこの地に訪れた。

彼等はこの洞窟の結晶体が集まる場所で採掘できる灰水晶なるものを求めてやってきたハンターだった。そして、何を隠そうその灰水晶がとれる場所こそ白き影が身を潜めている所なのである。

二人はピッケルを振るう。そのたびに、白き影は奥へと身を縮めた。しかしやがて身を隠す場所もなくなり、いよいよピッケルが白き影にも迫ろうとしていた。

「なかなかうまく採れねぇな~。」

片方がピッケルを担ぎながらかったるそうに呟いた。

「後はここにピッケルを刺し込めばいい塊が取れるはずさ。」

もう一人はそう言いながらピッケルを振り下ろした。

グシャッ・・・・・・

ピッケルがぶつかる音はしなかった。・・・・したのは、ものすごい力で人間が潰される音。・・・ピッケルを振り下ろそうとした男は、たった今、多量の血を吹きだしながら、天井へと引き寄せられた。

男を挟み込むのはネルスキュラの使う鋏角。それを辿って、もう一人の男は天井に目を向けた。・・・・・天井から鋏角を伸ばし、ついさっきまで自らの隣にいた男を屠っていたのは、紫色の外套を纏った明らかに巨大なネルスキュラだ。

明らかに通常の個体とは違う。サイズも然りだが、身に纏う外套が、ゲリョスのそれとは少し異なるのだ。そして何より、その攻撃力。

「・・・・・・嘘だろ・・・リオソウル防具を・・・・紙切れみたいに・・・・。」

驚愕と恐怖に膝が震える。倒れ込まなかったのは、彼が幾度となく強敵と対峙してきた強者であることを物語っている。

・・・・・しかしそんな経験は目の前の生物相手では役に立ちそうもない。

その時、ネルスキュラの外套の色が、紫から周囲に紛れる白に変化した。その能力に、男は自分の記憶の中にある、おとぎ話程度に思っていた名が浮かぶ。

「・・・・・とっ・・・・・常闇のドレスメーカー・・・!?」

今度は自分に向けて、鋏角が伸ばされる。男は数秒後の死を確信した。

・・・・・・・・

「立てっ!!!」

突如として声が狭い洞窟に響き渡る。直後、ネルスキュラ「常闇のドレスメーカー」の前に数個ほどの小さな玉が投げ込まれた。

スパパパパァァン!!!スパパァァァン!!!!

刹那、爆音と共に無数の光が激しく明滅する。強い火薬の匂いと共に、深い煙に包まれた。

「誰だか知らんがコイツと遭遇するとは運の悪い奴め・・・・・!!」

突然現れた謎の人間は、男を無理矢理引っ張って連れ去った。

・・・・・・・・

煙が晴れると、常闇のドレスメーカーの前には何もいなくなっていた。常闇のドレスメーカーは数度辺りを見回すと、口惜しそうにその場を後にした。

 

洞窟に静寂が訪れると、さっきのいざこざで隙間から落ちてしまった白き影はずこずこと隙間に戻った。

一方天井の隅っこ。少し大きくなった小さき骸は、未だにビビって縮こまっていた。

 

 

―バルバレ―

「そうですか・・・噂は本当だったという訳ですな。」

「一人助けるのが・・・精一杯でした。」

「あまり気に負うことはよくありませんぞ。相手が相手じゃ、生き残っただけでもめっけもんですからな。」

バルバレ会議室の奥にいるのは、テンガロンハットをかぶったカウボーイ風の出で立ちをしている老人と、未だに息をととのえているWレックスシリーズの男である。

男の報告を受けて、老人、バルバレのギルドマスターの表情は一転して険しくなった。

「早急に手を打たねば被害者は増える一方・・・なんとかせねば。」

ギルドマスターは深く考え込みながら、手元の年季の入った本を開いた。

その本の内の一ページに、不気味な挿絵と謎の文字の羅列が・・・・・

「古代文字・・・とも少し違いますね、暗号ですか?」

「遠い異国の旧字体じゃ。読めんでも仕方ない。」

ギルドマスターは淡々とその文字を読み始めた。

 

~幾多骸を飾る影。数多骸を纏う影。幾千骸を積みてなお、幾万骸を求むもの。亡骸帯びて死を運ぶは、大いなる常闇の影。時に猛々しく鳴り響き、時に荒々しく地を穿ち、時に疾風の如く駆け、時に霞の如く消え、やがて亡骸の主とならん。

・・・・・・その者の名は・・・・・

【常闇の服飾師】

 

 

そして時は流れ・・・・・・・・




今回は長くなります。(いつもだろ!とか言わないで。)
常闇のドレスメーカー、ネルスキュラの特殊な奴です。詳細はいつか。
かっこつけて登場していますがそこまで重要ポジションではありません。
主人公はネルスキュラ亜種とフルフルです。念のため。

次回も請うご期待・・・・(裏切る確率極めて高し。)
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