IS-インフィニット・ストラトス……俺はやりたいことをやる!! 作:ヘッケラー
第6話 入学
帰りたい。
ああ……もの凄く帰りたい。
大切なことだから、2回言ってしまった。
やっぱり、あの葉書を無視すれば良かった。今、そう思っている。俺が今何処にいるかって?……国立IS学園1年1組の教室だ。さて、何故俺がこんなところにいるのか、思い起こして見よう。(現実逃避)
俺は無事にアメリカの病院を退院することが出来た。お世話になった人々には本当に感謝している。入院費や通院費は、両親の遺産や、俺が金を集める目的でやっている株の収入から支払った。やはり、アメリカの医療費は高かった……。視力に関してはまだ、完全に回復していないため、目に包帯を巻いている。色んなチートもあり、日常生活には問題ない。
その後、両親の墓参りを済ませ、俺は一度、日本へ帰国した。日本の住居などを片づける必要があった。俺は日本でかつて住んでいた家に戻って来たが、郵便受けに入っていた紙の多さには閉口した。新聞は止まっていたらしいが、町内の会合、ダイレクトメール、様々な勧誘等の紙がそこに詰め込まれていた。
「……取り敢えず、必要なものとそうでないものに分別しよう。」
それから、俺は大量の紙としばらく格闘した。1時間程、格闘すると1通の葉書が俺の目に留まった。
『国内IS適正調査(男性のみ)』
「何々、『国内で、男性のIS操縦者が発見されましたので、新たな男性適合者を探すために調査を実施致します。』だと?」
面倒くさいことになってしまった。……よし、バックレよう。
しかし……
「受けない場合には30万円以下の罰金だと」
受けないといけないみたいだ。
その後、この調査に引っ掛かり、テンプレのようにIS学園に強制入学させられたというわけだ。
現実逃避終了。
さて、原作主人公は……あれか。まだ視力は、戻っていないので、小宇宙(コスモ)で探す。俺以外の男の小宇宙を探せば、すぐに発見出来る。あいつには絶対に関わらないようにしなければ。
……どうでもいいのだが、この香水の匂いは何とかならないのだろうか。色んな香りが混ざって、臭い。
そんなことを考えていると、教室のドアが開いた。
「皆さんおはようございます。それじゃあSHRを始めますよー」
このクラスの副担任、山田真耶先生が教室に入ってきた。いよいよ原作の始まりだ。
山田先生の自己紹介が終わった後、出席番号順で生徒の自己紹介が始まった。と言っても俺は、ほとんど聞いてない。聞く必要が感じられない。……おっ、次は織斑の番のようだ。
「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。」
この後だな……
「以上です」
がたたっ。やはり……こうなるか。
まあこの後、織斑先生が現れ、暴力発言を行った。
「さあ、自己紹介を続けろ」
織斑先生がそう促すと、自己紹介は続いた。そして、俺の番が回ってきた。
俺は窓側最後尾の席から、教壇に向かって歩いた。
「はじめまして、皆さん。2人目の男性IS適合者、紅蓮昇と申します。私は見ての通り、目があまり見えません。しかし、後1週間程で見えるようになりますし、日常生活にも問題はありませんので、気にしないでください。またこれは始めに言っておきます。私はISに関わるつもりはまったくありません。しかし、皆さんの勉学の邪魔は致しませんので、安心して下さい。短い間ですが(よろしくしなくていいので)よろしくお願いします」
ぱちぱち……
「え?」
「ISに関わらないってどういうこと?」
女共がなにか言っているが、気にしない。
さて、席に戻るか……上から何か降ってくるな。避けよう。
「よいしょっと」
フッ……ブォン!!
俺が頭を下げると数秒前に俺の頭があった地点を出席簿が通過した。
「何のつもりですか、織斑先生」
「さっきの自己紹介は何だ?」
「そのままの意味です。」
「おまえは2人目の男性IS適合者だ。つまり、ISに関わる義務がある」
この教師は、なにを言っているのだろう。
「お断りします。人間にはそれぞれの目標、夢に向かう権利があります。私もその目標を達成したいだけです」
俺はそれ以上、余計なことを聞かれる前に自分の席に戻った。
キーンコーンカーンコーン
あー……1時間目が終わった。IS基礎理論の授業だった。俺は基本的には授業を聞く。授業の中にも立体(ソリッド・)映像(ヴィジョン)のヒントがあるかも知れないからだ。あの電話帳のような厚さの参考書を読んでおいてよかった。さて、トイレに行ってくるか……。俺がそう思い席を立ち、教室の後ろのドアから出ようとした。廊下には織斑目当てだろう、他のクラスや上級生が蠢いていた。
「すいません。そこを通して頂けますか」
俺が声を掛けると生徒たちは吃驚した様子で道を開けてくれた。
「ありがとうございます」
俺はトイレに急ぐのであった。
2時間目も1時間目と同様に終わった。そこで、俺はあることを思い出した。
「そうだ、13日と14日にグランプリがあった。そろそろ、デッキを作らないといかんな」
最近、色んなことがありすぎて、忘れていた。ちなみに、グランプリとは、MTGの大会のことだ。巨大なメインイベントの他、様々なサブイベントもある。
「さっそく、デッキの構成を考えよう」
俺は机の上にノートを広げ、デッキを考え始めた。IS学園では紙のノートを利用していないが、俺はこれを用いるとアイデアが出易いので、紙のノートを使っている。休み時間は15分しかない。少しでも進めておきたい。
「ちょっといいか?」
「よろしくないです」
「……」
誰か話しかけて来たが気にしない。こちらが優先だ。
「ちょっといいか?」
「……」
「おい、聞いているのか?」
「……」
キーンコーンカーンコーン
おっと、3時間目が始まるみたいだ。
「おまえ誰?」
「織斑だよ!!織斑一夏!!」
「さっさと席に戻れ」
「いや……おまえ……」
パァンッ!!
「とっとと席につけ、織斑」
「……ご指導ありがとうございます。織斑先生」
織斑は俺を睨み付け、席に戻った。何か忘れているような……気のせいか。
3時間目も、滞りなく終わった。原作では3時間目にクラス代表の話が持ち上がるはずだが、話がなかったということは、先生が忘れているのだろう。
俺はさっきの休み時間のようにデッキの構成を考えようと思った。しかし、もうひとつ重要な用事を思い出した。
「―しまった。Dr.クライアンに頼まれた絵、まだぜんぜん描いていない。」
俺は長い間入院していたが、体の感覚を取り戻してからは時間が空いている時、絵を描いていた。約2年のうちにメキメキ上達し、病院から絵を描いてくれと頼まれるようになった。この依頼もその一つで、しっかりと報酬も出る、れっきとした仕事だった。
「こうしちゃおれん。すぐに何描くか決めないと、期限までに間に合わない」
俺はスケッチブックを取り出すと何を描くか悩み始めた。だがまた、邪魔者が現れた。
「ちょっといいか?」
今度はしっかりと言わないと。
「申し訳ないが、今大変忙しいから後にしてくれ」
「……ああ、分かった」
「さっきは申し訳なかった。織斑」
「気にするな。紅蓮」
さて、作業を進めるか……
「ちょっと、よろしくて?」
「へ?」
「申し訳ないが、今大変忙しいから後にしてくれ」
織斑は変な声を出していたが、俺は同じ台詞を繰り返した。その後、そいつと織斑が言い争っていたが、まあ大丈夫だろう。ところで、誰だっけ?
4時間目は、山田先生ではなく、織斑先生が教壇に立っている。この時間で、クラス代表の話をするのだろうか?
「ああ、授業の前にクラス代表者を決めないといけないな」
今、思い出したように織斑先生が言っている。まあ、俺は推薦されないだろう。このクラスからは好印象を持たれてないからな。
そう思っているうちに、織斑が推薦され、セシリア・オルコットの演説が始まっていた。
そうだ、セシリア・オルコットだ。思い出せてよかった。そのオルコットの演説が続いていた。
「大体、文化として後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で―」
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ。」
織斑が言い返している。頑張れ~俺は興味ないから。
そうこうしているうちに話は纏まったみたいだ。
「さて、話はまとまったな、それでは、勝負は、1週間後の月曜。放課後、第3アリーナで行う織斑、オルコットそして紅蓮はそれぞれ用意をしておくように。」
あれ?何か変なことを聞いたぞ?
「織斑先生、私も参加するのでしょうか?」
「その通りだが?」
「私は誰からも推薦されていませんが?」
「私の独断だ」
「お断りします。ただでさえ忙しいのに、これ以上厄介ごとを持ってこないで下さい」
「おまえも男ならば、これくらいの困難、乗り越えてみせろ」
「自分の価値観を他人に押し付けないで下さい」
「これは、決定事項だ」
「日本をバカにされて悔しくないのか。同じ日本人として、一緒に戦おうぜ!!」
いや、そんなのどうでもいいから。
はあ、Dr.クライアンに相談するか。医者の書いた書類でどうにかできないかな。……最悪、チートを使うことも考えよう。黄金(ゴールド)聖(セ)闘士(イント)の技とか使ったら、周りが煩くなるからな。どうしよう……
心の中で早くも、頭を抱えてしまう俺であった。