高校2年生、剣道部所属
興味のあるものには過剰に反応してしまう。今回の事件に巻き込まれたのも好奇心旺盛だったため。
刀が何より好き。実家には彼が愛用し、こっそり振っていた刀がある。祖父の家の蔵に眠っていたのを発掘し、そのまま持ち帰ってしまった。元の入手経路は不明。
身体能力はAランク(現時点)
このために、選抜審査には呼ばれなかった。サムライ候補。
二人に急かされながら階段を登っていき、二階に到達する。
踊り場から出るといきなりマモノに襲われた!…なんてこともなく、先に二階に到達していたメンバーの人たちに倒されてしまったのか、ラビの死体がいくつか転がっていた。
「ここはラビしかいないみたいだねぇ」
ヤチェがキョロキョロと周りを見渡しながらそんなことを言う。
「まあ、俺たちを試すためのものだし、本当に危険なのはいないんじゃないかな」
なんて言っていってると、後ろから何かにタックルされて吹き飛んでしまう。
いてぇ、なんだ?ラビか?と周りを見渡してみてもラビの影は見当たらない。
「バンさん!」
ナノが吹き飛んだ俺の方に駆け寄ってくる。
「ナノっち、バンちゃんのことよろしく!」
ヤチェも周りを警戒しているようだが、相手の位置がつかめないようだ。
「こっちは大丈夫。それよりも気をつけて、どうやら相手はラビじゃないみたいだ」
「もう、バンちゃんがフラグ建てちゃうから…」
「本当に申し訳ない…」
なんて、ふざけたやり取りをしながらも警戒は怠らない。
「っ!そこっ!」
ナイフを構えていたヤチェが、空いていた左手でホルスターから抜いたハンドガンを上に向かって撃つ。
すると、天井から大きな蛾のような虫型のマモノが俺とナノの前に落ちてきた。
マモノがジタバタと暴れると埃のようなキラキラした粉が舞い、2人してその粉をもろに吸い込んでしまう。
「ッ!ゲホッ!ゲホッ!」
なんだこれ…なんか体が痺れて…動けないぞ…
「せいっ!」
俺たちが動けないでいると、ヤチェが右手に持っていたナイフを投擲、見事マモノに命中し、そこでマモノは事切れたのか動かなくなる。
「2人とも、大丈夫⁉︎」
そう言いながらヤチェが心配そうな顔をしてこちらに駆け寄ってくる。
「どうやら、さっきの粉を吸い込むと体が麻痺して動けなくなるみたいだな…」
ちなみに感覚としては長時間の正座から立ち上がって足が痛くて動けなくなるあの感じが、全身に起きてるようなもので、すごい不快感がある。
「えと…さっきのマモノはブルーグラスというマモノですね。リンプンを撒き散らして吸い込むと動けなくなってしまいます」
研究所で教えてもらった事ですけど…、と付け足しながらナノが説明してくれた。あまりそういう事には詳しくないので、こうやって説明してくれるのは非常に助かります。
ナノ曰く、リンプンにさえ気をつければそこまで厄介なマモノではないらしい。
「ブルーグラスは空を飛んでいるから、奇襲に気をつけながら進もうね!」
「そうですね、バンさんの刀では届かない位置に逃げられると辛いので、見かけたら速攻でやっつけてしまうのがいいと思います」
む…、という事は、俺では攻撃が当てられない、つまり仕事ができないという事になるのか…?なんて考えていると、ナノが俺の方を見るとオロオロとしはじめた。
「あ、あの、別にバンさんが役に立たないってわけでわなくて…えと……」
「バンちゃんが前でドーン!と構えててくれると後衛する人にとってはすごく安心できるんだよ。ね、ナノっち!だから適材適所でやっていこう!」
そう言ってナノのことをフォローしながら俺のこともフォローしてくれるヤチェは、ブルーグラスは任せとけっ!と言いながら二丁のハンドガンを構える。
「むむ、別に刀でもブルーグラスに勝てるし…でも、もしもの時はお願いします」
刀大好き人間である俺としては、あまり認めたくない事であるため、そっぽを向きながらむくれた感じでヤチェにお願いしてしまう。
「ふふ、りょーかいです!」
そんな俺を見て、ちょっと笑いながら返事をしてくれる。
それがちょっと恥ずかしかったので、はやく先に進むように2人を促した。
この3人での戦闘スタイルは、俺が前衛、ナノが後衛、ヤチェはナイフとハンドガンを使い分け、前衛と後衛の間を行ったり来たりしている。
ラビの相手は基本俺が受け持ち、ブルーグラスの相手はヤチェが、そしてナノは2人のサポートに徹している。…別にブルーグラスが倒せないからラビの相手をしている訳ではない。いや、マジで。
ラビが単体行動していることは珍しく、基本は2〜4体で行動している。そこにブルーグラスが加わると結構辛いので、ブルーグラスはヤチェに受け持ってもらってるだけです。
ナノは攻撃系の能力より、回復などの支援系の能力が得意ならしく、常に複数体を相手にしている俺を回復してくれる。
…マジでサイキッカーってスゲーな。ちなみにヤチェは全く攻撃を食らっていませんでした。こっちもスゲー。
そうして2階を突破し、3階も4階へと続く階段の前まで突破してきた。
途中、怪我をして休憩しているグループを何回か見た。そう考えると、俺たちのグループは結構うまく戦えているのではないだろうか。
なんて考えていると、階段前で待機していたガトウさんが話しかけてきた。
「…よゥ、遅かったな。しかしまあ、マモノ退治のスジは悪くねェから…それでプラマイゼロってトコか。」
むーん、確かに俺たちよりも早く着いていたグループもあるだろうが、いくつかのグループも追い越してきたし真ん中くらいじゃないだろうか…なんて考えてると、ガトウさんが俺の姿を見て少し慌てる。
「…っと、怪我してるじゃねえか。大丈夫なのか?」
「え、あー、はい。ナノに回復してもらったので、大丈夫です。」
「…まあ大丈夫ってならいいけどよ。ただ、お前自身でも手当できるように簡単な傷の処置くらいは教えといてやる」
…結構ガトウさん心配性なのか?
ガトウからいくつか傷の手当ての方法を教わる。見た目の割に結構丁寧に教えてくれた。
「ンじゃ、上に行くぞ。
そこにもう1人の教官が……」
とガトウが4階行くように促していると、ガトウが持っている通信機に連絡が入る。
「…こちらナガレ!ガトウさん、聞こえますか?」
相手のナガレさんが焦った声で連絡してきた。
この人がもう1人の教官か?
「…どうした?何か問題か?」
「やたらデカいマモノが入り込んでます!
俺1人ではとても…!クソッ、コイツ……!」
そこで通信が切れた。デカいマモノと再び戦闘になってしまったのだろう。
「やれやれ…教官が苦戦してたンじゃ、候補生の連中に示しがつかねェだろうが…。お前らも一緒に来い。どうもキナ臭ェ感じがするンでな。」
そう言ってガトウさんは先に階段を登って行ってしまった。
「も、もう1人の教官さんは、大丈夫なんでしょうか…?」
ナノが心配そうに聞いてくる。
「さあ、流石に俺には分からないけど、教官って言われてるくらいだし強い人なんじゃないかな?とりあえず俺たちも行ってみよう」
そう言って、俺たちもガトウさんの後を追っていく。
4階にたどり着き、ガトウさんが向かっていった方向へと俺たちも向かう。
"あ、あんな化け物…ヒーーーーーーーーッ!"
そんな悲鳴が曲がり角から聞こえてきたかと思うと、自衛隊の隊員が曲がり角から現れ階段に向かって走り去っていった。
……………………
え?これ大丈夫なん?
他の2人も同様に不安そうにしている。
と、とりあえずガトウさんと合流しようそうしよう。
曲がり角を曲がってまっすぐ行くと、1つのドアの前でガトウとガトウと同じ服を着たもう1人
の教官らしき人物がいた。
「お前が尻尾巻いて逃げるとはなァ…。そんなにヤバい相手がいるもんか?」
「…見れば分かりますよ。デカさも外見も、他のマモノとは根本的に……」
そこまでいって俺たちに気がついたのか、そこで言うのをやめてしまった。
そんなにヤバイ奴がいるのか…
「来たか。俺たちはこれから、この部屋の中にいるマモノと楽しいバトルのお時間なンだが、今回は特別にお前たちも同行させてやる。どうだ、嬉しいだろ?」
嬉しくありません。
「嬉しくありません」
あ、声に出てた。これにはガトウさんも苦笑いである。
「こ、候補生を使うんですか?そんなコトして何かあったら……」
そうだ、言ってやれナガレさん!
「お前が苦戦する相手だ。戦力は多いに越したコトはねェ。それに、最近のマモノの出現頻度から見りゃ、後進の育成は必要だろ。お前と俺だけで、日本全国のマモノを退治して回るわけにゃいかねェしな」
「まあ、それは確かに…」
納得するの早いよ…
「あー、そういうわけだから準備してくれるかい?あ、断っても、多分無駄だと思うよ。ガトウさん、楽しくなっちゃってきてるし…」
「楽しくって……」
ガトウさんの方をチラ見してみると、心なしワクワクしているように見える。
「…分かりました、2人もそれでいい?」
ここは俺たちが折れた方が良さそうだ…
そんな気持ちを込めて2人に確認を取る。
「よォし、そんじゃ御対面といくか」
そう言いつつガトウさんがドアを開けてしまう。
はやいよ!まだ2人の許可取ってないよ!
「なるほど、確かにコイツは大物だ。」
ドアの先に待ち構えていたのは、俺たち人間よりもはるかに大きな、巨大生物だった。大きな翼とツノを生やし、巨大な目でこちらを見据えているのは、いわゆるドラゴンと言われるものだ。
え、マジでこんなのと戦うの?
「だが、厄介な相手ほど燃えてくるのが男の性分よ…いくぞお前ら!」
投稿スピードはまちまちです。気分転換に書くつもりですので、読んでくれる方も暇潰し程度にお読みください。