ークロノー
兄さんと別れて千年祭を見て回ることになったけど、色々とありすぎて何処を見ればいいのか分からなくなる。う~ん、どうしようか?手持ちのお金はかなりある。兄さんが奮発して、2,000Gもくれたからね。とりあえずは一通り回ってみてかな?・・・最初は何処にしようか?う~ん・・・。
フラフラと見て回り、広場から少し奥の方へ行った所で・・・、
「・・・いつ見てもリーネの鐘はデカいね、祭りの雰囲気もあるだろうけど、いつもより綺麗だ。」
リーネ広場の象徴と言ってもいいリーネの鐘、千年祭で盛り上がっている中でもその存在感は光っている。兄さんも言っていたっけ、『リーネの鐘の音は心に響く、遠く離れて住んでいるからかな?たまに聞くと心洗われるよ。後世に伝え続けるべきガルディア王国の、トルース町の宝だな!』、僕もその通りだと思う。この鐘は、僕達の町の誇りだ。ずっと・・・その美しい姿と音色を聞かせ続けてほしい。そう思いつつ、リーネの鐘を見上げて歩いていた僕。よそ見をしていたからだろうね、
ドンッ!
「キャッ!」
一人の少女とぶつかってしまった。
お互い、ぶつかって倒れてしまったが、
「いったー・・・。」
少女はそう言いながら立ち上がり、自身に何事もなかったことを確認した後、僕に気付き・・・、
「ゴ、ゴメンなさい!大丈夫?」
と声を掛けてきた。僕は惚けていたが、慌てて立ち上がり、
「いや、僕は大丈夫だよ!それよりもゴメン、僕がよそ見をしていたばかりに・・・。」
と僕の方からも謝った。少女はニコリと笑って、
「よかった!・・・その、私もよそ見をしていたから。・・・お互い様だね?」
・・・その笑顔を見た僕は、ドキッ!と心を躍らせた。可愛い娘だなぁ~・・・。
僕が見惚れていると、その少女は何かに気付く。
「あら・・・、私のペンダントが・・・!た、大変!ペンダントが無いわ・・・。無くしちゃったのかしら?」
と慌てて周囲を探し出す。先ほどぶつかったことにより、少女はペンダントを落としてしまったらしい。落とす要因を作ってしまった僕も、探すのを手伝うのが筋だよね?そう思った僕は、少女の落としたペンダントを探す。・・・ペンダントは何処だろう?
暫く探して、やっと見付けましたペンダント。リーネの鐘を支える支柱の陰に落ちていた、知らない人に持っていかれなくて良かったよ。僕はそれを拾い、ペンダントを探す少女の下へ。そしてまだ、探している少女へと声を掛ける。
「ねぇ君、探している物はこれかな?」
そう言って、先ほど拾ったペンダントを渡す。少女はそのペンダントを受け取ると、安堵した様子で、
「ありがとう!このペンダント、私の物で間違いないわ。古ぼけているけど、とっても大事な物なの。」
渡したペンダントを優しく見詰めながら、僕に向かって再び笑顔を見せてくれた。
少女がそのペンダントを、しっかり身に付けてから僕に向き直り、
「私、お祭りを見に来たんだ。ねぇ、貴方・・・この町の人でしょ?一人じゃ面白くないもん。良ければ一緒に回らない?ね、ね?いいでしょ?」
と言ってきた。こんな美少女に誘われるなんて・・・、生きてて良かった!千年祭、最高だね!勿論僕の返事は・・・、
「僕で良ければ、喜んで・・・!!」
そう答えるだろうさ。僕の返事を聞いた少女は、
「わーい、やったーっ!」
とその場で飛び跳ねて、全身で喜びを表現する。・・・なんて愛くるしい!僕を萌え殺す気だろうか!?動悸が激しくなる僕は、努めて冷静であろうとする。飛び跳ねて喜んでいた少女は、何かに気付く。
「あ、名前言ってなかったね。え、えーと私は・・・マールって言うの。貴方は?」
名前まで可憐じゃないか!似合いすぎだよ、両親・・・グッジョブ!・・・っと、僕も名乗らないとね!
「僕はクロノって言う名前だよ、その・・・よろしくね、マール!」
僕はニヤけそうな顔を、キリッ!と引き締めて名乗った。さりげなく少女・・・、マールの名前を呼び捨てたけど大丈夫だよね?怒っていないよね?そんな僕の心配をよそに、マールは輝く笑顔で・・・、
「クロノか、良い名前だね!よろしくね、クロノ!さぁ、時間が勿体ないよ。・・・行こう!」
と僕の手を掴んで引っ張り出した。・・・柔らかい手だなぁ~、僕は夢見心地でなすがままだった。
・・・そんなわけで美少女、マールと一緒に色々見て回った。一緒に広場にてレースの予想をしたり、同じく広場にて鐘鳴らしゲームをしたり、ベッケラーの実験小屋でシャッフルゲームをしたりね。
そんな感じで祭りを見回っていると、
「わーん!わたちのネコが・・・!」
と小さな女の子が泣いていた。僕は見回るついでに、猫のことも気に掛けておいた。僕が一人か兄さんと一緒であったのなら、猫を探すのに全力を尽くすところだったけど、今はマールと一緒にいるからね。猫にだけ集中するわけにはいかないのだ!・・・とか思っていたけど、そういう時に限って見付けるんだよね?見付けたからには、女の子の下へ連れていくのが常識でしょう!そんなわけで、猫を女の子に引き渡した。
「わたちのネコちゃん、連れてきてくれてありがとう。」
お礼を言われたけど、兄さんには『出来る限り、人には親切に!』と教えられているからね。たまたま見付けたからだけど、良いことをしてお礼を言われるのは嬉しい。
「クロノ、やっさしい!フフフ・・・♪」
困っている人は僕の所へ来るんだ!解決出来るヤツなら何とかするよ!
マールと楽しく祭りを見て回っていると、そろそろルッカの発明品発表の時間になるね。時間近くになったら合流しようと、兄さんと事前に決めていたからにはすぐに行かないと。
「これから僕の幼馴染の発表があってね、兄さんと一緒に見に行く約束をしているんだ。せっかくだから、マールも一緒にどうだい?」
と誘ってみる。マールは、
「クロノにはお兄さんがいるよね?いいなぁ~・・・。あっ、勿論一緒に行かせてもらうわ。クロノのお兄さんに会ってみたい!」
ピョンピョン跳ねて、一緒に行くってことをアピールしてくる。最後まで一緒に見て回れそうだ、今年は良い一年になるだろう!・・・ただ気になるのは、兄さんはかなりのイケメンでモテる。マールが兄さんに惚れないか心配である、べ・・・別に嫉妬とかじゃないんだからね!兄さんはモテまくりでライバルが多いから、マールが悲しむ結果になるんじゃないかと・・・。そういう心配を僕はですね・・・、
「クロノ、早く行こうよ!」
・・・なるようになれってことにしよう、僕が心配するだけ無駄なような気がする。
ーエシャルー
ガルディア王国千年祭、実に素晴らしい祭りだと声高らかに宣言したい。クロノと別れた俺は、この祭りを大いに楽しんだ。買い食いは勿論、色々な物を買いまくりで楽しみまくりだ!売っている物も祭り価格で安かったよ!知り合いの職人であるボッシュ爺さんがいてね、交渉の結果・・・シルバーブレードを4,500Gで売ってもらったよ!普通に買ったら7,000Gもする逸品だからね。ボッシュ爺さん、ありがとう!
ルッカの発明ロボ・ゴンザレスとも戦った、なかなかの強さはあったんじゃないかな?並の魔物を倒す程度にはさ、まぁ・・・俺の敵じゃなかったけど。壊さぬよう適度に戦い、シルバーポイントを荒稼ぎだ。その後は、奥で原始的な踊りをしたり、飲み比べで新記録を叩き出したり、ベッケラーの実験小屋でドッペル人形と猫をもらったり、マジで大満喫!久々のオフの日を楽しむことが出来た、誘ってくれたクロノには感謝だな!
・・・おっと、クロノで思い出した。俺ってば、クロノと合流する約束をしていたんだっけ?一緒にルッカの発明を見ようとかって・・・。時間は・・・っと、・・・おぉう!もうすぐで約束の時間じゃねぇですかい!こりゃあのんびりしている暇はねぇ、急いで集合場所へと行かなくては!
・・・急いで行ってみれば、まだクロノは来ていない。・・・よし!これで兄の威厳は守られた。弟を待たせるわけにはいかんからね、兄は常に弟の目標であれ!・・・ってね。
「おーい!兄さーん!」
・・・丁度クロノも来たみたいだ、・・・時間より少し早めに来るとは、・・・成長したなクロノ!
・・・本当に成長したな、クロノ。
「はじめまして、私・・・マールって言います!えーと・・・クロノのお兄さん、・・・エシャルさんですか!よろしくお願いします!」
弟のクロノが、ポニーテールの可愛い少女と一緒に現れたんですよ!・・・あのクロノが、・・・あの寝坊助クロノが、・・・ルッカ以外の女の子と接点すらなかったモジモジクロノが!・・・あの洟垂れクロノが!・・・兄の知らぬ間に、男になっていやがった。家に帰ったら母ちゃんに報告だな、今夜は赤飯か?・・・いや、マズイ!ルッカにどう説明するつもりだクロノ!発明発表会が殺人現場になっちまう、・・・なんてことをしてくれたんだ、クロノ!
「・・・兄さん、なんで一人百面相をしているんだい?そろそろルッカの所へ行こうよ、何事も早めにだろ?」
・・・クロノ、・・・お前って奴は。自ら死地へ、修羅場へと突入宣言とかって、・・・漢になりやがって!
「とりあえずマールちゃん?で良いかな?クロノ共々・・・よろしくね。そしてクロノ・・・、お前の生き様は兄が見届けてやる。・・・だから安心して、漢を見せるといい!」
「「・・・?」」
俺のクロノに対する反応に首を傾げる二人、・・・すっとぼけちゃって!お兄ちゃんは知りませんからね!
行く途中、マールちゃんがアメちゃんを買う為に寄り道をした。そして・・・、ルッカの発明発表会にてあんなことになるとは。フル装備で来ていて良かった、やはり備えあれば憂いなしの精神は大事やね!
次回はルッカ!