クロノトリガー~時空を越えた魔法騎士~   作:ユキユキさん

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第10話 ~ゲート《ガルディアの森》

ークロノー

 

マールと王様が対峙している。…親子でありながらこの空気、…二人の間に何があったんだ? 脱出出来るか出来ないかの瀬戸際にありながら、動かずに見守る僕達。兵士達は何やら心配そうにマールを見ているが、大臣だけは忌々しそうに見ている。それって不敬なんじゃないの? …そう思っていると、

 

「いい加減にしろマールディア。お前は…、一人の個人である前に一国の王女なのだぞ。」

 

王様がマールに対してそう言うが、それを聞いたマールの顔は歪む。そして…、

 

「違うもん! 王女である前に一人の女の子なの! …それにお父様だって、…この国の王なのに!」

 

凄い剣幕で王様に詰め寄り、怒りを込めてそう言い放つ。そんなマールに王様も…、

 

「城下になど出るから悪い影響を受けおって! …ロクなことを覚えんお前には、王女としての心得がない!」

 

負けじと言い放つ。…マールがワナワナと震えている、…めっちゃ怒っているっぽい。

 

「悪い影響じゃない! …お父様は何なの? …私に見向きもしない癖に! 今更出てきたと思ったら、私個人より立場のことばかり! 一体…、何だっていうのよ!!」

 

マールの叫びが城内に響く、怒りと共に悲しみも含んだ叫び。

 

その叫びに怯んだのは王様、だけど直ぐに持ち直して言葉を紡ごうとするけれど…、

 

「…こんな、…こんなトコにはもういたくない! 私、…城を出ていくわ!」

 

マールはそう叫ぶとあろうことか、…その場でドレスを脱ぎ捨てた。僕はその時、一瞬だけ兄さんを超えたと思う。…………マールがドレスを脱ぎ捨てた瞬間を、…僕はこの目と脳内に焼き付けた。それはもう鮮明に、見逃すこともなく。…ドレスの下に私服を着ていたけれど、美少女のストリップみたいなものだよ? …それにちょっとだけ私服がズレて…ねぇ? …クフフフフフ。…僕は今日という日を忘れないよ、毎日寝る時に思い出すんだ!

 

僕が内心でそんなことを思っていても、このシリアスな空気は変わることなく進んでいく。ドレスを脱ぎ捨て、私服姿となったマールは僕達の下へ。それを王様の横で見ていた大臣は、

 

「マールディア様!」

 

そう言ってマールを止めようとするが、それをヒラリと避ける。…大臣の奴、本気で止めようとは考えていないな? 名前を叫んだ時も感情が籠っていなかったし、止めようとした時だって隙だらけだった。…大臣は何を考えている? …マールが邪魔なのか? …不審に思う僕を余所に、マールは僕の手を掴んで、

 

「行こう! クロノ!! …みんなも!!」

 

城の外へと走っていく。…ちょっとマール! フリッツさんが!! と思ったけど振り向けば、フリッツさんはマヨネーさんとエキドナさんに担がれていて安心した。走る僕とマールを追うように、ルッカ達も後を追ってくる。…暫くしてから、

 

「何をしておる! 追えっ! 追うのじゃーっ!!」

 

大臣の叫び声が聞こえてくる。…本当に大臣はマールを止める気があるの? …何故間を空けるんだろう。

 

…それにしてもマール。僕が送り届ける為に城へ来た時、『お父様が心配している。』って言っていたよね? なのにあの雰囲気、…ガルディア王族は謎だ。…まぁプライバシーだし、…首は突っ込まないけどね。

 

 

 

 

 

 

…で走った結果、ガルディアの森へと逃げてきた。どうにも兵士達の様子がおかしく、わざと遅れて追いかけてきているみたいだ。そのお陰で、遅れていたルッカ達と合流出来たけど。

 

逃亡の最中に多少は落ち着いたのか、走りながら…マールは僕達に謝ってきた。別にマールが悪いわけじゃないし、僕を含めてみんな笑ってこの話を終わらせたよ。フリッツさんだけは??? が飛んでいたけどね、…マールは僕達の反応に嬉しそうにしていたけど泣いていた。

 

こうやって逃げているわけだけど、…いつまで走って逃げればいいのかな? 兵士達は僕達を見逃そうとしている人が多いけど、大臣に近い兵士達は僕達を必死に追いかけてくる。王女であるマールが言っているんだから間違いない、…やっぱり大臣関係はクソだよね。

 

それになんかさ、…僕の直感というか勘? それが警鐘を鳴らしているんだけど。…追い詰められているような気がする、…木々の間隔が狭まってきているし。…逃げるのが困難になってきているんだよね、このまま奥へ行ったら最終的には……。

 

 

 

 

 

 

フラグを立派に立ててしまった。…僕って奴は、なんてアホな男なんだ。

 

「…行き止まり!?」

 

僕の直感というか何というか、フラグメーカーですね。ここからどう逃げればいい? …戻ることは出来ない、徐々にだけど兵士達が近付いてきているから。

 

僕とマール、ルッカは焦っているけれど、

 

「どうせあの大臣の兵士なんでしょ? …あたいが葬ってやるから安心するといいのヨネ~。」

 

「あの程度の軟弱な兵士には負ける気がせん、弟くん達は安心するといい!」

 

殺る気満々なマヨネーさんとエキドナさん、…大臣はいいとしても兵士の大量虐殺はヤバイんじゃないかな? …しかし止めるにしても逃げ道は無いし。…これは腹を括らないとダメっぽい? 流石のルッカも銃を構え、マールもボウガンを取り出している。僕達は臨戦態勢だ、…一人を除いて。

 

ここまで担がれてきたフリッツさん、ここに来て復活した。あんなに疲弊していたのに、この人はマジで化物。ドラゴン戦車との戦闘時に、パクった槍を壊したフリッツさん。丸腰ではあるけれど、兄さんに次ぐ程の戦闘力を持っている彼なら素手でもやれる。それにフリッツさんは、狂化という特殊な力? を持っている。この状況、…昂っていることだろう! そう思っていたんだけど、当の本人はなんかしゃがみ込んでいる。

 

………何しているのさ! フリッツさん!!

 

 

 

 

 

 

兵士達の気配が近付いてきていて、臨戦態勢なのにこの人は…! 僕は狂化していない通常フリッツさんに、文句というか一言言ってやろうと近付けば、

 

「…この変な歪みは何? …ヤバイ系だったりするのかな?」

 

そんなことを呟いて、ある場所を見詰めていた。僕はその呟きを聞き、その視線の先を見てみれば…、

 

「…え! …これってゲートじゃない!?」

 

フリッツさんの背中越しから見えたのはゲート、あの歪みを見間違える筈がない。僕達を別の時代に飛ばすあのゲートだ、…何でこんな場所に!? 僕の言葉を聞いて、みんなが集まってくる。同じように歪みを見て、口を揃えてゲートと言った。…ルッカもそう判断したのなら、これはゲートで間違いないね!

 

…僕達はゲートを見詰める。…これを利用すれば逃げられる、…戦うことなくこの場から。それは分かるんだけど、何処に繋がっているか分からないからね。…今より危険な場所へと投げ出されたら、…そう思うとゲートを使おうとは言えない。みんなの様子を見てみれば、同じような顔をしているから考えていることは同じなんだろう。…ゲートの存在を知らないフリッツさんは、わけワカメ状態だけどさ。

 

兵士達の気配が更に近付いてくる中で、この沈黙を破ったのは…、

 

「…行こう!」

 

マールだった。それに対して難色を示したのはルッカ、彼女は…、

 

「行こうって…どの時代に出るか、分からないのよ! 今度は帰って来られるかどうかも!! …それにブラック、エシャル兄がいないのよ!?…置いていくなんてこと、…出来る筈がないじゃない!! …リーネ広場のゲートとは違う、未知なるゲートなのよ!?」

 

そう言ったのだ、…そういえば兄さんがいない。囮となって追いかけっこをしているらしいけど、無事なんだろう…な。兄さんが捕まる筈がないもんね、あの人は特別だよ。…兄さんの無事は確実だと思うけど、兄さんがいない状態でゲートを使うのはどうだろうか? ルッカの言うように、戻れるかどうかも分からないのに。兄さんがいないなんて、…置いていくことなんて僕には。…でも、兄さん大好きっ娘である筈のマールが、

 

「それでもいい! クロノ達が捕まっちゃうよりは、クロノ達が人を殺しちゃったり傷付けちゃうよりは! それに…、そんなことになったらエシャルさんが悲しんじゃう。よく分からないけど、そうならない為に変装しているんでしょ? …エシャルさんなら大丈夫だよ、…あの人は特別で凄いんだから!」

 

そう言い切る。…確かにまた捕まったり、人を殺しちゃったりしたら兄さんが悲しむ。…追い詰められたからとはいえ、僕達は大変なことをしようとしていた。マヨネーさんとエキドナさんも気まずそうにしている、フリッツさんはゲートを興味深そうに見ているけど。

 

兄さんを置いていく、それに抵抗があったけど。…マールの言うように、兄さんは特別で凄い人なんだ。心配するだけ無駄、兄さんなら余裕で何とかする筈。兄さんの凄さを信じなきゃいけない、兄さんは完璧超人なんだから! …マールの発言にルッカも、

 

「……そうね、エシャル兄なら自分で何とかするわよね! …合流の件があるけれど、そこも読み取ってくれる筈! …でも、もう一つだけ問題があるのよね。」

 

覚悟を決めたみたいだけど、問題があるみたい…。その問題とは何ぞや?

 

 

 

 

 

 

聞けば重要な問題だった、…ゲートを潜るのに重要なこと。ルッカの話では、ゲートを安定させて安全に潜るのにこの人数は不安要素らしい。ルッカのゲートホルダーだけでは厳しい、そんなことを言うけど中世から戻ってきた時は大丈夫だったじゃん? …そう思ったんだけどその時は兄さんがいて、その兄さんの不思議パワーで安定していたんだって。兄さんがいない今、それが不安でみんな無事で時代を飛べるかどうか…らしい。それは確かに不安だよね? …というか兄さんって何さ?

 

それを聞いたマールは、流石に『行こう!』とは言えなくなった。飛んでいる最中に事故があったら大変だもんね、…しかしそうなるとどうしようか? ってことになるよね。もう時間が無いし、…やっぱり戦うしかって思った時に、

 

「…心配無用だ、万が一を考えてエシャルさんから預かっている物がある。」

 

エキドナさんがそう言って、胸の谷間から取り出したのは…、

 

「このゲートホルダー・エシャルver.があれば、エシャルさんがいなくても安定する筈!」

 

ルッカのゲートホルダーによく似た物、ゲートホルダー・エシャルver.とかいう物を掲げたのだ。

 

エキドナさんとマヨネーさんの話では、中世から戻って自宅へ帰った時に作ったらしい。…ゲートホルダーってそんな簡単に作れる物なの? と思ってルッカを見たら、口元をヒクつかせながら…、

 

「…流石はエシャル兄、…本当に天才なんだから。………って冗談じゃないわよ! きぃ~っ! …悔しい!!」

 

簡単に作れる物ではなさそうだ、…流石は兄さんってことなのかな?

 

ゲートホルダーではあるんだけど、構造は全くの別物。赤い石が鍵を握る兄さん特製のゲートホルダー、…別物って大丈夫なの?

 

「何でもこの赤い石は不思議な力があるらしい、エシャルさんが言うには持ち主の魔力を宿すことが出来るとか。」

 

エキドナさんの聞いた話では、この赤い石には兄さんの魔力が相当貯まっているらしい。だから兄さんがいなくても、この赤い石が代わりになる…とのこと。確かに、この不思議な石から兄さんを感じることが出来る。現にこの赤い石…、ゲートに反応してあの時の兄さんと同じように光っている。これならきっと、兄さんの代わりになる筈だ。

 

このゲートホルダーの存在を確認した後、ルッカも頷いて…、

 

「…少しだけ不安はあるけれど、大丈夫だと信じて行きましょうか! …みんな、覚悟はいい?」

 

そう問い掛けてくる、…勿論、

 

「兄さんがいなくても大丈夫さ、…何処へ飛ばされても何とかなるよ!」

 

「エシャルさんと離れ離れになっちゃうけど、…また再会して一緒にいられるよ。私は…そう信じている!」

 

「こうなることを予想して私にゲートホルダーを託したのだ、…ここで成長でもして驚かせてみせよう!」

 

「ウフフフフ♪弟くん達のことはあたいに任せるのヨネ~、守りきってみせるわエシャルさん♪」

 

「……? よくは分からないけど、俺も全力は尽くすよ。足を引っ張ることはないと思う。」

 

僕を含めたみんなも覚悟の上だ、何処へ飛ばされたって大丈夫だよ。ルッカだって、

 

「エシャル兄がいなくたって、このメンバーなら何だって出来るわ! このゲートに全てを賭けてみましょう!!」

 

覚悟を決めている。みんなも多少の不安はあるだろう、…でも僕達はこの先へ進む。兄さんとは離れてしまうけど、…何処へ行こうにもいずれは再会出来る筈さ!

 

 

 

 

 

 

覚悟を決めた僕達はゲートの前に立つ、そしてルッカとエキドナさんがそれぞれのゲートホルダーを掲げると、

 

バリバリバリバリッ!!

 

ヴィィィィィィィィィンッ!!

 

ルッカのゲートホルダーが足下の歪みを、…ゲートを広げて大きくする。次にエキドナさんのゲートホルダーが光り、ゲートの歪みを安定させたように見えた。…兄さんの不思議パワーって、一体…何なんだろうか? 改めて考えてしまうよ。…まぁそういうのは後でも考えられる、今は……、

 

「…行こう、みんな!!」

 

みんな揃ってゲートの中へと飛び込む、……僕達の向かう先はどんな所だろうか? 少しの不安を抱えて。

 

────────────────────

 

ーエシャルー

 

囮となって数多くの兵士達と追いかけっこをした俺だが、…何とか兵士達を撒いて逃げ切ったぜ。ワープで簡単に逃げられるが、そんなことをしたら兵士達が城へ戻ってしまう。それでは囮の意味がないからな、ギリギリを見極めて逃げ回っていたのさ。そんな俺を自分で褒めてやりたいよ、…よく頑張った!

 

かなりの時間を逃げ回って囮となっていたからな、…今頃はルッカ達がクロノを救出して脱出していることだろう。逃げるにも一悶着あるだろうが最悪、リーネ広場まで逃げてゲートを利用すればいい。そうすれば捕まることなく逃げられる、中世のガルディア21世もリーネ王妃も温かく迎えてくれると思う。俺特製のゲートホルダーも持たせたし、問題なくゲートを潜ることが出来るだろうさ。ドリストーンと俺の力を信じる、…だからきっと大丈夫。

 

 

 

 

 

 

…俺はどうするかな? とりあえず少し休んでから、予め決めていた合流地にでも行こうかね? 二、三日様子を見なくちゃな。ルッカ達がそれでも来なかったら、中世に行ったものと考えて俺もそちらへ向かわねばならない。ゲートホルダーが無くても、俺ならば大丈夫だと根拠のない自信がある。さてさて…そういうことで、その方向で動くとしますか!

 

俺はそう考えて、行動をしようとしたが、

 

「……何だ? …俺の、…俺の身体が光っているだと!?」

 

この光り方は尋常じゃない、…あのマールちゃんが吸い込まれた時と同じ! ……ってことは!!

 

バリバリバリバリッ!!

 

ヴィィィィィィィィィンッ!!

 

突如として足下に大きな穴が、…これはゲートですね。

 

「…マ、…マジか!? …何で、…何で何もない所にゲートが出るんだよぉぉぉぉぉっ!!」

 

俺は為す術もなくゲートへ吸い込まれていく、…これは誰の陰謀だぁぁぁぁぁっ!!




最初にクロノ達を進めるか、それともエシャルを進めるか迷ってます。
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