ークロノー
ガルディア城へ向かう途中、ガルディアの森で魔物に襲われたが、ここでも苦労することなく撃破。そこそこでも鍛練していた自分を褒めてやりたい、兄さんが良く言う『備えあれば憂いなし』、僕も実感したよ。何が起きても良いように、準備をすることは大切だ。・・・身支度は出来なかったけど、鍛えていて良かった。
昼頃にトルース村を出て、夕方にはガルディア城へと着いた。日が落ちる前に着いて良かったよ、目標通りだね。そういうわけで、ガルディア城へ訪問だ。
「失礼しまーす!」
挨拶は重要だよね?元気良く訪問しましょう!城門から城内に入ると警護の兵士がいまして、元気良く挨拶をした僕に対し、
「「何者だ!」」
「見かけん奴だな。・・・大体なんだ、その格好は?もしや・・・魔王軍の手先?」
「・・・と、こんな弱々しい奴が魔王軍という事もあるまい。」
「「さ、行った行った!あまりウロウロしていると引っ捕らえるぞ!」」
めっちゃ高圧的な態度で接してきまして、怪しい奴、魔王軍の手先、弱そうな奴、捕らえるぞ!・・・と、完全に不審者扱いです。僕が何をしたの?元気の良い若者だよ?夕方に訪問したら駄目なの?それに追い出されたら、僕は外で野宿することになる。夜の森を抜けて村に帰るなんてとんでもない!夜の森は恐いよ、ぼっちに恐怖する僕には無理過ぎる!
野宿するにも恐いんで、せめて城を囲む城壁の内側で野宿出来ないか、交渉しなくてはなりません!真摯にお願いすれば、それぐらいは許してくれる筈!引っ捕らえられることは無いと、僕は信じるよ!いざ・・・、
「あのー・・・「おやめなさい!」・・・ひぃっ!ごめんなさい許してください、僕はただ・・・!」
お願いしようと思った矢先、高貴っぽい女性の怒声が響き渡り、僕は惚れ惚れする程のジャンピング土下座をかました。・・・情けない?どうとでも言ってくれ!引っ捕らえられるよりはマシだよ!
僕が土下座をかまして須玖に、
「「リ、リーネ王妃様!」」
高圧的な兵士の驚愕、・・・リーネ王妃様と言ったのか?・・・ということは、、先程の声って・・・!
「その方は私がお世話になったお方。客人として、もてなしなさい。」
・・・?・・・にしても、聞き覚えのあるような?
「しかし、こんな怪しい・・・「私の命が聞けないと?」・・・滅相もありません!どうぞお通りを!」
土下座をしているから、状況を聞くだけしか出来ないけど・・・何とかなった?
「フフ・・・・・・。貴方にきちんとお礼を言いたいので、後で私のお部屋に来てくださいませんか?・・・では、後程。」
その言葉を残して、王妃様の足音と共に空気が和らいだ。・・・・・・頭を上げても大丈夫かな?
高圧的な態度だった兵士の人に声を掛けられ、僕は土下座の姿勢から解放された。
「申し訳ありませんでした!リーネ王妃様のお客人だとは知らずに、大変失礼なことを・・・!」
「いやいや、お気になさらずに。・・・城仕えの兵士として、当たり前のことをしたのですから・・・。」
・・・高圧的な態度で応対されたけど、謝られたら許すよね?それに僕は文句や苦言を言える程、肝っ玉が大きくない、ただの一般人ですもの・・・。
そんな僕は考える、・・・いつ王妃様のお世話をしたのだろうか?ぶっちゃけ、この時代に来てからここまでほぼ一人でしたよ?情報収集の時ぐらいしか、人と関わっていませんけど?・・・分からないなぁ~。いつ、王妃様と関わったんだろう?というか、僕が来る前に保護されたんだよね?
「・・・う~ん。」
頭を悩ませて唸っている僕に、
「クロノ殿でよろしいですか?」
と声を掛けてくる人が。・・・僕、名乗った覚えがないんですけど?そんな疑問を持ちつつ、視線を向けると一人の騎士がいた。・・・兄さんとは違うタイプのイケメンですね?とりあえず頷くと、
「・・・ではクロノ殿、リーネ王妃様がお呼びですので、この私がリーネ王妃様のお部屋へご案内致しましょう。」
この騎士の人は、僕を案内してくれるらしい。正直ありがたいよね?城内の構造なんて分からないし、まして王妃様の部屋なんて分かる筈がない。そんなわけで、僕は騎士の人の後を付いて行く。・・・王妃様と顔を合わせて話せば、お世話がどうのとか分かるかな?
騎士の人に案内されて王妃様の下へ向かう途中、案内してくれている騎士の人が話し掛けてきた。
「クロノ殿、リーネ王妃様がご無事だったのは貴殿のお陰とか・・・。」
王妃様が無事だったことが僕のお陰?・・・よく分からないんだけど。・・・今日初めてこの時代に来た僕が、王妃様に何かをするなんて不可能だ。・・・誰かと勘違いしているのでは?と言いたいけど、言える筈がないよね。言ったら間違いなく牢屋行きだ。そんな感じで色々と考えていると、騎士の人が立ち止まり僕を見た。・・・まさか、考えていたことが口に出ていたとか?・・・それはマズイ、牢屋行きは嫌だよ!?なんて、咄嗟に身構えてしまうが・・・、
「詳しいことはお聞きしていませんが、ガルディア王国に仕える者としてクロノ殿には改めて感謝を。全ての者に代わりまして、お礼を言わせていただきます。」
騎士の人は僕に対して礼を言い、綺麗なお辞儀をしてきた。・・・ただのお礼かぁ~と、僕は内心ホッとした。よく分からん男に対してきちんと礼を言うなんて、やっぱり騎士はカッコいいなぁ~と思う。まぁ本当に礼を言われるようなことはしていないけど、空気を読むしかないよね?僕自身の為に。
「・・・いえいえ、当然のことをしたまでですよ、あははははは・・・。」
渇いた笑いと共にそう言った僕、早く王妃様に会って色々と聞かなければ!
・・・・・・あ!助けたことを肯定しちゃった!マズイぞ、人違いだったら僕は嘘吐きじゃないか!?・・・それで捕まる可能性もあるのでは?・・・・・・ヤバイよヤバイよ!どどどどどうか穏便にことが進みますように!!
内心、走って逃げたい気分なんだけど・・・、
「着きました、この扉の先にリーネ王妃様がおられます。・・・どうぞ、お進みください。」
・・・悶々と悩んでいると、王妃様の部屋に着いてしまった。騎士の人が横にずれ、先へ進むように促してくる。・・・覚悟を決めないと駄目かなぁ~、神様お願い!僕を守って!そう思いながら、僕は扉を開けて部屋の中へと入った。
ーマールー
よく分からない状況の中で、私はリーネ様と間違えられてガルディア城へと連れていかれている。・・・リーネ様ってずっと昔のご先祖様よね?一体全体どういうことなのかな?歴史書でしか見たことのないガルディア騎士の方に色々と質問されたけど、・・・大丈夫だよね?これでも私は勉強をきちんとやっているんだから!・・・うん、問題無いみたいで安心ね。騎士の方もホッとした様子で、私を無事に城へと連れていきますと気合いが入っている。・・・本当によく分からないかな?何で私をリーネ様と間違えているのだろう、確かに似ているとは思うよ?城に飾られているリーネ様の肖像画を見たもん。
・・・・・・ん?リーネ様は私のご先祖様で、現在・・・私をリーネ様と間違えている。・・・・・・あれ?そういえば、騎士ってもういない筈よね?
・・・・・・もしかして、ずっと昔の世界に来ちゃったり?・・・まさか、・・・ね。
ガルディア城へと来た私は何が何やら分からないまま、メイドに引き摺られて着替えさせられる。着替えさせられた私は、・・・やっぱり歴史書と肖像画で見たことのある人、ガルディア21世様と対面した。色々と聞かれたり、心配していたと涙声で言われたりして、私をリーネ様だと思っているみたい。・・・何だか複雑だな、リーネ様と間違えるなんて駄目だよ、ちょっとリーネ様のことが可哀想だなって思ってみたり。サンゴの髪飾りのことを聞かれた時にはどうしようと思ったけど、聞いていたこと・・・拐われた時に無くしたみたいだと言うと納得はしてくれた。
・・・何だか咄嗟にリーネ様のフリをしてしまったけど、大丈夫なのかな?本物のリーネ様は何処に拐われたのだろうか?心配だよね、・・・うん。色んなことを考えながら、ガルディア21世様と話していたんだけど、大臣が私をジッと見てきて気分が悪かった。・・・大臣は、・・・何かを知っているのかな?ちょっと、気になるかな・・・大臣のこと。
・・・ガルディア21世様と話をして、大臣の様子が気になったりしていたけど、これからどうすれば良いのだろう?このままリーネ様のフリをするのは無理だし、そもそもそのご本人が行方不明。拐われたままにしてはいけないよね?私のご先祖様だし、たぶん。・・・リーネ様のこと、凄く気になるし心配だ、・・・妙に心がザワザワするよ。
そんな感じでモヤモヤしていると、
「失礼しまーす!」
と、大きな声が聞こえた。・・・この声は聞き覚えがある、・・・たぶんクロノだと思う。どうしてクロノが?そう思ったのと、不思議な穴に吸い込まれた私を追い掛けてきてくれたのかな?と嬉しく思い、エシャルさんも来てくれていたりするのかな?今の私はドレス姿、確かエシャルさんは鎧姿でちょっと騎士っぽかった気がする。ちょっと違うけど、囚われのお姫様を救う騎士って感じ?・・・えへへ、期待しちゃうよ?私。
そして声の聞こえた方へ行ってみれば、クロノが土下座をしていた。・・・何で?おやめなさいって、強く言い過ぎちゃったのかな?それと同時にクロノしかいない事実に、私はちょっとショックを受けてしまったり。・・・エシャルさんは?と聞きたかったけどこの場では駄目だよね、うん。まぁよく分からないけど、クロノを庇いつつ部屋へ呼べば色々と聞けるよね?
言葉通りクロノに助け舟を出し、然り気無く部屋へ呼んだ私。クロノは私がマールだと気付いていないっぽい、多少はイラッときたけれど、それはそれで助かったかな?クロノの様子を見る限り、気付いたら気付いたで普通に『マール、何やってんの?』と、空気を読まずに言ってきそうだし。・・・とりあえず、クロノは部屋へ呼んだ。何故このような事態になったのか、聞きたいけれど・・・絶対に知らないと思う。だけど少し不安になっていたところだから、知っている人が来てくれて助かっちゃった。・・・クロノとこれからのことを相談しなくちゃ、後・・・エシャルさんのことも聞かなくちゃね。・・・早くクロノ来ないかなぁ~、肩の力を抜いてだらけたいなぁ~。
次は消えますかね?