佐天と美琴のスーパー談義は、今度一緒に行ってみようという結論で一段落した。
「それにしても、佐天さんは凄いですねー」
初春が何気なく呟くと、佐天は不思議な顔をする。
「え、何が?」
「お料理が出来て、刺繍や着付けみたいなオシャレも出来て、その上買い物も上手なんて、女子力高いなーって思います」
「買い物上手って言われてもなぁ。なるべく安く買えたら嬉しいけど、ウチは別に毎日チラシの特売品をチェックとかしてるワケじゃないよ?」
佐天は謙遜するが、美琴は初春に同意する。
「節約の意識があるってことが大事なんじゃない?」
「御坂さんの言う通りです。佐天さんが結婚したら、きっと家庭的で素敵な奥さんになれますよー」
いきなり凄い褒められ方をして、佐天は大いに照れた。
「ちょーっと。初春何言ってるのさー」
「そういう人はきっと男性にモテますよー」
初春の発言に、美琴はぴくっと反応した。
以前にも、やっぱり家庭的な方がいいのかなぁと思ったことのある美琴は、そういえば前にアイツが特売の卵が割れたことに酷くショックを受けていたことを思い出した。続けて、病院に見舞いに行った際に高そうなクッキーを持っていってやったら「下手でも手作りの方がポイント高い」みたいなことを言っていたことも思い出した。
若干俯いた美琴は、消え入りそうな声で、搾り出すように呟いた。
「……ねぇ佐天さん、やっぱり……家庭的な女の子の方が……その……男の人に……好かれるものなのかな……?」
「え……? いや、ウチもそういう経験ないからわからないけど……」
佐天が突然振られて困惑していると、初春が意見を出した。
「男性女性関係無く、家庭的な人って好かれることはあっても、嫌われることはまず無いんじゃないんでしょうか」
「あー、確かにそうだねー」
初春と佐天の意見を聴いた美琴は、「やっぱりそうか…」と呟くと、急に真剣な眼差しを佐天に向けた。
「佐天さん、今度スーパーの案内、宜しくっ。あとついでに、そこで買ったもので料理も教えてもらえるかな?」
佐天は美琴の正体不明の気迫に気圧される。
「うっ、うん、わかった……。でも、御坂さんだって別にお料理下手じゃないでしょ……? ウチだってわざわざ教えられるほどウデがあるワケじゃ…」
「常盤台の家政科の授業じゃ、凄く手の込んだ、宮廷料理みたいなのしか教わらないのよ。もっとこう、スーパーの特売で売ってそうなもので作れる料理、そう、安く仕入れた卵を使った料理とか教えて欲しいの」
「みっ、御坂さん、何でそんなにヤル気なんですか……?」
初春も、妙に具体的な例を出して迫る美琴の正体不明の気迫にちょっと引き気味であった。
そして、美琴が何を考えているかだいたいの予想がつく黒子は、やっぱり面白くなさそうな顔であった。
こうして、少女達の金曜日の午後は、平和に過ぎていく。