バカとテストと天秤の守護者達   作:ハガル_ゴールド

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 明久の生活状況が明らかに


明久の生活要素?

 

「……適応しきり、今日まで生存出来ていたようだ」

 

「でもそれって結局おかしいには変わりがないですよね……いえ、おかしくなってますよね」

 

世界より得られた知識によると、丸々5年間水と塩……ではなく、ほぼ水と塩であるらしい。

それでも栄養失調を起こさずに生活できていた理由は最初の一年で適応できていたからのようである。

やはり、慣れというものは恐ろしい。

 

「……明久君は確か5年前に両親を」

 

「あぁ、知っている……吉井明久についての経歴を知識として獲得できた……明久を残して殺されたようだな」

 

明久という呼び方になっているのだが、これは単に明久が名前で呼んでもいいと言ったからである。

アストルフォが普通に名前を呼んでいたこともあるので、ついでに全員に提案したのだ……何故か一部は子ブタ呼ばわりと雑種呼ばわりのままであったが、侮蔑の意味合いを含んでんかったのでスルーした。

それはさておき一応、(そこまで交流があるわけではないが)幼なじみである姫路は明久の食事事情以外はそれなりに知っていた。

 

「その後、親戚に引き取られ、ほとんど後見人のような状態で接されていたようだ」

 

「……初対面の人にここまで知られてると怖いけど、怖くないと感じるのは何でだろう?」

 

それは本能的に味方だと認識しているからだと思われるが、今は割愛する。

それはいいのだが……何故か英雄達から不穏な気配が漂い始めていた。

 

「姫路、お前は引き取られたあとの待遇については知っているのか?」

 

「いえ、中学の頃から一人暮らしをしている事ぐらいしか……」

 

「さて、小学生にでも理解できる単純な計算だ……明久の住んでるマンションの部屋の家賃は三万円、一ヶ月の光熱費がおおよそ一万円……それらは明久が支払う事になっており、後見人からの明久への遺産からの分配は月額四万千円……差し引きは?」

 

計算するまでもない……たった千円だ……食費をひと月千円で収めなければならないのだ。

……事実を知らなかった姫路霧島は食材などを頭の中で計算して叩いても……安いのを仕入れたとしても圧倒的に金額が足りないことに気がつく。

育ち盛りの少年にあまり食事を与えないような環境だ……普通であるなら反抗していても可笑しくないはずなのに……。

 

「え?でも家族がいなくなって育ててもらってるし……馬鹿で金銭管理ができないだろうからって調整してもらってるだけだよ?」

 

当たり前だと認識しており、誰にも相談しなかった明久の思考ではそれは別段おかしなものではなかったのである。

一月に一回程度の食事を採れれば十分であると本人も気にしていなかったのである……欲しいもの(漫画、ゲームは無理だと諦めてる)も食費を削って買っていたりするのでたしかにお金が多いと無駄遣いしそうだなと、一人納得しているのだ。

……本人が虐待と思っていない以上、誰も気がつかないし警察に言っても意味がない。

だが――――

 

「……明久、通帳は持ってる?」

 

「え?あるよ?五年分キッチリと」

 

なぜ肌身離さず持っているのか甚だ疑問だが、それはともかくとして霧島は通帳の最初から最後までに目を通し……ここ1年近くの金額の変動が無い事を確認して顔を歪める。

明久の両親の遺した遺産の総額がわからないが、それを切り詰めてもこれはおかしい事である……もしかしたらその親戚が貧しくて明久を育てる代価として使ってる可能性もあるのだが―――

 

「明久君……その、後見人の方は……」

 

「え?確か休みの時には結構な頻度で家族で旅行に出かけてるいい家族だったけど?」

 

無論、明久は連れて行ってもらえてなどない……旅行に多く出かけていられる理由は二つ、その一家の収入がそもそも多いというのと……明久の家族の遺産が多いという二択なのである。

そして遺産の方が多い場合、明久の人の良さや騙されやすさを利用してほとんどを勝手に使い込んでいるということである。

……小学生や中学初期の純真な頃を利用して自分勝手な常識を埋め込んだという最悪の可能性も認識できる……明久の態度からもそれはまるわかりだ。

騙されているなど思っておらず、金銭管理などで常識だと認識してしまっているのだ。

 

「……でも、この時期から急に減ったのはおかしい」

 

「あ~……観察処分者になった頃だね、それ……うん、馬鹿なことをした罰だって怒られて仕送りが減らされちゃったんだよ……僕が悪いんだししょうがないんだけど」

 

……観察処分者になる前には仕送りの金額は四万三千円であった……それを明久は食費を削って漫画などに当てていたのである意味ではその部分は自業自得なのだが……それでも一月三千円は低い額だ。

服を揃えたりするのにもお金が必要であるのにこれではあまりにも……

 

「あ、服とか教科書とかはその都度お金をもらえてたよ?」

 

「……手渡しか……外見などからの情報漏えいを避けているのだろうが……」

 

……予想ではあるのだが服自体も回数が非常に少ないのだろう。

予想以上の劣悪な状況であった……それを見越して来たのであればそれは遅すぎると言わざるを得ないのだが、呼ばれた理由そのものが違うのだから今は関係がない。

 

「そこの女、貴様の今持ってる残高は?」

 

「……諭吉が10枚ぐらい」

 

何故一高校生が気軽に10万も持ち歩いているのだろうか。

 

「スクラッチくじとやらを一枚を(オレ)に買わせろ……明久の口座の金を増やす」

 

何げにギルガメッシュが名前呼びをしているという奇跡が起こっている。

そして親戚をどうこうする前に何かをするようなのだが、霧島は眉をしかめるだけだ。

通常なら当然である……いきなり突拍子も無い事を言われても困惑するか疑うだけだろう。

 

「……貴様であれば見えるはずだぞ?(おれ)のスキルが」

 

「スキ―――!?」

 

ギルガメッシュに言われて霧島の視界……ギルガメッシュの上あたりにスキルという項目が浮かんできた。

……そして、目に引いたスキルは……黄金律(A)……それは、身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命……幸運などではなく宿命である……大富豪でもやっていける程の因果を有しており、一生金に困ることなどありえないという項目が見えたのである。

伊達に黄金の英雄ではないという事なのかもしれない……生活という点で見ればそれは破格でしかない。

 

「なに、奉納された金に関しては数十倍……いや、数百倍にして返してやろうではないか」

 

「ははあ……黄金律持ちってところですか……いやはや資金源として呼び出されたのでしょうかね~」

 

それはそれでおかしい意見でもある……別段、ギルガメッシュでなくとも黄金律を保持している英雄は多数いるだろう……強大な実力を併せ持つという意味で呼ばれただけなのかもしれないのだが、それはそれである。

 

「ひとまずは戸籍はあれども家がない……家を用意するには金が必要だ、明久の家に居候するものも必要ではあるが、他は近場でどうにかすべきだろう」

 

一応、借りる扱いにしてキッチリと文句を言われないような過剰な返済を行う気のようである。

そして、英雄達すべてを住まわせるという既に己が一家の主であると主張する我様ぶりには皆が予想していたことでもあるのでツッコミはなかった。

 

「余の時代であれば略奪しておけば問題は無かったんだがのう」

 

「自重してくださいな、征服王……あまり使いたくない”ダキニ天法”を使わずに済みそうで助かりましたねえ……」

 

現代の法は一応守るらしい征服王と明久の金運などをどうにかしようと悩んでいた玉藻はそれが解決して一安心したようである。

……もっとも一番の問題事項が残されているのだが―――

 

「……ところでスパルタクスとエリザベートはどこへ行ったんだ?」

 

エミヤが教室の中を見渡すが、ふたりの姿が見当たらない……外の様子でも見に向かったのでは?と思われたが―――ここでカルナが爆弾発言。

 

「スパルタクスは”搾取を強いる者を倒してくる”、エリザベートは”死なない程度に拷問器具の点検をしに行く”と言っていたが?」

 

「あ、足がつかないように変化の術式は掛けておきました」

 

その発言に便乗するかたちで玉藻が更なる問題発言を投下していた……要約すれば姿を変えて明久の親戚のところに殴り込みに向かったという事である。

力が抑えられているとは言え、それでも並みの大人では対処できないレベルの英雄が二騎も向かったのだ……ただでは済まないはずだろう。

 

「一応、明久関連の知識として僕たちには保護者(虚)の家の場所やら行動範囲の分布も与えられてるし、たどり着いちゃうんじゃない?」

 

「……たわけ、捕まってしまっては元も子も無いだろう!」

 

変化しているとは言え、捕まってしまえば意味をなさない……捕まる可能性は非常に低いとも言えるのだが、それでも可能性はある以上軽率で有るはずなのに――――

 

「そこで僕の宝具の出番だよエッミー」

 

「誰がエッミーだ、大体宝具には制限が――――無いのだったなお前には」

 

明久との適正率が非常に高いアストルフォは制限が大幅に緩和されており、英雄としての力を十二分に発揮できるのである。

そして持ち合わせている宝具のうち、一つが――――

 

「僕のヒポグリフならビューンって飛んで圧倒言う間に回収可能だしね~」

 

「そのヒポグリフとアストルフォさんに変化の術式を掛けておけば完全犯罪ですねわかります」

 

……奇っ怪な行動を止めようとしているのがエミヤ一人だけであり、他の英雄達は止めようとするアクションを引き起こしていない。

確かに、守るべき人物である明久をこうまで――明久自身は追い詰められていると認識していないが――追い詰めているのだから報いを与えるのも考えているのだが、と考えたところで追加情報がエミヤにだけ遅れて届いたようであり、エミヤは数瞬考えた後。

 

「……その者達が転生者であるなら仕方がないな」

 

「あ、エッミーだけ届けられてなかったんだ……僕達だって一応そういう関係じゃない一般人相手なら自重するよ~」

 

ただし転生者で明久に害をなす存在にだけは別である……今まで出てこれなかった理由は、単純に世界として”本編時期”から外れていたからである。

転生者が複数居た影響で特異点が集中しすぎて、その時期でないと救いの存在を送り込めなかったのである。

……なお、危険な類の会話は目線だけで交わされており、スパルタスクとエリザベートは散策に向かったという事にされていた。

 

 

 




……純真な明久に吹き込んだ者は殺されないだけマシな目に遭えばいいと思うの
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