ワールドウィザーズ Record of War 作:Pi ZERO
でも実際はただ移しただけです…。
#01.邂逅
激化する戦い。
はじめは敵の新型かと思ったが、奴から発せられる奇妙な鳴き声は、この世のものとは思えなかった。
しかも、攻撃手段はビームときた。
なんの冗談だというのだ。
悪い夢でも見ているのだろうか。
そんな悪態をついたところで現実は変わらない。
燃料も残弾数も残りわずかな愛機《スピットファイア》を駆って、敵の攻撃を避ける。
だがいよいよ限界の時がきた。
放たれたビームにより右翼がもげた。
機体は制御不能に陥り、重力に引かれて落下する。
ああ・・・・・・とうとう私もここまでか。
かの祖国の防衛を懸けた戦い・・・《バトル・オブ・ブリテン》で名を挙げたエースとはいえ、やはりいつかは死ぬものだ。
できることなら祖国・・・ひいては連合国軍の勝利を見届けてから逝きたかったものだが・・・・・・その願いは叶えてもらえそうにないらしい。
死を覚悟した私は落ちていく機体のコックピットの中で、ゆっくりと瞼を閉じた・・・・・・。
暗転した視界が、白く輝いたような気がした。
・・・・・・。
妙な感覚がする。
私は・・・・・・生きている?
なぜ?
私は死んだのではなかったのか。
ではここはどこだというのだ。
天国か?はたまた地獄か?
ゆっくりと目を開くとそこには天井が。
鼻を嗅ぐと医薬品の匂いがする。
暖かい。私はベッドの上で寝ている。
ということは・・・・・・ここは医務室か?
だとすれば、私は助かった・・・・・・ということなのか?
「・・・・・・あっ、起きた。ドーセ先生!患者さんが目を覚ましましたよ!」
突然、少女が私の顔を覗き込みながらドーセという人物(おそらくは医者だろう)に向かって告げた。
だが、この少女を見た瞬間、私は驚きのあまり身を起こした。
「日本人だと!?なぜここに日本人が・・・・・・ぐっ!」
「ああちょっと!まだ動いちゃダメですよ~!」
左の脇腹のあたりが痛む。どうやら着地のショックで打ったらしい。
日本人の少女が私を寝かしつけようと制する。
どういうことだ。敵意はないというのか。
「やっとお目覚めか。あんなスクラップに等しい状態の機体で、よく生き延びれたものだな」
女医がタバコを咥えながら患者である私を見やった。
というか医務室で患者の前でタバコを吹かすというのは医者としてどうなのだ。
「・・・ここはどこだ・・・」
「第506統合戦闘航空団、A部隊のセダン基地ですよ」
日本人の少女が答えた。
第506・・・統合戦闘航空団、だと?そんな部隊は聞いたことがない。
寄せ集めの多国籍部隊かなにかか?
それにセダンということは・・・・・・ここはフランスか。
しかしなぜ?
ドイツに占領された国に私はいるのだ?この日本人の少女といい、やはり私は捕虜にされたということか?
いや、なぜかそうは思えなかった。
もっと詳しいことを知らなければ・・・そうと決まれば。
「君、私ならもう平気だ。それより、ここの部隊の責任者に会わせて欲しい。話をしたい」
「いいですよ。ちょうどみんなも集まってると思いますし」
少女は心良く応じてくれた。
「助かる。ああそれと、一つ確認したいのだが・・・・・・今の私の身分はどうなっている?」
「へっ?どうって・・・・・・患者さん、ですよね?」
ですよねと言われても困る。
「・・・・・・捕虜でないことは確かか?」
「捕虜だなんて!なにか悪いことしたわけでもないのに、捕虜にするわけないじゃないですか~」
「・・・ちなみに私は、捕虜に治療はしないぞ」
患者でよかったよまったく。
そう思いながらベッドから起き上がり、架けてあったジャケットを羽織り、ネクタイを締め、彼女に案内を頼んだ。
まだ少し痛むが・・・・・・そのうちに治るくらい軽いものだった。
ドーセ医師に感謝の言葉を述べ、私はこの少女・・・・・・黒田那佳とともに、基地のとある一室へと向かった。
「グリュンネ隊長~、例の方を連れてきました~」
「ご苦労様。黒田さん」
案内されたのは広い休憩室。内装はやけに豪華で、まるで上流階級の屋敷のようだ。
「そいつか?あのオンボロスピットに乗ってたブリタニア人っていうのは?」
「なっ・・・」
視線を向けると、そこにいたのは黒田と同じ年くらいの少女だった。
しかもその顔つきは、
「あ、アメリカ人だと!?なぜアメリカ人と日本人が一緒にいる!?いや、それだけではない・・・」
さらに視線を向けてみるとやはり同年代の少女たちが黒田を含めて9名ほど。
「ベルギー人にイタリア人、それにドイツ人だと!?日本人の黒田といい、アメリカ人までが一緒だとは・・・一体なにがどうなっている!?私はまだ悪い夢から覚めていないというのか?!それともここは現実に見せかけた天国、あるいは地獄なのか!!?」
「さっきからなにを言っておるのだこやつは・・・」
「変なものでも食べたのかな?」
「頭を強く打った、とか?」
「黒田さん。彼の容態は?」
「ちょっと打った程度で、大きな傷はありませんよ。頭の方は・・・・・・多分大丈夫だと思います」
「この様子では、異常があるかもしれないな」
「じゃあ頭の病院に連れて行く?」
「もしかしたら、精神的なショックを受けたんじゃ・・・」
「その可能性が高いな」
混乱する私をよそに、少女たちがなにか言っているが全くもってなにがなんだか話が呑み込めない。
こういう時は・・・・・・一度落ち着こう。
幸い、向こうは黒田と同様、敵意はないみたいだからな。
「・・・・・・いや失敬。突然のことだったもので、つい慌ててしまった。醜態を晒してすまなかった」
「立ち直り早っ!」
「それじゃあ、簡単なことでいいから、あなたのことを教えてくれる?」
お淑やかなベルギー人の少女のリクエストに応じることにしよう。
「私は、イギリス空軍第249飛行隊のジャレッド・ローレンス・メイトランド大尉だ。帰還中に謎の航空機に襲われて、気がついたらなぜかフランスのセダンにいた、という状況でなにがなんだかさっぱり分からん状態だ」
そういった直後、目の前の少女を含め、全員が頭に疑問符を浮かべていた。
私は変なことを言っただろうか。
「え、ええと・・・・・・メイトランド大尉、でいいかしら?」
「ジャレッドで構わん」
「じゃあ、ジャレッド大尉。一つ聞きたいのだけれど・・・あなたのいうイギリス空軍っていうのはどこの国の軍隊かしら?見たところあなたはブリタニアの人だと思うのだけれど・・・」
「それを言うなら、私はブリタニアなどという国は知らない。私はれっきとしたイギリス・・・いや、イングランド人だ」
「イングランドってことは、やっぱりブリタニアじゃん」
「でも本人は違うって言ってるよ?」
「なにがどうなってるんだ・・・」
「そういえば君は、我々のことをアメリカだの、ドイツだイタリアだ、ベルギーや日本と言っていたが、我々はそんな国は一つたりとも聞いたことがない」
「あなたはアメリカ人ではないと?」
「私たちはリベリオン!アメリカなんてのじゃないよ!」
リベリオン?叛逆?なにに抗ってるというのだ。
「・・・・・・黒田さん。彼、本当に頭のほうは問題ないのよね?」
「それではまるで私が頭のおかしい人間だと言ってるようなものではないか」
「ものではない。ものだ。言っておるのだ」
「キツい冗談だな」
「冗談言ってるように見えるか?」
見えない。彼女たちも嘘をついているような感じではない。
それにしても話が噛み合わ無さ過ぎる。
この違和感は一体なんだというのだ。
「・・・・・・ジャレッド大尉。今から私が話すこと、しっかりと聞いてくださいね」
そう言うと彼女、ロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネは語りだした。
まず初めに。
長いこと更新が止まっていて申し訳ありません。これが今年最初の投稿となりましたが、単に別作品からのを移しただけで最新話をあげたとは到底言えません…。
こうしたわけを話すと、簡単にいえば“路線変更”です。
今作品のコンセプトは「WW2の戦闘機パイロットたちがスト魔女世界に転移してウィザードとして戦う」というものです。バーリング主人公の502から始まり、新たに506も始めましたが、「物語の方針と世界線が同じならまとめたほうがいいのでは?」と思い、タイトルを「ワールドウィザーズ」に変えて、各章ごとにシリーズを割り当てました。なので、いずれかは他の部隊もやっていくつもりです。
ウィザードは基本、各部隊に連合国側・枢軸国側から一人ずつ配置する予定です。なので502のほうはまた修正がかかると思います。
最後に、こんな作品でもよろしければ今後ともよろしくお願いします。