大有双   作:生甘蕉

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オリ主の出番はまだ先です
今回は一刀視点


0.5
1話 一刀


 俺は北郷一刀。

 修行神ワルテナの使徒をやっている。

 女神ワルテナの名は俺の恩人がつけた名で、前の名は捨てたらしい。

 

 修行神というのは修行を司る神様ではなく修行中の神様で、俺の仕事はそのお手伝い。

 なんだけど、他の使徒やそのファミリアが強すぎて俺のやることはほとんどなかった。

 ファミリアってのはやはり修行神の手下で、使徒が契約した部下かな?

 俺も以前はファミリアだったんだけど、強力な武器や合成によるパワーアップ、それに予言神の神託もあって使徒になった。まだ、仲間(ファミリア)はいない。

 

 俺の武器は『ゲキリュウケン』。相棒でもある。

 ワルテナの使徒のアーチャーが俺のために用意してくれた魔剣だ。

 アーチャーは皮肉屋だが頼りになる。料理も上手い。

 前は俺が彼のファミリアだったらよかったのにと思うこともあった。撮影が忙しくてあまり会えないんだけどさ。

 

『一刀、人間同士の争いに力を貸すのか?』

 ゲキリュウケンが俺に問う。

 この剣は魔物と戦うために自ら剣となった戦士らしい。戦いの経験も豊富でアドバイスも的確だが、ちょっと口うるさい。

 そんなに俺、頼りないか?

 俺の前の持ち主が正義のヒーローだったんで、そいつと比べられてるのかもな。

 

「違う、人助けだ。俺がやるのは救出だけだ」

 戦場には紛れ込むつもりではあるが、積極的に参加するつもりはない。

「戦争にどっちが正義かなんてないんだしさ」

 俺が今いる()()は大きな戦争が起きている。できれば止めたいが、いくら神の使徒といえども俺とゲキリュウケンだけではそんなことは不可能だろう。

 

『一年戦争か』

「ああ……でもジオンだけが悪いってわけじゃないから」

 この世界は機動戦士ガンダムの世界らしい。

 アニメではジオン軍が敵役だったが、俺はジオンと戦うつもりにはなれない。

 ワルテナとは別の修行神の使徒、ヘンビットの影響だろう。

 彼は元は人間で、転生してエルフになって使徒になった……エルフというイメージからは想像できない逞しい筋肉とゴツいアゴを持つ男だ。

 ヘンビットは前世からジオン派でザクが大好き。俺にもその素晴らしさを力説してくれた。

 

 それだけではない。俺たちの使うアイテムを開発しているヴェルンド工房には転生者が多く集まり、参考資料としてガンダムや他のアニメを視聴していた。おかげで俺もオタクに片足を突っこんでいる。

 

 その時、もしガンダム世界に行くことになったらどうする? というのが話題になった。

 修行神の修行は異世界での救済。派遣先がアニメやゲームの世界によく似たところもあるらしい。

 かくいう俺もゲームの主人公キャラだと聞いた。ギャルゲー主人公というのはちょっと信じられないけどな。

 

 一番の資料になったのは俺の恩人が渡してくれたゲーム、ギレンの野望だ。

 彼はワルテナともヘンビットのとも違う修行神の使徒、煌一さん。

 ぬいぐるみにされた俺を人間に戻してくれた男だ。嫁さんがとても多いが、あんなにたくさんいるのに美少女ばかりで熟女がいないから別に羨ましくはない。

 

 俺は予言神の神託により、彼の担当世界の救援をすることになった。

 その世界はスーパーロボット大戦の世界だったらしいが詳しいことがわからないまま、その世界に行ってすぐに戦いになる。

 直接戦うことはできなかったが、俺をぬいぐるみにした宿敵ともいえるやつのロボットと煌一さんたちが戦っている最中、大きな爆発があり、気がつくと俺はこのガンダム世界にいた。

 

 どうやら、別の世界に跳ばされたようだ。

 煌一さんたちやワルテナとも連絡がとれなくなり、本拠地や拠点にも帰れなくなっている。

 

 で、さっきの話で出てきた一年戦争でしたいこと、だけど。

 

 

 キャスバル・レム・ダイクンの身代わりに殺された本物のシャア・アズナブルを助ける。

 ――無理。俺がこの世界にきた時に既に彼は死亡していた。

 

 テム・レイが酸素欠乏症になる前に救出する。

 ――これも無理。さっきガルマ・ザビの国葬をTVでやってたから、もう酸素欠乏症になってるはず。ワルテナが持たせてくれたアイテムで治療できるといいけど。

 

 マチルダ・アジャンを救出する。

 ――助けたいな。美人だもんな。ウッディ大尉と婚約してるのが残念でならない。黒い三連星からどうやって護るかが課題だ。

 

 クラウレ・ハモンを救出する。

 ――絶対に助ける! ……美人だけど内縁の妻かあ。ランバ・ラル隊を支援すればホワイトベースを落とせる、ってヘンビットたちが力説してたけど、そこまですると完全にジオンに協力してることになっちゃうから、しない。決してハモンさんを未亡人にしたいからなわけじゃないぞ。

 

 ミハル・ラトキエを救出する。

 ――ホワイトベースから落ちたとこを回収。ゲキリュウケンと強化アイテムのマダンキーを使えば俺は空も飛べるけど……できるのか?

 

 トップを救出する。

 ――小隊長なのにザクIを使っていた彼女は偉い。絶対に助けなきゃ! とヘンビットが以下略。ホワイトベースをマークしてると第08MS小隊の舞台は遠いんだけど。

 

 ケルゲレン子を救出する。

 ――本名は不明らしい。やはりホワイトベースとは距離がありすぎるのが問題だ。マーキングとポータルをうまく使えば距離の問題はなくなるけど、ホワイトベースは移動してるから面倒なんだよな。

 

 

 

 なんだか女性キャラ救出ばっかりだ。

 あ、バーニィも助けなきゃな。スパロボだとザクフェチらしいから。

 サイクロプス隊も全員助けて戦力にする、ってヘンビットたちは言うだろうけど……。

 他にも助けろって軍人多かったけど無理だ。戦争に加担したくはない。

 

「行くのかい?」

「ああ。地球に出たっていう怪獣も気になる」

 ベッドにシーマを残していくのは、すごい後ろ髪を引かれる。

 

 彼女も俺の恩人だ。

 シーマ・ガラハウ。

 ジオン軍の美熟女将校。

 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYの()()()()

 ジオン公国軍海兵隊艦隊代理司令官で、この世界にきた時いきなり宇宙空間に放り出されあわてて魔弾スーツを装着して宇宙を漂ってた俺を拾ってくれた。

 0083では悪役にされちゃってるけど、部下には慕われているしファンからの人気は高く通称はシーマ様。

 

 ちょっと尋問もされたけど、部下思いのいい人だ。

 保護というか、不審者として監視下におかれてたんだけどさ。

 なんか気に入られたみたいでね。

 汚れ仕事ばかりやらされてるせいか、不信感のある上層部へは俺のことを秘密にしてくれた。

 

 彼女はジオン軍の行った毒ガス作戦に参加し……それがトラウマになっていて悪夢をよく見る。

 睡眠不足にもなっていたみたいなので、ちょっと膝枕してあげたらグッスリ寝てくれた。

 そのせいで俺は抱き枕としてシーマのおやすみアイテムの1つとなり、いつの間にか、もっと深い関係にもなってしまった。

 

 

「あいつらには見つかるんじゃないよ」

 あいつら、とはシーマの部下の海兵隊たち。シーマを慕っており、よく俺にヘッドロックしながら「シーマ様を頼むぞ」と言ってくる厳ついおっさんたちだ。

 俺がここを離れるなんて知ったらきっと止めてくるだろう。物理的な手段で。

 

「悪夢が辛くなったらいつでも呼んでくれよ、シーマ」

 シーマには予備のビニフォンを渡してある。これがあればマーキングとなっていつでもポータルが開けるだろう。最新型は稼働時間も長いからたまに会いにきてMPをチャージすればいい。

「これでかい? こんなオモチャでそこまでの性能があるとはねぇ……」

 問題はその外見。煌一さんがくれたんだけど、魔弾戦記リュウケンドーに出てきたショットフォンなんだよね。携帯とSHOT隊員証、魔物レーダーを兼ねているアイテム。

 最新型ビニフォンは立体映像を表示できるし、それへのタッチ操作だけじゃなくて思念操作もできるからどんな形でもいいとはいえ、このオモチャっぽい外見なんとかならなかったの? ゲキリュウケンとはマッチしてるけどさ。

 

「俺の言ったことはよく覚えておいてくれ」

「ジオンが負けて、海兵隊ごとアクシズへの撤退を拒否されるってやつかい。ジオンの悪事を全部おしつけられて……あいつらならやりかねないねえ」

「ああ。できればそうなる前に軍を離れた方がいい」

「行くあてなんかないさね。故郷もコロニーレーザーにされちまうんだろう?」

 彼女や海兵隊の出身コロニー、マハルはソーラ・レイに改造されてしまう。帰る故郷を失うのだ。

 

「それなら俺が面倒を見るよ」

「一刀と契約しろっていうのかい? まるでプロポーズだねぇ。軽々しくそんなことを言うもんじゃないよ」

 契約。シーマは魔法少女に……ではなくファミリアになれる素質があった。

 当の俺が言うのもあれなほどに胡散臭い話なのだが、初めて会った時に契約空間に入ってしまって、それで俺の言うことを信用したようだ。

 

「悪いが部下がいるんでね。一緒に人類史上最大級の民間人虐殺をした仲さ。あたしだけが幸せになるなんてできないのさ」

「シーマ……もし、海兵隊のみんなも面倒みれるようになったら」

「あいつらも嫁にするつもりかい?」

「おっさんは無理! じゃなくて、居場所を用意できたらその時は考えてくれ」

「そうだねぇ、ファミリアでも嫁にでもなってあげようさね」

 全く信じてくれてないな、これは。

 それもそうか。海兵隊の人数、多いもんな。

 

 

 

 リュウケンドーに変身してシーマ艦隊を抜け出し、召喚した獣王サンダーイーグルと合体、サンダーウイングリュウケンドーになって地球を目指す。

「退屈だな」

『先は長いぞ、一刀』

「単調すぎて眠くなってくる」

『少し休め』

 宇宙空間を飛ぶのって最初は感動したけど、もう飽きてきたよ。

 俺はゲキリュウケンの指示に従って休憩をとることにした。サンダーイーグルも休めたい。

 

 ヴェルンド工房の技術力は凄まじい。

 半信半疑だったが宇宙でも仮設トイレが使えた。魔法で中の空気が外に逃げないようにできているらしい。水中でも使える。海神の強い要望により追加された機能だそうだ。

 これのおかげで地球へ行くことを決意した。ゲキリュウケンがこれに気づかなかったら、もっと先送りになっていただろう。

 便座に腰かけてスタッシュから食事を取り出す。便所飯だが仕方ない。仮設トイレは非常に清潔で匂いもないから気にならない。

 

 ゲキリュウケンとマダンキー、それにこの仮設トイレにもMPをチャージして睡眠をとる。

 時間になるか、仮設トイレになにかが接近したらゲキリュウケンが起こしてくれるだろう。

 ……シーマもちゃんと眠れてるといいんだけどな。

 

 




この一刀はオリ主によって、熟女のみ大好きに改竄されています

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