大有双   作:生甘蕉

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感想、評価ありがとうございます


番外編 異世界息子

 新西暦187年。

 新たに俺たちの関係者と思われる融合者が見つかった。

 思われるなんて持って回った表現なのは理由がある。

 

「父上!」

 

「そう呼ばれるのは微妙なんだが……」

 

「すみません、つい。父上にそっくりですので」

 

 目の前にいるのは俺によく似た金髪の男。

 彼の融合元の名前は曹昂(そうこう)。外史だか平行世界だかの俺と華琳との子供らしい。

 華琳が以前会ったという異世界華琳の息子だろうか?

 

 話によると華琳以外の恋姫ヒロインも嫁にしていて、その嫁さんたちにも子供がいるとのこと。こいつの年齢から見て時間軸が俺よりも進んでいるのか。

 

「異世界にこれてよかった。これで結婚相手を探せます」

 

「え? まさかお前も呪われているのか?」

 

「呪われ? ……ある意味呪いですね。妹たちに結婚を邪魔されてるんですよ、ずっと」

 

「妹?」

 

 曹昂は異世界俺の子供では一番上で、多くの妹と一人の弟がいた。

 その妹たちが自分を狙っていると嘆いている。

 

「狙ってって……妹だろ?」

 

「そうなんですよねえ。俺としてはリアル妹は女性として見られないんですが。父上に押しつけようにも母上たちのガードが厳しくて」

 

「おい。いくらなんでも異世界の俺だって自分の娘には手を出さないだろ!」

 

 そりゃ嫁さんが美人ばかりだから娘だって可愛いだろうけどさ。

 近親相姦はありえないっつの。

 

「そう思っていたんですけどね。……娘同然だったはずの璃々姉ちゃんも、柄ちゃんも、父上にとられちゃって」

 

「柄ちゃん?」

 

「祭おばさんの娘です」

 

 ああ、呉ルートのラストに出てきた子か。

 たしかに可愛かったが、その子を嫁に? 璃々ちゃんも?

 

「祭は異世界の俺の嫁じゃないのか?」

 

「はい。一刀さんの奥さんですよ。紫苑おばさんも桔梗おばさんもです」

 

 むう。異世界の俺は非処女とは結婚しなかったということか。それとも一刀君に先をこされた?

 ……異世界の一刀君まで熟女好きに改竄したわけじゃないから違うか。

 むしろ気になるのは別のことだけどさ。

 

「……おばさんって呼んで怒られない?」

 

「あ、父上の兄の奥さんだからそう呼んでるんです。父上は一刀さんの妹も奥さんにしていますので。一刀さんは父上の義兄なんです」

 

「なんだって!」

 

 そこで反応するか、一刀君。

 祭や紫苑たちとの結婚には無反応だったのに。

 こっちの熟女好きな一刀君からしたら、今の彼女たちはストライクゾーンにかすりもしていないからなあ。

 

「煌一さんが弟……」

 

「いや、異世界の話だからね。というか、祭たちはおばさんなのに一刀君はおじさんじゃないのか?」

 

「はい。尊敬してますから! あ、父上も尊敬してますよ」

 

 そんな取って付けたように言われてもな。

 異世界の一刀君が俺の義兄、ねえ。……祭の娘とも結婚したんじゃさらには義父ってことにもなるんじゃないのか?

 

「璃々姉ちゃんも、柄ちゃんも俺の結婚相手候補だったんですけど、璃々姉ちゃんは父上一筋でしたし、柄ちゃんはいつの間にかです。母上たちの目を盗んでそれを成し遂げた父上を尊敬してます。マジリスペクトです!」

 

「そんな尊敬はちょっと……俺じゃないんだけどさ」

 

「こっちの父上だって奥さん多いじゃないですか。俺の父上よりも数が多いのはビックリですよ!」

 

「う……俺は娘には手を出したりはせん!」

 

 嫁さん多いのは俺だって気にしているけどさ。

 いいんだよ、俺は分身できるんだから!

 

「じゃあ、璃々姉ちゃんと俺が結婚できる!」

 

「……ほう。いい度胸だな」

 

 貴様のようなどこの馬ともしれん男に璃々ちゃんをやれるとでも?

 指ポキしながらこいつをどうするか考える。

 さっさと元の世界に送り返してやった方がいいだろう。

 

「じょ、冗談です」

 

「笑えない冗談はやめてくれ。お前にはニナがいるだろう」

 

「え、嫌ですよ、あんな紫豚。あれはガトーさんとくっついていればいい」

 

「たしかに」

 

 俺もあの女は嫌だ。ガンダムに対する話なら盛り上がれるかもしれないが、女性としては見れないだろう。

 その会話に一刀君がため息。

 

「……コウ・ウラキと融合してるとはなあ」

 

「俺もビックリですよ、一刀さん。まあ、なっちゃったもんは仕方ないし、このチャンスにお嫁さんを見つけますよ、俺は!」

 

「異世界の俺の息子とは思えないポジティブシンキング。華琳の子ってのも信じられるかも」

 

 一番に出てくるのが嫁探しってどんだけなんだか。

 とてもウラキと融合したとは考えられん。金髪だし。

 まあガンダム主人公でもトップクラスの不遇主人公だと考えれば、それに引きずられない方がいいのか。

 

「俺よりも妹の曹丕の方が母上に似てますって。ほんとそっくりです」

 

「華琳そっくりか。そりゃ可愛いだろうなあ。そんな子に狙われてよく耐えられたな」

 

 華琳にお兄ちゃんなんて呼ばれて迫られたら、俺だって手を出しちゃうかもしれんのに。

 なのに昂・ウラキは真っ青になってブルブル震え出す。

 あれ? なんかトラウマスイッチ入った?

 

「可愛い妹たちですけど、あれはないです! なんど捕獲されて襲われたか! おかげで縄抜けが得意になりましたよ!」

 

「お、おう」

 

「あいつらの邪魔が入らないうちに俺は嫁を見つけなければならないんです!」

 

 いや、そこまで泣かんでも。

 この辺は俺の息子っぽいなあ。

 

「なら、昂はどんな女性がいいんだ? 力を貸すぞ」

 

「さすが一刀さんです!」

 

「俺だって協力するって。俺の嫁さんや娘以外なら」

 

「ありがとう父上!」

 

 異世界とはいえ息子だし、嫁取りに協力するのもいいか。

 可愛い子に「おとうさん」と呼ばれるのも捨てがたいし。

 とはいえ、ウラキの相手でニナ以外となるとルセット・オデビーか?

 

「で、誰か好きな子はいるのか?」

 

「そうですね、ガンダムキャラだったらプルちゃん姉妹がいいです。絶対に全員助けましょう!」

 

「はい? そりゃ助けたいけど……」

 

「ティファちゃんもいいですね! いるかわからないですけど」

 

 間違いなく俺の子だ、こいつ!

 だってロリコンだもん!

 孤児院の子たちには会わせないようにしないと。

 

「ちょっと幼すぎないか? 女性の魅力はクリスマスを過ぎてからだぞ」

 

「さすがシーマ様を落とした一刀さんです! あ、俺はシーマ様とは敵対するつもりないんで安心してください」

 

「当たり前だろ。シーマも味方なんだから」

 

 シーマを倒すのはコウだもんなあ。その前に試作1号機を虐められるけどさ。

 こいつ見てるとあのウラキになるのが想像つかん。

 モビルスーツ好きではなく幼女好きだしさ。

 

 ここは成現(リアライズ)して強化しないと生き残れないかもしれない。

 このシャッフルされたスパロボ世界はハードすぎるのだから。プルちゃん姉妹を助けるためにも力が必要だろう。

 

 そうなると、どういうイメージを籠めるか、だが。

 ウラキと融合しているから、ニュータイプ化というのはちょっと想像できない。オールドタイプでも強いのがウラキなんだから。

 ニュータイプだから強いというワケでもない。カツより使えるのは確実なのだし。

 

「父上?」

 

 そうなると、中の人で考えた方がイメージしやすそうだ。

 幸いと言っていいのか、声は俺に似ていなくてウラキそのものみたいなのだから。

 

「やっぱりニンジンは嫌いなのか?」

 

「いえ、そうでもないですよ。好きというわけでもないですけど」

 

 弱点を減らそうとも思ったがその必要はないと。

 ニンジン(カカロット)は平気か。

 ……ベジータにすると強そうなんだけどなあ。食事量が大変になるから宇宙船暮らしするには向かないか。

 

 ならば聖闘士にするか?

 ……いや、アンドロメダの聖衣だけ用意すればなんとかなるかもしれん。

 この案は保留、と。

 

 風神剣か魔王剣を用意するのもありか?

 でもハゲそうだしなあ。

 こっちはナシだな。

 

 ならばドリムノート……MP足りそうにないな。

 敵の手に渡ったりしても困る。つーか、狙われまくることになるか。

 却下だ、却下。

 

「難しいな」

 

「さっきからなにを考えているんですか?」

 

 お前の強化案をな。

 艦隊司令にでもなっていればラインハルトになってもらうのも悪くなさそうだが。

 それとも思い切ってナイトオブゴールドを……アマテラスはポイントが足りんな、どう考えても。息子がオカマになるのもちょっと嫌だ。

 

 あとは……あれしかないか。

 本人を成現(リアライズ)するかはもう少し考えるとして、取りあえずアイテムで強化できるか様子を見ることにしよう。

 娘ならばともかく、息子なのだからそんなに甘やかす必要もあるまい。

 

「どうしたんです父上? いきなりハンカチなんか握りしめて」

 

「待つんだ昂、静かにして集中させてやれ。あれはきっと……」

 

 一刀君のおかげで集中できた俺は無事に成現(リアライズ)に成功した。

 これならば異世界の息子の役に立ってくれるはずだ。

 

「えっ、ハンカチが真っ赤に変わった? 凄い、父上は手品もできるのですね!」

 

「……まあ、手品みたいなもんか。昂、このバンダナを頭に巻きなさい」

 

「バンダナ? ハンカチじゃないんですか?」

 

 受け取ったバンダナを素直に頭に巻く昂。

 ふっふっふ。もちろんあれはただのバンダナではない。

 心眼がセットされたバンダナなのだ。

 

 そう、あのバンダナは横島君のバンダナである。

 中の人も同じだしきっと役に立ってくれるだろう。

 もし霊力に目覚めなくてもアドバイザーぐらいにはなってくれるはずだ。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 ……いやあ、まさか文珠までマスターするとは思わなかった。

 さすが華琳の子だ。煩悩がエネルギー源ってのもそれなら頷ける。

 あれならばこっちで見つけた嫁たちと元の世界に帰れるだろう。

 

 まさか、あんなにロリを落とすとは思わなかったけどな。

 

「異世界のとはいえ煌一の子らしいわね」

 

「ええっ!?」

 

 なんでみんな頷いてるかな?

 

 




活動報告に出したキャラが出てますが
エープリルフールの嘘ネタです

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