【原作沿い】次元跳躍者の往く、異世界放浪奇譚 作:冷やかし中華
でもタイトル的には、これはこれでしっくりきますね(やっつけ感)
なお、本編とは、きっと一切の関わりはありません(たぶん)
E01:Second Sunrise
チ…… チチュン…… チチチ…… チチュン……
「八尋~ そろそろ起きようよ~」
「うーん。あと120時間くらい……」
「なげえよ、アホか!!」
そういって俺が被った布団を剥ぎ取ろうとする銀髪の少年の抵抗も虚しく、俺は更に身を縮こまらせて布団に籠もる。
要するに「眠いものは、眠いのだ。だから寝かせろ」ということである。今日が
そういって黒髪ツンツン頭の少年ことゴンと、銀髪の暗殺一家跡取り少年ことキルアの抵抗を全て無視して完全防御の姿勢で布団の中に丸まりこんだわけだが……
「ゴン、それにキルア。お前たちは八尋の扱い方というものを本当に分かっておらんな」
「あ、お月様!」
そういって頭上から響く美声に背筋がゾクッとした。これはいけない。最悪の場合、また一から自宅を建造しなければならない可能性が出てきてしまった。うん、それは、良くない。良くないが――
眠いものは、眠い
――俺の中の天秤は、その可能性すら切り捨てて欲求に従うことにした。
「おい、お月様も笑ってねえで、いい加減コイツ…… 八尋を起こすの手伝ってくれよ。ずっとこんな調子だぜ、さっきから……」
そのキルアの言葉に内心でクツリと笑う。大方、姫さんに俺の呼称を睨まれたに違いない。
「うむ、そうだな。普段ならば、こんな瑣事程度、お前たちに任せるところではあるが…… そろそろ、私もコイツを起こさねばならないと思い始めていたところゆえ、不本意ではあるが手伝ってやろう」
「ホント! ありがとう!」
「悪い…… マジで頼むわ。っていうか、毎回こんなんなのかよ、八尋」
その上からな声にも不満を漏らすことなく明るく答えるゴンの姿と、なんだかんだ言いながらも、それになりに姫さんに心を許しているキルアの姿、それぞれに満更でもなく頷く姫さんの姿が用意に想像でき、この目的が一致した編成の攻勢をどうやり過ごそうかと考える。
「八尋、"月落とし" と "カナタの謹製お重" を食べられなくなるのは、どちらが好みだった行動で示すがよいぞ?」
「「「…………………」」」
それ考える意味あるの?
ゴンとキルアは後者はともかく、前者は何のことかサッパリだろう。想像してはいけない、それがどういう意味なのかを。考えてはいけない、それが実行された場合の後のことなど。
つまり、俺に出来ることと言えば――
「それ、俺に選択肢ないじゃんか」
――観念して布団から這い出ることだった。
「お月様すごい!!」
「つーか、なんだよ "突き落とし" って。八尋を布団ごと、どっかの谷底に落とすつもりだったのか?」
ゴンの反応は素直で微笑ましいものだが、キルアの反応は、うん。これはこれで微笑ましいものがある。語呂のニュアンス的に盛大な勘違いが含まれていそうだが、それは指摘しないが吉だろう。なんたって姫さんの口走った
「まぁ、似たようなものだ」
キルアの言葉に微笑を浮かべて答える姫さん。それ純度100%の大ウソだよね…… どの辺が『似たようなもの』なのか言ってみなよと抗議したいところではあるが、言ったところで大した意味は無いので俺も苦笑いを浮かべるに留める。そして、丁度、俺が布団から抜け出て背伸びしたタイミングで割烹着姿をしたカナタが襖の先からひょこっと顔を出した。
「あ、ご主…… 八尋も起きたんですね。そろそろ
そういってカナタは姿を消した。あぁ、そういえば数日前から仕込みをいろいろしていたなと、まだボケッとした頭で考える。
あのときのクロロとイルミの死んだ魚のような目は、なかなかに見ものだった。一番生き生きとした表情を常に保っていたのは呼んでも居ないのについてきたのはヒソカだったし、そのヒソカがクロロに対して何かしないようにという名目で着いて行きたいと声を大にしたのはマチとパクだった。2人とも付いてきたのはいいけど外側をウロウロしている間、ほぼ常に俺がお守り役に徹する羽目になり、涙目だったのは記憶に新しい。
涙目といえばミズエとチードルもだったな。特にチードル、キミは協会の会長業務を放り投げて何やっているのかな? と聞いてみれば「何処かの誰かがV6の『許可』も取らずに外に出ようとするから目付け役として着いて来ました。これはハンター協会会長である私の役目です」なんてウソばっかりでしょ。そういう意味で言えばギンタとかの方が間違いなく適任だったよって言っても今更か……
それ以外には、気がついたら何時の間にか十二支んを止めていたパリスとジンも着いて来ていたが、この2人、普段は犬猿の中だったようだけれども、外側では何だかんだで確執に拘る余裕も無かったようで、そんなことを忘れて仲良くやっていたようである。それはそれで良かったかなと(俺が非戦闘員の女性陣4人のお守りに掛かりっきりで手が回せなかったというのもあるが)。パリスのスーツではない姿も珍しくて褒めたら嫌味100倍かと思いきや何気に耳まで赤くしていた。何故? おまえ、そういうキャラじゃないだろ。そして、ジン、お前は笑いすぎ。そんなんだからパリスと仲が何時までたっても悪いんだよ。師弟の頃から変わってねえな、マジで。少しは学習しろ。そういって拳骨を落とせば、今度はパリスが控えめに言ってゲスな笑いを浮かべていた。うん、こいつ等、似たもの同士で同属嫌悪しているだけだったわ。構うだけ時間の無駄だな、これ。
という感じで具体的に外側に出たメンバーの行動を分かりやすくグループごとにして括ると――
・姫さんが単騎特攻で食材集め。
・俺は連れてきた若者たち(マチ、パクノダ、ミズエ、チードル)のお守り。
・勝手に付いて来たヒソカが要所要所で死にかけたり、クロロとイルミに盾にされていたり。
(あまり良く見ていなかったけど、この男性陣3人は、それはそれで意外と上手く強調していたっぽい)
・パリスとジンの意外な息の合わせ方に感心したり。
(この2人は何だかんだと、向こう側のいる生物の陽動が巧みで初見とは思えない動き方だった。上のグループも、そういう意味では似たようなもんだが)
――こんな感じである。
それにしても依頼された食材を2ヶ月近く掛けて持ち帰った後にカナタに激怒されたのは何故だったんだろう。依頼したのはカナタでしょ? 俺は、悪く無くない? え、人選に問題が大アリだったって? いや、皆、無事だったんだし結果よければ何とやらじゃないかなぁ(控えめに言って10回以上死にかけたヤツがいたけど)。え ダメ? そうか、ならば次は気をつけるとしよう。次があれば、ね。
そんなわけで内外問わずに手に入れた食材をふんだんに使って作られたカナタ謹製の新年に味わう料理である。噂によると、この御節料理を年末頃に少し遅めのサンタに扮した姫さんの手によって届けられた、医者のタマゴとして活躍する老け顔の若者や、復讐を諦めたのか良く分からないけど1つの区切りをつけた若者、倶楽部賭朗の面々や幻影旅団の面々、ハンター協会の面々、某世界最高峰の暗殺一家、あとついでに十老頭と陰獣のメンバーたちには大層ウケが良かったようである。うんうん、善哉善哉。
でも、その裏で乗り物に使われたビッグバン・シャークやジャニス・ユニコーンたちが
「どうした、カナタ謹製の御節が余りにも上手過ぎて昇天でもしていたか?」
「いや、此処にくるまで少し長かったなと回想していた」
「はい。とっても長かったですね。アレに懲りたら、もう二度とあんな滅茶苦茶はしないように!
それと料理の、その、感想は如何ですか?」
カナタに睨まれ、俺と姫さんは閉口し、事情は良く分からないまでも何があったのかは用意に察したらしいゴンとキルアは一緒に着いた食卓で苦笑いを浮かべていた。
「カナタの料理は普通に美味いね。次は宙の果てからも取り寄せようか」
「それはイロイロと問題があるので自重するように」
「宙の果て? 何処だ、それ」
「なにそれ。行って見たい!」
カナタは新年早々に一発目の溜息を吐き、キルアは俺の言葉をいぶかしみ、ゴンは興味津々である。それらをマルッと無視して箸を止める様子の無いを姫さんにチラッと眼を向ければ口の端に赤飯が一粒。俺はクツリと笑みを浮かべて姫さんに声を掛けて箸を止めさせると、その米粒を摘んでペロッと口に運んだ。
―ボンッ―
何かが破裂するような音とともに耳まで赤くなって忙しなく動かしていた箸を止め、手元に置く姫さん。
―?―
その様子を見て絶句する3人。ん? 一体、何が??
「「八尋、あとで少し話がある(あります)」」
小首を傾げていると同時に口を開く姫さんとカナタの反応に背筋を冷たいものが伝った。
「え? え!?」
深まる混乱に笑顔を消して語るのは年少とは思えない言葉で語るゴン。
「もう八尋は少しは
そして俺が死なないことを見越しているのか何でもないように宣うキルア。
「ゴン、無駄だよ。コイツのコレは死んでも治る気が死ねえ」
どゆこと!!?
* * *
食事が終わり、手を合わせて「ごちそうさま」と集ったみんなで唱和を終えたタイミングで姫さんに首根っこを掴まれた。腰を浮かしていたのを完全に見切られていたらしい。
「さて、少し場所を変えて先程申し伝えたとおり話でもしようかのう。八尋?」
「私もお供しますね?」
「よい。特に許すぞ、カナタ。着いて参れ」
「はい。勿論です」
姫さんは掴んでいた首から手を離し、代わりに俺の腕に自らの腕を絡める。反対の腕にはカナタの腕が絡んでいる。その様子に普段であればムスッとした表情を浮かべるキルアも心なしか顔が青く、ゴンは笑顔を引きつらせている。そして、その現況となっている2人の眼が全く笑ってない。あ、これ、死んだわ。死ねないけど。
そのまま俺たちは裏の世界へ姿を消すことになった。
* * *
「行っちゃったな……」
「うん、行っちゃったね……」
「どうする、これ」
「とりあえず今のうちに片付けておこうよ。カナタさんとお月様が帰ってきたら少しでも楽させてあげないと」
「そうだな。じゃねえと
「お月様にもね」
「あの女は、そもそも仕事なんかし…… なんでもないわ。そうだな、あの2人に仕事させるわけには行かないよな」
「うん」
後に部屋に残された年少の少年たちは語る。あんなボロボロな八尋の姿を見たのは初めてだったと。八尋と一緒に消えた姫さん、そしてカナタが消えた先で何をしていたかを伝え聞いた2人は、その口伝に、こう漏らしたという。
「それが事実なら、世界が七度生まれ、その都度滅びたような感じだな(ね)」と
新しい1年が始まる。その1年が良いものになるのか、悪いものになるのかは誰にも分からない。分からないが、これだけは言えるのだろう。
「「「「「「「
俺、何も悪いことしてないと思うけど!!?
* * *
「まぁ、完全に作者都合のヤラレ損な気がするけど、今年も、こんな稚作で良ければ見てやってくれ。よろしく頼む」
「うむ。こんなノリだが楽しんでもらえれば私も嬉しく思うぞ」
「はい。作者も八尋も問題だらけですけど、よろしくお付き合い頂けたら幸いです」
そんなわけで
Happy New Year 2017
今後とも、よろしくお願いいたします
今年も地道に更新していきますので、よろしくお願いいたします。
それにしてもテキトーなネタの寄せ集めとともに書き始めたの22時は少し遅すぎました。
なのでタイトルに合わせて2日の日の出時刻(平均)に合わせた予約投稿です。