【原作沿い】次元跳躍者の往く、異世界放浪奇譚 作:冷やかし中華
駆け足だけど、この話で三次試験が終了します。
ちなみに主人公組みと合流させたのはオリジナルの展開を書くのが面倒だったから。
需要があるなら他のシーンも書くと思います。無いと思うけど。
三次試験も僅かに2回の多数決を経た後、闘技場の様なところに出たことで、これが1つの山場?という雰囲気を出していた。闘技場が見える反対側に5人の人間がいること以外は取り立てて目立ったものは何もない。強いて言えば、足を踏み外せば、下の見えない奈落へ真っ逆さま、ということだろうか。まぁ、仮に落とされたとしても俺にとっては何も問題など起きようもないが。他の4人は、そうもいかないだろう。それも『今は』という前置きは付くが。
何より、本当の二次試験から三次試験にかけて移動している間に何があったのやら。ゴンとキルアが念能力に代表されるような特異なチカラにこそ目覚めてはいないが、一目見ただけで数時間前に見た時と打って変わって急な成長を遂げているというのが如実に感じられたのだ。
(『男子三日会わざれば刮目して見よ』という故事に伝わる言葉があるが、これは本当に凄いな。こっちで初めて逢った男を思い出すな……… って、そうか。ゴンは、もしかして?)
ふと、そのゴンの姿に暗黒大陸と呼ばれるところで初めてあった人間の、名前が思い出せなくなって久しい男の面影を見た。あれは一体誰だったか。それに、
しかし、本当にゴンとキルアの成長の度合いは著しい。まるで面倒を見始めたばかりの頃のクロロたちを見ている様だなぁなんて感慨深く思っていると、どうやら、この闘技場で行われる内容の説明が終わっていた。
曰く――
『対戦順と対戦内容は自由。こちら3勝すれば先へ進める。3敗した時点で時間終了まで、この場で過ごさなければならない』
――とのこと。
うーん、それって……… 3敗しても飛び降りて無事なら試験は続行できるって事だよな?
それ以前に、この場所で残りの時間を過ごすって、その間のトイレとか食事とか、どうするつもりなんだろうか? などというツッコミどころの多さに困りはしたが、最悪、3敗しても4人を抱えて飛び降りればいいと考えれば、また悪戯心が擽られるというもの。
そして、勝負の行く末を決める第一試合が行われることになった。というか、こんなものでも『○:闘う / ×:闘わない』なんて選択肢があるのかと辟易とした気分にもなったが、まずは相手方を試合形式のアナウンスをしたスキンヘッドの男が出るというので俺が「はいはいはい。俺やるよ!」と言ったのだが、何故かゴンを除いた3人には無視された。
「なして!?」
「「「胸に手を当てて考えろ!」」」
3人からの鋭いツッコミにゴンは苦笑いを零し、俺は胸に手を当てたが、理由がちっともわからない。だが、そんな俺を余所に、やがて4人で合議をしたらしい結果、第一試合はキルアが出ることに決まったようだった。
完全にハブられた理由は不明のままだったが、まぁ、それはそれで別に構わないかと体育座りで事の成り行きを見守ることにして、ついでとばかりにキルアの試合にお題を出すことにする。とはいえ、そんなに難しいものでもなく単に「殺すなよ」と言葉にしただけだった。キルアは俺の言葉に対して実に不満気だったが「カナタも見てる」というと現金なもので渋々「わーったよ」と生返事を返してきたので俺は苦笑いを零しながらうなずた。うん、これも、いざという時に使えそうだと対キルア特攻用のキーワードとして俺は大事に脳裏へメモを残すことにしようと心に秘めながら。
「勝負の形式はデスマッチを提案する。どちらかが『死ぬ』か、『まいった』と宣言した時点で勝負ありだ」
その言葉にキルアは心底愉快そうな雰囲気を醸し出しながら「いいよ」と返事をして試験が始まった。というよりも、ほとんど開始と同時に決着したという方が正しいのだが。
「ま、まいった………」
起こったことは単純明快、明らかに実力の劣る元傭兵みたいな男がドスドスと音を立てて間合いを詰めたところにキルアは足払いを1つ。たった、それだけのことで試験官を務める男の片足はへし折れ、リング上をのた打ち回る。まぁ、情けない叫び声をあげられるよりかはマシか。その後、キルアは何も言わずに試験官の聞き手とみられる手を取り、容赦なく指先から順番に『ベキッ』『バキッ』『ボキッ』と骨を次々と折っていった。言葉にすれば、たったそれだけ。その間、終始キルアが無言だったのも相手には、かなり効いたのかもしれない。それが第一試合の内容だった。
「おつかれ。あ、これカナタからのご褒美な」
もちろん嘘だが。だが、それを嬉々として受け取るキルアは年相応の子供に見えて実に可愛いものである。俺から手渡されたチョコ菓子を口の中へ放り込んで満足気に頬を綻ばせていた。カナタ効果抜群である。
――第二試合。
俺は相手の姿を見て、その余りにも華奢な容姿に興味を殺がれ何も言わずに沈黙する。頭脳系のゲームが試合になりそうという意味では内容次第では面白くもあったが、ゴンが自分がやると早々に宣言したので満場一致で対戦が決定した。
試合内容は試験官から手渡された蝋燭に灯された火を『どちらが、より長持ちさせられるか』というもの。実に詰まらない内容で俺はガックリと肩を落とし、何故か、その様子を控え側に残る3人に心配されるほどだった。こんなことでは心配してくれるんだな。意外。
まぁ、結果だけ先に書くと当然にして手渡された蝋燭には仕掛けが施されていた。ゴンは表裏の読み合いなど関係なく長い方を多数決で勝ち取っていたが故、激しく燃える蝋燭をリングに置くとダッシュで相手へ近づいて一息。
「これで、俺の勝ちだよね?」
そう宣言したのだった。うん、これは最初に手渡される蝋燭には、長短どちらの蝋燭を選んでも同じ仕掛けがされていたと見るならば、逆に深読みして短い方をチームで選んでいたとしたら詰んでいたな、というのが俺の感想だ。もちろん、このあとゴンにもご褒美にチョコをあげた。
――第三試合。
相手は、もう見るからに酷い有様だけれど一応身体は鍛えこんでいるらしい男。対戦するのはクラピカ。この試合も一方的なものだった。当初は第一試合と同様にデスマッチという話だったが、それを
しかも、そこまでしておいて切られた相手の虎の子が「自分は元クモのメンバーであることを騙り、何人か殺した」とか何とか言っているあたり、もう滑稽すぎて笑いすら出てこなかったが、それがどうやらクラピカの琴線に触れたらしい。瞳の色を変えて思いっきりぶん殴って相手を気絶させたのだ。それについて感想を述べよと求められれば俺が言えることは1つだけ「ダメだ、この子、全く成長していない」と漏らすだけである。そのことに3人は首を傾けたが、それについて俺に瑕疵はない。
何せ、これだけの人前で、また性懲りもなく『緋の眼』とやらを晒しているのだから。もう、なんなの!?
「あのさ、クラピカ。試合の後で悪いけど、お前は二次試験に入る前に俺たちに言われたことを理解しているのか?」
その様に戻ってきたクラピカが何かを言い出す前に問えば、忘れてましたと言わんばかりにハッとなり、申し訳なさそうにしている。その後、レオリオの出た第四試合を無視してところどころゴンが尋ねる話に耳を傾ければ、どうやらクラピカは節足動物の一種である『蜘蛛』を見ただけでも瞳が赤くなるとのこと。何コイツ、自殺志願者だったの? っていうか理知的に見えるのは外見だけかよ! そう俺が声を大にしたのも無理からぬことだと信じたい。
なお、それに至る前に完全に沈黙してしまったクラピカは体育座りで壁際に寄りかかり、何を言っても梃子でも動かない状態となってしまったのを見た俺とキルアは盛大に溜息を吐き、ゴンは狼狽し、レオリオがキレるという悪循環。なんだこれ。この中で一番精神年齢がガキなのがクラピカとは思いもしなかったよ。もちろんチョコはあげなかった。
その後、すったもんだあった挙句、第三試合は未決着のまま、第四試合にレオリオが出ることになった。
――第四試合。
試合内容は、それぞれの持ち時間をチップにした形式で進行するミニゲームの様なもの。まずレオリオが、第三試合の詐欺師っぽい青男が死んでいるか、生きているかで勝負を持ちかけ、これが解決することで俺たちの3勝が決定。通過は確実のものとなった。
だが、その後が良くなく、レオリオは相手の策謀ともいえない策謀にまんまと引っかかり敗退。それだけなら、まだしも50時間の待機時間まで持ち帰ってきたのだった。
「~~~すまねぇな。博打には自身があったんだが」
そう何の悪びれもなく軽く言い切ったことに俺の中の何かがキレた。それに未だに2人で運動というには過激なアクションをし続けていた姫さんとカナタの2人が俺の裡側で同時にビクッと肩を振るわせ動きを止める。もちろん、それとは関係なく何かを察したらしい後ろの3人も。
「レオリオはさ、死にたいの?」
俺が自分が酷く冷ややかな声を出しているのを自覚しながら、他の3人に止められるのも構わずにニコニコしながらレオリオとの距離を詰める。そして、ガシっと肩を掴んだ。
「あいだだだだだだ」
「黙る?」
変な声を上げるレオリオに俺は静かに、厳かに声をかけて黙らせる。すると肩から伝わっている痛み?に頬を轢きつかせながら、明後日の方向に視線を泳がせてしどろもどろな謝罪を口にする。
「俺の眼を見て、ちゃんと答えてほしいな」
「は、はひ」
「時にレオリオ。お前、死ぬ前に今回の事で何か釈明があるなら念のため聞いておくけど何かある?
それと骸は誰に届ければいいのかな?」
「す、すみませんでしたーーー!!!」
脅しでも何でもなく割とマジで問い質すと、その内容には答えずに全力で土下座して謝るレオリオ。しかし、この程度で許していては、絶対にコイツは他でも同じ事を繰り返すと確信を持って言える気がしたので、その言葉に被せるようにして俺は言った。
「レオリオが俺たちに謝罪しても、ここで失われた50時間は返ってこないもんね?」と。
そりゃ、俺も他人様のことをとやかく言えないほど悪ふざけもするけどさ、それは解決案があり、自分で責任が取れる自負があるからやるんだよ。それなのにコイツときたら、それすらもなく、デメリットだけ持ち帰ってきやがって。努力した結果、ダメでしたなら解る、だが、下心丸出しにした挙句のこの態度はいただけない。だから俺は再度レオリオの胸倉を掴みあげると、手を放せば、そのまま奈落の底(笑)へ真っ逆さまになる様に持ち上げて「何か言い残すことは他に無いか?」と確認を促した。
「ひぃぃぃぃ……… ゴン、キルア、クラピカ助けてくれ! 死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ!!」
だが、ここでレオリオがしたのはあろうことか命乞い。しかも迷惑を掛けた仲間に向かって何の悪びれも無く、である。ここで素直に謝罪の1つでもできれば、俺も溜飲をさげてやったのに、コイツも大概救えないなと溜息を吐く。最後は仲裁に入ってきたゴンの顔に免じて引き上げつつ通路の奥に向かって放り投げた。「ぷげら」というレオリオの悲鳴?が聞こえたような気もするが、心配する必要は無いだろう。心配してやる義理も無いし。
それにしても、なんだこれ。何かの嫌がらせかという程にストレスの溜まる試験である。試合自体は、3勝1敗で通過が決定しているが実にもどかしい気分にしかならなかった。
――第五試合。
既に勝ち抜けは決定しているのに、何故か始まる試合。だが、思い返してみればスキンヘッドの試験官は勝ち抜けが決まったら、それで終了とは言っていなかったかと思い出して、俺はリングに立った。その相手の存在を見てクラピカが何か言ってきたような気もするが、俺には異界常識染みた意味不明な雑音以外、何も聞こえない。少なくとも今の時点で俺がクラピカとレオリオの言葉を理解できるような便利な耳は持ち合わせていないのだ。ちょうどリング状に立つと四方から巻き上がる風音も煩いしな。「何故、無視した」という風に問い詰められたら、
で、その対戦相手である。所望してきたのはデスマッチ。本当にデスマッチ好きだな、コイツ等………。
「何でもいいよ。勝敗を決するのに『まいった』も無し。本当に、お互いのどっちかが死ぬまで試合は終わらないって事でOK?」
「そうだ」
彼我の持つ戦力差も分からないらしい気の毒な相手に俺は溜息を吐いて「はいはい」と投げやりな返事を返す。そして試合が返しされた……… というには若干、語弊がある内容となった。何故なら、試合の結果は、相手の投身自殺以外の何物でもなかったのだったから。
――『睨み出し』
そう呼ばれる決まり手が、この世にはあるのだという。俺の知識や経験にも、その言葉は記録されている。この
とはいえ、俺がやったことは単に殺気を相手に向けて踏み出し続けただけ。それに怯えた相手が先の威勢とは裏腹に逃げ道を塞ぐようにして移動すれば、やがて追いつめられて最後はリングから足を踏み外して真っ逆さま、という具合である。自分でデスマッチと言いだしたのだし仕方ないよね? 是非も無し、である。
試合後、代表を務めていたらしいスキンヘッドの男に通された先にある部屋で50時間の待機を言い渡された。50時間経過後に扉のロックが解除されるので、そうしたら進んでいいとのこと。それは扉を開くことが出来れば先に進んでも問題ないというようにも取れるし、4人を抱えてジャンプでも良いようにも聞こえる。まぁ、後者は面倒だし、何より "うっかり" 手を滑らせて2人ほど着地する前に手を放しかねないからやらないけど。生きるためでも、食べるためでもないのに他人の命なんか背負ってられるか、ばかばかしい。
そうして俺は、俺たちの居た側の通路、その奥で
* * *
(
という新しい側面が見れたことで、俺は少しびっくりした。俺たちが何をしても(というと語弊はあるかもしれないが)、基本的には精々が三次試験が始まった時に俺にかました拳骨の1発くらいと小言、あとは大したことの無い悪戯がメインで、あそこまで目の据わった所為マジギレみたいなことは今まで一度も無かったから。クラピカに対して何か言っていたのは、俺ではよく分からなかったけど、レオリオは死んでいいと思う。マジで。
それは、この通された待機部屋に落ちた沈黙が何よりの証拠だったように思う。普段は快活なゴンも、この時ばかりは黙り、周りをキョロキョロするばかりで自分からは何も言いだそうとしないし、クラピカも壁に寄りかかって膝を畳んで座り塞ぎこんでいる。レオリオは、アレだ。完全に伸びてるし、まだ起きるまでは暫く時間が必要だろう。でも、起きた後で何の反省も無かったら、きっと俺も殴るような気がする。その前に、八尋が、まだ壁に向かって投げるかもしれない。どうなるかは分からないが、やっぱりレオリオは死んでいいと思った俺は悪くないはずだ。
「ね、キルア。キルアって八尋やカナタとは、昔から知り合いなの?」
俺もやることが無くて、この空気で、あと49時間以上耐えなくちゃいけないとか地獄だろとか考えていた時に、タイミングよくゴンから声を掛けられて振り返った。
「ん。まぁな。俺が生まれる前からウチの実家には繋がりがあったっぽいぜ」
「そうなんだ。じゃあ、キルアにとって八尋はお兄さんみたいな感じなんだね?」
「どうだかな。アレを兄貴だなんて思いたくねえけど。あ、でもイルミとか、ミルキよか、まだマシか?」
ゴンに小言であれこれ聞かれて、俺もそれに合わせて小言で返す。まぁ、豚くんもとい今では、すっかり健康体になったミルキとは、そこまで深い関わりが無いという意味では八尋よりもマシだけど、どう転んでもイルミよか八尋の方が良いよなぁと俺は回想した。
「そうなんだ。俺、兄弟なんかいないから、そういうのよく分からなくて。でも、やっぱりレオリオは怒られて当然かもね」
そういって苦笑いを浮かべたゴンに「お前でも、そう考えることあるんだな」と相槌を打つと、「あれは自業自得だと俺も思ったから」と引き攣った笑みで返してきた。一次試験であったことと言い、結構、一途なところばかりかと思ってたけど意外とそうでもないらしい。
「ミトさん。あ、俺の育て親ね?
そのミトさんが前に行ってたんだ。『その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ』って、だから俺も考えてみたんだよ」
そう言われて俺もイロイロと考えてみた。基本的には、俺たちをおちょくるようなことしかしてこない嫌なヤツって言うのが俺の『八尋』に対する印象の全てなんだけど、それもよくよく考えてみると結果だけは俺たちにプラスになるようなことしか、アイツしてこないんだよな、ということに気付く。イルミはよく分からねえけど、少なくともミルキは豚から人間に戻ったし、家で引き籠っている以外に外に出て
その代表例が、気づいたら実家の番人に中てられている謎のヒト型兵器?だ。たしか八尋は『ブリオン』って呼んでたっけ? それまでは親父たちが結構時間を掛けて躾けた
「それで何かわかったのか?」
ゴンの言葉にあれこれと考えてみたけど、結局、俺には八尋が何に対してキレたのかイマイチよく分からなかったから聞き返した。するとゴンは意外なほど真剣に考えていたらしくイロイロと持論を展開してくれた。それは、俺に飛行船の中で披露してくれたド天然っぷりというだけじゃないんだなと感心するようなものだった。
曰く『レオリオは自分で責任を取れないのに無茶をして、挙句、失敗。真面目な謝罪もなし』
クラピカについては、ゴンもよく分かってないが、少なくとも会話の端々から一次試験の最中?に、何かを八尋が注意したらしいけど、今回の事でクラピカが、その注意?約束?を破ったことに原因があるんじゃないかっていうのがゴンが立てた推測だった。それが何なのかはよく分からなかった俺たちは、クラピカの傍まで寄って尋ねたのだ。
「へぇ。そういうことだったんだね」
「私もカッとなってしまって、あの程度のことで我を忘れたのは完全な落ち度だな」
俺たちは知らなかったが、クラピカはクルタ族って一族の生き残りらしい。クルタ族って言えば―― あぁ、だから『クモ』なのかと俺は不明点だらけだったものが一本線で繋がってストンと肚の内に落ちて納得した。
「確かに、そりゃあアイツもキレるかもな。アイツ、ああ見えて身内には滅茶苦茶甘いところあるからさ」
「そうなの?」「そうなのか?」
「ああ。まぁ、それを表に出そうとしないし、俺みたいに『嫌い』とか、『近寄りたくない』って一度でも考えちゃうと中々見えてこない部分なんだろうけど」
そういって俺は一息ついた。
「その割にはキルアって、八尋に突っかかっていくよね?」
「バカ、そんなことねえって! あれはカナタが八尋の側面だから~ って何言わせるんだよ!!」
そう気恥ずかしさもあって俺が答えると、それにクラピカが反応した。
「そういえば、その『カナタ』と『姫さん』の姿が三次試験が始まった段階では既に見えなかったな?」
「あ、本当だ」
「なんか、受験票出さずに試験受けてたみたいだから審査委員会から失格くらって、飛行船で帰宅させられたらしいぜ」
実際は違うというのは、この中では俺だけが知っている秘密だから適当に受け売りの内容で2人に説明する。っていうか、なんで
「そうなんだ、残念だね」
ゴンの言葉に顔を上げると、それが本心からの言葉だと分かって「まぁ、仕方ねえよ」と俺は返した。
それから、また他愛ない話をしたり、ゲームをしたり、普通に休んだりして思い思いに過ごして八尋が起きて、レオリオが三次試験に入ってからの記憶が曖昧だと言った辺りで俺たち4人は「あぁ………」と息を揃えて声を漏らして、これからどうするかを考えようとしたところで――
ズドォォォン
――という、このトリックタワー全体を揺らすような凄まじい音に目を瞠いた。
その音の先、土埃が収まったところには八尋が立っていて、その先には完全に粉砕された扉が見えている。
「よし。扉は叩いてみたら
それが八尋の朗らかな笑みと共に吐きだされた言葉だった。
「「「んなわけあるかぁぁぁ!!!」」」
ゴン以外の全員が声を大にして叫び、その後に「ホント、何やってんだ、お前。いい加減にしろ!」と何時も通りのツッコミを入れるが、「ここで、あと40時間弱も過ごすよりマシだろ?」と流されたので、まぁ、
* * *
< もう、やだ……… >
誰も居なくなった待機部屋に、そんな音声が流れたとか流れなかったとか。
この後、さまざまなトラップ、多数決の道を乗り越えた彼らは無事に、この三次試験を余裕を持ってクリアした。
―――第287期ハンター試験 第三次試験(72時間以内にトリックタワーから脱出せよ)通過者:29名
通過者の数は割りと適当。原作でも60%の通過率だったので、それを少し下回るくらいの数字にしてみました。
あとWJ連載中の相撲漫画『火の丸相撲』が面白いです。WCで連載している『鮫島、最後の十五日』も良いですね。
あ、活動報告も更新しておきました。(3話分)