【原作沿い】次元跳躍者の往く、異世界放浪奇譚 作:冷やかし中華
これは声優ネタで話を書くのが盛り上がる!
というのとは関係なく、またマチのヒロイン力? を上げていく感じで書いて見ました。
そして、先に投稿していたXXXシリーズも少し改稿せねば。。
タンタンタン タラランタン タンタンタタン~♩
以前、ジャポンという島国を訪れた時に聞いた民謡?みたいな海の詩を思わずしまうくらい、目の前には広大な海原が広がっていた。いや、その気になれば遥か水平の彼方なさえ見通せるけれども、今、それをするのは野暮ってものだろう。
* * *
――時間は少し遡って三次試験
『これが最後の設問になります。覚悟はいいですか。
○:はい / ×:いいえ 』
そう表示された設問に、こんなところで悪戯心を出しても意味が無いということもあり、さっさと「○」を押して満場一致で覚悟を決めて最後の設問に向かう。
そこには俺の視点で見れば玩具にしかみえない武器が壁一面に所狭しと掛けられており、そこから少々長々強いアナウンスを経て、5人で抜けるか、3人で抜けるかの違いだ。もちろん長い道を選んでおいて、短い方へ抜ける方法など幾らでも思いつく。だが、俺は敢えて、それをせずに短い道を選ぼうと口を開いたのだ。
「本当だったら、ここで一番鎖に繋いで試験から降ろしたいのはクラピカなんだが、この中で俺の次くらいにクズなのはレオリオ、お前だ。だから、お前が鎖に繋がれろ。俺も繋がれてやる」
「なんで俺が、この中で一番クズなんだよ」
俺の言葉に苛立ちを隠さずにレオリオは突っかかってくるが、それについて俺は冷めた視線と言葉で返した。
「それを俺に言わせるの?
俺が居なかったら自分のミスでチーム全員に迷惑を掛けた上に一番ヘラヘラしてたお前が? 何、やっぱり、ここで死ぬ??」
そういって笑顔で迫ると何かを思い出したのか、それとも単に気圧されただけか、或いは、その両方か。レオリオは「うぐっ」と呻いて後ずさった。それをゴンに窘められて「大丈夫だよ、もう怒ってないから。
「なんか『目は口ほどにものを言う』って話、聞いたことがあるけど全然目が笑ってないぜ」
「そうか? 気の所為だろ?」
「まぁ、八尋が残るなら俺が残るよ。どっちにしろ、八尋がいないとカナタに逢えねえし………」
とカナタ絡みとはいえ、先ほどまで自分は引く気が無いという気配を出していたキルアが自分から此処に残ると言いだしたかと思えば、
「いや、私が残ろう。今回の試験では思うところが多すぎた。もう一度、最初から自分を見つめ直す必要があると痛感したよ」
と何故か同様にクラピカも話題に相乗りし、
「なんだよ、なんだよ。これじゃあ俺が悪いみたいじゃ……… すみませんでしたー!!」
それに合わせる様にレオリオが幾ら頭を強く打ったときの衝撃によって途中の記憶がちぐはぐとはいえ、本当に何の反省の色もない主張をし始めたので、ゴン以外の俺を含めた3人から睨まれる形で土下座する。けれどゴンは相変わらず欲求に素直に自分の主張を口にした。「折角、ここまで来たんだし……… 俺は全員で抜けたいよ!」と。
そこから、またさらに会話を考えるまでも無い質問を出すことにした。「短くて簡単な道を選んだ場合、また
< 全員失格です。 >
「一応、理由を聞いておくよ」
それに間髪入れずに返してきた試験官に理由を問うと実に面白い内容で返された。もちろん怒りを通り越して呆れるレベルの。
< トリックタワーはハンター協会所有とはいえ公共施設となります。それを無暗に破壊する行為は本来であれば刑罰の対象となるからです。 >
「二次試験の時も思ったけどさ。そんなハウスルールみたいなものを途中からボロボロ設けるくらいなら、最初から、そんなものを試験に選定するなよ。先に言えよ。じゃあ
<
「じゃあ、何故、ご丁寧に古今東西の
< …………………。 >
俺は、もう完全にチンピラの風貌でアナウンス先にいるだろう試験官にガン垂れる勢いで睨みつける。それをゴンとクラピカに止められた。納得いかないだろ。
それに対してゴンは笑って自分の案を口にする。「うん。でも試験官さんにアナウンスされたのは、『
もちろん、この部屋のもの以外をなら先のアナウンスの対象外なわけだし、問題ないはずだ。そういう意味だなと確認を取れば、ゴンは「うん!」と元気よく頷いて答えてくれた。まぁ、俺が考えたことも殆ど同様のものだったし、この辺りの裏道を探る思考回路は本当に
* * *
無事に三次試験を切り抜けた通過者は実に半数を超える30名(内、1名死亡で計29名)。救おうと思えば救えたが、他の受験生とみられる三兄弟の1人が口ずさんだ通り「此処でイノチを散らすくらいなら次の試験に賭ける」という至極真っ当な判断が取れなかった自業自得という観点から、俺は手を差し伸べなかったのだ。気まぐれジャナイヨ?
でも、カナタに言われていたとおり、受験生の持っているプレートには試験中にのみ有効な価値があるらしいということだったので、ちゃっかり回収していたりする。番号は22番。
そして冒頭の話へ戻るわけだが、ここで三次試験官を務めていたらしいリッポーから、唐突に試験の合間を使った休憩期間として3日の時間が渡され、飛行船で移動した先が、この『何もない島』である。いや、何もなくは無いけど。小さいながら自然には恵まれているし、浅瀬の岩礁には生命の匂いが溢れているのだから。
「うわぁ、休憩期間とか嘯いてたけど、これ絶対ダウトだよな」
「間違いないね」
「そうなのかい♠
でもマチの勘は当たるからねえ。今度は、どんな楽しみにがあるのか、ゾクゾクするね♥」
「ダウト」
「カタカタカタカタ…………………」
集ったのは『念能力者』の大人4人組。まぁ、俺は "念" そのものを使うことは滅多にないというか、まず、ないが。だって面倒くさいし、必要ないし。でも、一応、
というか、
「へいへい」
「知り合いだったの?」
「ちょっと長い付き合いだよねえ♦」
しれっと出したカードにイルミが反応してカードを捲ることで捨て札置き場のカードが全てヒソカの手札に早変わりした。
「
「♣」
そうして何回かトランプで遊んで、海底に沈むお宝探しで宿泊するための仮宿に入る。ここまでは良かったのだが………
「あれ、マチ?」
「きゃ!?」
「ごめん」
そういって俺は後ろを振り向いた。相部屋になった部屋にいたのはマチだったからだ。そしてシャワーでも浴びようとしていたのか、ちょうど更衣室にて衣類を肌蹴ていた所にタイミング悪く、俺が入室したらしい。もちろん赤面したマチからは殴られた。なるほど、これが
不慮の事故とはいえ、まぁ、已むなしと殴られた後頭部を擦りながら、俺はベッドの上に腰かけてテキトーに時間を過ごしていると湯浴みを済ませたらしい血色の良くなった健康的な肌を晒したままのマチが尋ねてきた。その話の内容は、このエクストラ試験ともいえる休憩期間についてだった。
「どう思う?」
「どうって?」
「この休憩期間の事さ」
「あぁ。まぁ、試験の一環だろうね。ご丁寧に3日後に4次試験の会場であるゼビル島へ各自勝手に集合しろってんだから、それ以外に理由はないと考えた方が妥当だよ」
俺の答えを聞いたマチは、やはり似たような感想を懐き、やがてコテンとベッドに寝転がる。それを見て俺は口を開いた。「そういえば、
それにビクッと肩を震わせて俺に背を向けるマチに向かって俺は言葉を続ける。「この逢うことが無かった10年近くの間に一体、何があった?」と。けれど、マチは頑なに口を噤んで何も話そうとはしないまま、沈黙が訪れ、そして夜は更けていく。その縮こまった背中は初めて出逢った時の印象を髣髴させるもので、とても小さく見えた。そして普段の気丈さからは考えられないほど小さいその背中は微かに震えていた。何かを恐れる様に。
「大丈夫。俺は此処にいる」
そういって俺はマチを安心せさせるように、まだ小さくて少しくすんでませてはいたが無垢そのものだった時にずっとしてあげていたように、後ろから抱きしめる様にして横になった。それに対して年月が過ぎた現在だ、先ほどの様に抗議や抵抗の1つもあるかと思ったけれど、そんなものは何一つなく、マチは俺の回した手に手を重ねて何かボソボソと口にしていた。その言葉にならなかったそれを俺は聞き取ることは出来ずに未だに微かに震え続ける身体に己の身を密着させるようにして引き寄せた。
* * *
やがてマチが寝静まった頃を見計らって俺は気配を消して部屋を出る。向かう先は、マチとはそれなりに近い存在らしい男の元だった。
「やあ、ヒソカ。まだ起きてたのかい?」
気配を手繰って扉を開けた先に布団をかぶって転がる男を無視して俺はヒソカが積み上げたトランプタワーを崩さないように話しかける。
「おや、こんな時間に珍しいお客さんだねぇ♦」
そうニタリと笑う男に俺も笑みを向けて「少し付き合えよ」と窓の外を促した。
「うん、いいよ。キミとの
団長と一緒で、てっきりガードが堅いのかと思ったけど意外とユルユルなんだねえ。そう考えたら、なんだかとても興奮してきちゃった♥」
ヒソカは、一層深い笑みを浮かべて股の間にあるイチモツを『ズギュゥゥゥン』なんて効果音が聞こえてきそうなほどに起たせている様子を見て、俺は「なんだ、この変態」と漏らすことしかできなかった。なんていうか最初に逢った時の印象を覆すほどの凄まじい衝撃である。
「俺とデート? 何お前、男もイケる口だったのか?」
「ボクは両方ともイケるよ♣」
「あ、そう。まぁ、それは別に今からする話と関係ないから放置な。とりあえず、俺よりもヒソカの方が、ここ数年の間のマチたちのことを知っている様だから聞かせてほしいと思って声を掛けただけだし」
そういうと、あまりに毒気の無い問いだったためか、ヒソカも「あぁ、そっちか」と肩の力を抜いてしまった。もちろん「タダじゃいやだなぁ♦」というので、対価は払う意思はあることを示すと饒舌に口を開いた。
「ボクが今、所属している組織の通称をクモって言ってね――」
静かに語るヒソカの情報に耳を傾けて内容を吟味する。信用度は60%と言ったとこか。嘘は言っていないのだろうが、ヒソカの語る話には脚色されて誇張されたものや、一見すると関係があるようで、その実、全く無関係な話題が多く盛り込まれていると判断できる。
(なるほど。クモ……… 幻影旅団、ねえ。どうりで聞き覚えもあったわけだ。)
顎を擦るようにしながら、どうして、こうなったのやらとフッと溜息を吐く。まぁ、とはいえ過ぎ去った時間は取り戻すことは出来ないのだし、あとはなるようにしかならないなと考え、俺はそこで思考を打ち切りヒソカに向き直って言葉を紡ぐ。
「目的がクモの団長と闘うこと?」
「うん、そうだよ♠
まぁ、より正確に言うならボクの玩具箱には、ほぼメンバー全員が収まっているから、最終的には全員と殺り合いたいところだけどねぇ♦」
「けど、お前の主義嗜好だと原則は邪魔の入らない
「そう。もう焦らされ過ぎちゃって……… でも、それが、た・ま・ら・な・い♥」
「あ、そう」
両手で自分の肩を抱えるようにして身悶えるヒソカに、俺はレオリオに向けたものとは全く別種の冷ややかな視線を浴びせながら答える。耳に心地よく響く波の音が無ければ、きっと、ここまで話は聞いてないだろうななどと余計なことを考えながら。
「ありがと。まぁ、なんとなく事情は察したよ。そういえば、そのクモの団員とやらのメンバーや能力なんかは知ってるのか?」
「あぁ、それなら――」
ヒソカの明かしていった団員の名前、見えている能力などを聞くたびに、俺は、その情報に凄い既視感を憶えて天を仰いだ。「本当にアイツ等、何やってんの?」と。
「なるほど。それは辛い、なぁ。個人的にも」
「キミは、やっぱり古い知り合いか何かだったのかい?」
「俺はアイツ等の育て親みたいなものだよ」
「!?」
その言葉に、まだ顔を合わせ始めてから数日と経っていないにしては、そんな表情も出来るのかと言わんばかりの珍しい表情を垣間見せたヒソカに俺は苦笑いを浮かべるのだった。
「とりあえず、俺がヒソカと遊ぶのは、そうだな。
お前が、お前のままで100年生き続けられたら、その時は考えてやるよ」
「♣」
「生きるっていうのは『辛い』が、死ぬっていうのは『楽』らしいからな。俺には、その感覚は良くも悪くも未だ分からないままだが、せめて、その獣みたいな殺気をしまえるようになるのが、最初のスタートラインだよ」
「それは "絶" が使えることとは関係ないってコトかな?」
「そう。念能力とは関係ない。どちらかというと『所作』の問題に近い」
「へぇ。ちなみに、もし、それを窮めずに、この場でボクがキミに挑んだらどうなるんだい?」
その言葉に俺は僅かに首を傾け「幾分かの語弊は含まれるかもしれないが」と前置きしたうえで答えた。「おそらく何をされたかも分からない内に『死ぬ』だろうな」と。
「そうか。でも、それはそれで面白そうだ♥
けど、何のスリルも感じられないなら、今、キミを食べる意味は無さそうだねぇ♣
ボクの方が青い果実扱いなんて、久しぶりだ♠」
どうやら変態であると同時に極度のマゾであり、サドでもあるらしい。両刀だったり、凄い複合属性だなと俺は呆れるような笑いを浮かべ、でも様々な情報を寄こした相手に何も返さずにいるのも釈然としなかったので1つアドバイスすることにした。「お前、俺に触れることが出来るか?」と。
その言葉はヒソカは吟味し、黙考し、僅かな時間の経過とともにトランプを構えオーラを纏った。そして、俺との距離を詰めようとして――
「それ、面白い技術だね♣」
――逆に飛び退くこととなった。
俺は、そのヒソカの様子を見てクツリと笑う。「単純に "強い" といっても、その種類にはイロイロあるってことの証左だよ。まぁ、最終形は原始的に素手の殴り合いになるのは変わらないだろうけどね」と言葉を残して、その場を後にした。
* * *
――翌日
何人かの受験生が、ご丁寧に用意された、この無人島の災害記録などを発見したところで相互に協力し合う様な意識が生まれ始める。どうやら10年程度の期間経て、この島は大嵐に見舞われ海に沈むらしい。海洋には "海獣" とも呼べる危険生物の棲家もあり、これを抜けるには、所謂『戦艦級』の足が不可欠だとも。
もちろん、それもご丁寧に準備済みとくれば、もう全員が確信する『これもハンター試験の一環だ』と。
「おや、面倒見の良いキミは、てっきり他の受験生に手を貸すと思っていたんだけど……… 手伝わないのかい♠」
「うん? ヒソカの眼は節穴だったか? 俺は凄くよく手伝ってるじゃないか」
場所は岩礁の一部、そこにマチと共に釣竿を出して魚釣りを楽しんでいた所にヒソカと変装中のイルミことギタラクルが近づいてきて話しかけてきたのに答える。その余りにも噛み合わない会話の内容は、しかし、ヒソカが手を打って「あぁ、ナルホド♦」と言ったことで相互の理解を得たらしい。
――敢えて受験生を
どうしたって俺が動くと何かを手伝うよりも先に悪戯心の方が刺激されて空気を掻き乱しちゃいそうだからな。こういう本格的なチームプレイが求められるものには手を出さないのが一番だ。あとは残った受験生たちで上手くやるだろう。俺たちは、そのお零れに預かりつつ、本当にダメそうなときにだけ手を貸すくらいが丁度いい。
「そういうこと。大体、俺やマチはともかく、ヒソカやイルミが混じろうとしても警戒させるだけだろ」
そういうと、イルミからは『カタカタカタ』と抗議するような音が聞こえ、ヒソカはニコニコと笑っていた。フィッシュ。
――昼過ぎ
「どうしたんだ? その顔?」
上々の釣果を引っ提げて額に汗して動き回るメンツへ焼魚や刺身、あら汁などを提供していると頬を腫らしたレオリオと目が合ったので思わず尋ねる。すると「相部屋となったクラピカの前で、風呂上りに真っ裸でいたら殴られた」とのこと。うん。それは、俺でも反射とまでは行かないものの、言ってダメなら手の1つや2つは出るかもしれん。この場合は、レオリオと同姓だとか異性だとか関係ないのだろう。というか、クラピカって、そんなに初心なのか……… いや、こんなおっさんの裸なんか見ていたいものでもないし、その気持ちはよーく分かるけど。
ここで敢えて俺の話をするなら、俺は少し人よりも長く生き過ぎた所為で、これまで様々な『経験』を経てきたという自負はある。今、他のメンツが額に汗して動かなくなっている『戦艦』を動かそうとしているように、必要があれば、それを動かすための知識を与えることもできる。ただし、専門的すぎるので、おそらく直感に任せて動くだけでも、ある程度は何とかなる様に仕込まれているはずのものが逆に動かなくなったりすると困るので先の会話にもある通り、手伝わないことで手伝う枠に納まっている訳だ。うん、言訳ではない。これも必要な連係プレイというやつだ。
また、俺が積み上げてきた『経験』には、当然にして『性』に関する知識もかなりある。故に、その捉え方は定命であるごく普通の一般人(念能力者も含む)よりも受ける刺激という意味では、相当に疎い方だという自覚はあるのだ。だが、だとしても、既に知らぬ間柄ではないとはいえ、人前で風呂上りの素っ裸な状態を晒し続けるレオリオにヒソカ級の変態疑惑が浮上したことに衝撃を受けて俺は思わず後ずさった。それは、たまたま近くに来ていたらしいクラピカに「ご愁傷様」と声を掛けるほどの衝撃だったのだ。
「レオリオが医者になりたいのって、真面目な目標の他に『もしかして自分が診る患者さんとお医者さんプレイがしたいから』って邪な内容もあったりするの?」
と思わず浮かび上がった疑問を集まっていた人前でド直球に尋ねてみたら、そのことにクラピカは口を見たことが無いほどあんぐりと開けて驚き、顔を赤面させると叫び声の様なものを上げて去り、他に居たメンツは白い眼でレオリオを見る。その視線に耐えきれなくなったらしいレオリオは、何故か「誤解だ! クラピカ!?」と言って、その背中を追いかけて行った。なるほど、これが青春か!?
そして、そんなほのぼのとした時間は徐々に過ぎ去り、やがて海が荒れ始める。途中、ゲレタという非常に既視感を憶える声を持つ人間が小舟を浮かべてゼビル島へ抜け駆けしようとして遭難しかかり、ゴンに救助されたりしながら、その日も終わりを告げるように徐々に陽は落ちて行った。
* * *
「今日は、1人で眠れそう?」
割り当てられた相部屋にて俺はマチと向き合い、そう尋ねるとマチは俯き、また黙った。そして僅かに首を振ることで俺の問いに答えたのだった。
「そっか。じゃあ一緒にいてあげる」
そういって俺は傍まで寄ろうとしたが、マチの手によって制された。やがてポツリ、ポツリとマチは今日、この日までに幻影旅団員として自分たちが関わった罪を1つ、また1つと懺悔でもするように俺に告げてきたのだった。それについて俺は何も返さず、ただ黙して音を耳に入れ続ける。
やがてマチの独白が終わりを迎えてから俺は、俺の言葉を紡いで答えた。
「なるほどね。でも、それについて俺には、もうどうしようも出来ない。死者の蘇生なんて魔法使いでも無理な奇跡だからね。だから過ぎてしまった結果に対して、俺が出来ることは何も無い。無かったことには出来ない」
俺の言葉にマチは押し黙り、キュッと手を握っていた。俺はマチの隣へ移動して、その小さな手に手を重ねる。
「でも、マチが
そういって抱き寄せて頭を撫でてやる。
「でも刻み込まれたものが邪魔をして、それも出来ない、難しいと言うなら……… 俺には、それを忘れさせてやることしかできない。ただ、それでも一度壊れてしまったものは、もう2度と元には戻らないということだけは肝に銘じておくべきだ。だから、やっぱり、マチが、マチ達が過ぎ去った過去の事で悪いユメを視る程に思い悩むのであれば、自分で自分が赦せるくらいの何かを成すしか、解決する方法は無いのかもね」
そういってコテンと俺はマチを抱えたまま横になる。
俺も同じだよ、マチ。俺も消すことのできない、忘れ去ることのできない罪を背負ってる。だから
だから、マチが独りでは眠れないというなら幾らでも傍にいてあげよう。そうすることしか俺にはできないから。俺は声にならない言葉を紡ぎながら、またマチの身体自分の方へ寄せて眼を閉じた。直後に安堵しきったような寝息が隣から聞こえてきて、俺はクツリと笑みをこぼしたのだった。
「おやすみ、マチ。よい夢を」
そう一人呟くと、添えていた手をキュッと握られた気がした。
――冬に眠れぬ熊は、罪を犯した者の生まれ変わりだという話を聞いたことがある。
それが何かの民謡だったか、童話だったか、人伝に聞いた話だったか、その辺りは、もう詳しく思い出すことはできないが。
その話によると、熊は、罪を犯し、それゆえ本来は眠りに落ちていなければならないはずが、悪いユメに苛まれて眠りから目覚め、どうしようもなく冬の山を駆け回るだという。
寒く、冷たい、厳しい冬の山は、駆け回る熊の体力と生命を容赦なく奪っていく。けれど、熊は眠りに就くことは許されず、その眼は血走り、何かから逃げるようにして駆け回る。やがて、その罪から解放されるまで。巡り合せ
最後の熊の話は、小中学校くらいの国語だったか、道徳だったかで使っていた教科書にも、そんなような行の話が載っていたような気がします。
雪山で遭難した猟師が、眠れない熊と寄り添って一夜を過ごすんですけど、その猟師の仲間が熊が
まぁ、それとは違ってヴィンランド・サガっていう、中世期のバイキングを題材にした漫画にも同じような話が出てきましたね。