【原作沿い】次元跳躍者の往く、異世界放浪奇譚 作:冷やかし中華
といってもクラピカの時と違い、キルアやゴンに対しては回を追っても対応が厳しくなうることはありませんので、ご安心を。
第287期 ハンター試験(最終試験)3回戦。ここから新たに参戦するのは99番のキルアのみ。あとは負け上がりしたメンバー、つまり俺、ポックル、ボドロという残されたメンバーで対戦が行われる。
その第1試合は、キルア 対 ポックル。実力差だけで見るならば試合は順当にキルアが勝利を収めるだろうと思っていたが、なんというか案の定、キルアが「アンタとは戦う気がしない」とかいう理由で、さっさと負け上がりを選択したため、本当に何の見せ場も無くポックルの勝ち抜け(合格)が決定した。
『あらら…… 予想できていたこととはいえ、何という間の悪さ』
『これは完全に詰みましたね』
『凡そ "絶対" に勝ちを拾える状況下で、その "
『そうだね…… これは、さすがに仮に、この後の第4回戦で
カナタのジト目で見てくる視線を無視して俺は言い切った。万が一、この後の試合中にボドロが俺にマチやレオリオの様に何か絶対に譲らない信念というものを見せつけてくれたなら、俺は喜んでボドロに勝ちを譲るだろう。そうなると4回戦の兄弟対決(ギタラクルことイルミ 対 キルア)の後に行われる5回戦目は、俺とキルアの試合になる。そこにて今期のハンター試験における
『カナタ、諦めよ。これはキルアの自業自得よ。八尋を責める理由は皆無だ』
『…………分かっています』
姫さんの言葉にキュッと唇を噛んで何かに耐えようとするカナタの頭に俺はポンッと手を置くことしか出来なかった。これも、また奇妙な因果だな思いながら俺は意識を試験会場へ戻した。
* * *
「えっと…… キルア選手、本当に "棄権" ということでよろしいですね?」
「いーって、いーって。だって
そういって立会人を務めるチードルの再確認にもキルアは素気無く反応し、さっさと選手の控える壁に移動する。その姿を認めてチードルは勝ち名乗りを宣言した。
「分かりました。では、勝者、53番:ポックル」
対するポックルの表情は硬い。それは、そうだろう。もちろん念願の
(…………………でも、それは無いかな)
そう俺は誰にでもなく、自分に言い聞かせるようにして音にならない聲を紡いだ。
だってキルアの負けが確定した瞬間にイルミの口角が僅かだけど上がったのが見えたしな。やはり『奇跡』なんて起こらないから奇跡と呼ぶのだし、この奇妙な組み合わせによる妙も『偶然』と呼ぶには余りにも細工的に過ぎた。そも『偶然』は神秘の隠語であり、広範に知りえない法則を隠す為に生まれる言葉でしかないのだから。あるのは『必然』偶然性という言葉が駆り出されるということを考えれば、やはりネテロは音を観る
百式 "観音" か…… なかなかどうして、そこに至るまで凡そ現代の
―?―
その視線を向けた先にいる爺が俺の視線に気づいてコテンと小首を傾げても何も面白くないんだがな!
ま、それはさておき。俺は改めてボドロへ視線を移すと非情ではあるが、これも巡り合わせと割り切って声を掛けた。
「さて、試合合間の十分な休息とはいえなかったが、仕方あるまい。では、闘るとするか191番?」
それに言葉を返すことなく1つ頷き、ボドロは壁に手を当てて立ち上がった。
満身創痍。
ボドロは、命を脅かすような外傷こそ、俺の用意したセラピー・チューリップによって全て
セラピー・チューリップが食べる傷は外傷のみ、多少であれば内出血を齎すような体内の傷や、その原因になりうるものも
『そう考えてみたところで、これは果たして試合になるのだろうか……』
『なりませんよね。どう考えても……』
カナタの言葉に頷き返して俺は視線をボドロへ移す。立会人を務めるのはパリスと俺が相性で呼ぶ十二支んが1人『
「えー 立会人を務めるパリストンです。さっそく試合を始めたいところですがボドロ選手はボロボロですね。これ試合になるんですか? というか試合するんですか?」
でた。俺は半ば予想できたこととはいえ、あまりにも酷い煽りに苦笑いすら出てこない。故に俺が取った行動と言えばパリスに聞こえるようにして思いっきり溜息を吐くことだけだった。
「あ 酷いですね八尋選手。その態度は少しというか大いに頂けません。心外ですよ?
ボクはボドロ選手のことを考えて立会人という立場を釣り合わせてみても、このままでは試合に支障が出るというか、支障しかないことを考えて立場を超えて進言しているに過ぎないのに!
きっと八尋選手でなくとも気配りの出来る方であれば、この状況でどういう行動を取るのが最善か分かっているであろうことだから、この後の自分の立場も顧みずに進言しているというに、あんまりです!」
己の立場ではいうべき必要の無いことを強調しながら、それでも捻じ込んでくるパリスの言葉に天を仰ぎそうになるものの、確かにパリスの言わんとしていることの一部は正論なのである。先程も言ったように、もうボドロのライフはゼロを通り越してマイナスなのだ。むしろ、ここで下手に無茶を重ねれば明日の朝日を拝むことなくベッドの上で冷たくなっていたとしても不思議ではない。だが、俺としても此処で言葉を紡ぐのも躊躇われるし、ボドロにしてもそれは同じだろう。さて困ったなと首を傾げつつ俺はパリスの発する濁流の様な言葉が途切れたタイミングで言葉を紡ぐことにした。
「では、どうする?
仮に、俺たちの試合をパスし、先に5回戦 第1試合のキルア 対 イ……391番の試合を行ったとしよう。その試合運び如何によっては結果は何も変わらないのだぞ。それとも何か、ハンター協会は本来ありえないルールを特例として設けて残り試合は後日に回すなどという人道的処置でも取るつもりか?」
あっぶねー。思わずギタラクル(391番)がイルミだっていうのバラすところだった。危なかった、いや、冗談抜きで危なかった。ま、言ったところで、もう大勢に影響なんか無いから別に構わないのかもしれないけどサプライズは取っておくべきだよな。うんうん。
そう内心でひとりごち、うまい具合に残りの言葉を紡げたことに俺は1人安堵した。というか、名前を言いかけたときのイルミから送られてきた刺すような視線がなかったらマジで止まらなかっただろうなぁ。鋲が飛んでこなかっただけでもイルミは少し大人になったなと俺は考えを新たに、またガヤガヤと言った事の10倍返しでマシンガン・トークするパリスへ視線を移したのだった。
「…………………というわけでですね、やはりボクとしては立会人である以前に1人のヒトとして、ここは八尋選手に停戦を求めたいんですよ!」
ごめんパリス。キミの口上は半分以上聞いてなかったけど、最後の言葉だけは辛うじて拾えた。停戦、停戦ねえ……… そう顎に手をやり考える。ボドロは、もう今すぐに腰砕けになって今すぐにでも地にへたり着きそうだ。だが、どうしたものかと考えている俺に対し、声を掛けてきたのはボドロだった。
「案ずる事はない八尋殿。この勝負は、否、この試験は既に決着が見えている。今期のハンター試験において不合格になるは私だ」
「ん? それは191番が今期のハンター試験を
「あぁ。もう、今の私に八尋殿との試合も、この後に続く99番か、或いは391番と闘えるだけの体力が残されていないのは、他ならぬ私自身が一番心得ている。
「あ、うん。別に191番がそれで良いというなら俺は構わないけど…… 本当にそれで良いのか? もう2度とこんなチャンスは無いよ?」
そう俺が告げると訝しむような表情で俺を見た。まぁ、普通はそう思うだろう。だから俺は続けた。
「そも。俺は、そこの
でも、どうにもそれを良しとしない連中が周りには多くてね。俺は
だから、俺にとってその程度の価値しか見出せていなかったハンター試験というのは
でも、こうして周りから押されるカタチで初めて試験を受けてみたことで俺が抱いた感想は、端的に言うなら『面白かった』、『楽しかった』というものだった。何故、いままで一切の興味を持たなかったのかと思える程に、その内容は『きらきらと輝いていた』。そこで見た様々なものには唯無為に日々を過ごすだけでは見られない紋様があった。ハンター証には関心が無いのは変わらないけど、縁があれば、また試験を受けてみても良いかなと思える程度には、そこに価値を見出せた。
だからね、こういう機会を無理やりにでも用意してくれた全てに感謝しよう。それ故に、391番に対する施しの対価は既に受け取っている。ま、そうでなくとも100年も生きれば、その間に1度くらいは無償でヒトに奉仕するなんて気まぐれも起こそうというものだ。
それで試験を続けるのか、降りるのか、改めて答えを聞かせて貰おう。191番は一体どうしたいんだ?」
俺の言葉にボドロは押し黙る。何を考えているのかまでは読むことなど叶わないが、それでも結論だけは予想できた。この男は何か『目的』があってハンター試験を受けてきたのではないのだろうということが何となくわかってしまったからだ。
言うなれば、俺やキルアの様に『ただ何となく暇だったから』という程、軽い理由ではないだろうが、それほど重要な理由も無いと言ったところだろうか。受け始めた当初は何かあったのかもしれないが、長く受ける回数を重ねるうちに『手段』と『目的』が入れ替わってしまうなんて言うのは良くあることだしな…… あれ、そんなやつが少し前まで試験を受けていたような? まぁ、別に良いか。
「それでもだ。確かに今の八尋殿の話を聞いて私の中にある "欲" がハンターという資格を欲さなかったと言えば嘘になろう。だが、そうではないのだ。私には先のレオリオのようなヒトの為になるような願いがあるわけでもない。さりとてゴンの様に絶対に譲れない願いがあるというわけでもない。それが無いことが何よりも恥ずかしいと私自身が感じてしまったが故に、私は、今期の試験を降りるべきだと自身に対して決めたのだ。元々、次があったかも分からぬほど傷ついていた我が身。先ほども言ったが、こうして五体満足に帰れるだけでも満足だ」
「なるほど。まぁ、他ならぬお前自身がそういうのであれば、その決定について部外者である俺がどうこういう立場にはない。でも、あれだなぁ。なんか、こう下の者から施しを受けるっていうのは、何時になってもむず痒いもんだな」
そういうと周りの空気がピキッと固まった気がした。そんな変なことを言っただろうか?
「そういえば、幾つか疑問に思ってい事があるのだが…… もし良かったら教えてもらいたいことがあるのだが」
周りの空気を感じ取ったのか、それとも他ならぬボドロ自身の疑問だったのかは分からないが唐突にそんなことを言い始めたことに俺はキョトンとしながら笑顔で答えた。「俺に答えられることで、この場で爺に起こられそうにないことなら適当に答えるよ」と。
「では、1つ目。
今、八尋殿は『下の者』と私を評したが、それは立場もそうだが、年齢もということで良いのか?」
「え? それ以外に何があるの?」
そういうとギョッとする視線が複数。えっと……… そうか、俺の年齢って実は割と不詳なのか?
この中だと初めて出会ってから一番古い付き合いがあるのがネテロくらいだし?
「せ、正確な年齢を聞いても?」
「
もう数えなくなってから久しいから良く分からないけど」
「ワシよりも爺じゃねえか!」
「あ 確かに。言われてみれば、そうだったわ。悪いな爺。笑って許せ」
思わず素でツッコミ入れてきたらしいハンター協会の会長を務める男に対して応えると周りもどう反応していいやらと困惑の表情を浮かべているが、それは見なかったことにする。
でも、そうかー、確かになぁ。そう考えると、この世界に来てからも随分と長居をしたものだと感慨深く思ってしまった。その横でチラリとボドロに視線を戻すと顎が外れんばかりの勢いであんぐりと口を開けていたのだが、それを見て俺が抱いた感想はと言えば「疲れないのかな?」というものだった。
「ん? もしかして聞きたいことって、それだけ?」
「あ、いや。失礼。つい唖然としてしまった。今のは真と思って問題ないのかだけ確認させてくれると「くどいのは嫌いだなー」……すまない、つい。
つまり八尋殿は不老不死みたいなものなのだろうか?」
俺のボヤきに反応して言葉を改め、質問の内容を変えるボドロ。うん、そういう物分かりが良いのは好ましい。なので俺は上機嫌で答えた。
「どうだろうね?
今までも『あ、死んだわ』って思ったことが無かったわけじゃないけど…… まぁ、気が付けばこの通りだし凡そのイメージは合ってるんじゃないか」
そういえば、この世界では『死んだ』って思えるような経験をしたことが無いことも思い出した。なにせ、こんな状態になってから
そう、俺は普通に生活している分には『世界と世界を隔てる壁を超える手段が無い』、それが俺と俺の同輩とも言える現役の
『八尋って、そんなに長生きだったのか!?』
『わ、私も初めて知りました!』
『えー……… そりゃあ、2人と出逢ってから、まだ10万年も経ってないけどさー。それ今言う事?』
『『当然だ!!』』
そうか…… でも、通算だとどれくらい生きてるんだろう? 乾眠していた期間や、他の世界のことも含めれば云十億年じゃきかないくらいだろうか? より正確な数字を知りたければ
『まぁ、意外と長生きしすぎて気が狂いそうだけど、それを引き留めてくれているのが2人や周りにいる奴らだと思うと感謝の念は絶えないね。ありがとう』
そう2人に対して言葉を漏らすと、何故か、2人とも赤くなってしまった。なんでさ!?
「では、あのレオリオに対して言った八尋殿自身が極悪人というのは、どういう意味なのだ?」
ん? どうやら意識を内側に向けている内にボドロの質問が進んでいたらしい。
「あぁ、あれね。どういう意味だと思う?」
ボドロのその問いかけに俺は意地の悪い笑みを浮かべて答えた。先程の俺が凡そ不老不死であるということのカミングアウトに加えて衝撃から回復しきっていない周りにいる全ての人間が息を呑む音が聞こえた気がした。
Q.結局、八尋って何歳くらいなの?
A.考えたら負けだ。奴は、そういう存在だ。でも、それだけ長い年月を生きても気が狂わずにいられるのは裡側の2人や、行きつく先で出逢ったヒトたちのおかけであることは間違いないです。
Q.八尋の敵って?
A.その内書きますが、HUNTERには出てくることはありません。というか出てきたら最後、世界が滅ぶ。彼自身の言う「極悪人」というのは、そういう意味だと思っていただければ。
Q.ボドロって生存していたら、こんなところで引くかな?
A.わかりません。ただ傷は治っても、体力が回復したわけではないし、思うところは合っても引くんじゃないかなと思って、こういう展開にしました(生存フラグ)
Q.八尋って実はパリストンとも関わり強い?
A.関わりは強いです。他にも原作の面々の多くとも過去に面倒をみたり、なんだったりかんだったり。その辺も気が向いたら書きます。
Q.他の面々はどうしてる? なんで口を挟まない?
A.職務に忠実なんですよ! きっと!!(すっとぼけ)
実態は作者の力量不足ですね、、、ただ試験編が終わった後はわかりませんが。