【原作沿い】次元跳躍者の往く、異世界放浪奇譚   作:冷やかし中華

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『孔明の前任者であった徐庶は、劉備を補佐し、曹仁の敷いた”八門金鎖の陣”を破って新野の戦いに勝利をもたらした。』

 というわけで、こっそりと【原作沿い】の連載っぽいものを開始。試験の前日譚ですか?
 実は、あまり考えてない………(ぇ)

 ちなみに【原作沿い】では、こんな感じでタイトルは付けていきますが何が元ネタか分かった方は同士。
 本編・別館のタイトルでもある『次元跳躍者』の由来が、どこから来ているかも想像していただけるはず。

2016/11/06:前書きと本文の誤字修正など


【ハンター試験】
001:Alert Shu Infantry


 ハンター試験の本予選を受ける前に通過しなければならない予備選を問題なく潜りぬけ、目の前で黙々と提供された料理を食べる銀髪の少年を見やり私は微笑む。

 

『ステーキ定食、弱火でじっくり』

 

 それが本予選を受けるために必要な最後のキーワード。道案内をしてくれたナビゲーターの言葉に従って定食屋の店主に伝えると地下へ続くエレベーターへ案内され、ここに至ったというわけである。

 

「なんだ食わねえのかよ?」

 

「食べますよ?」

 

 出された料理に手をつけずに自分が食事を進めている様子を私が見ていることに気づいたのか、若干、頬を染めながら、それでも年相応に強がった仕草で聞いてくるキルアの問いに答える。

 

「ただ、こうしてみるとキルア君も年相応の少年なんだなぁと思いまして」

 

「どういう意味だ!」

 

 そこでムッとして無闇に噛み付いてくるのも少年っぽいですねと笑うと舌打ちしてそっぽを向く。でもステーキ定食を食べる手は休んでいない様子をみて、また私は微笑む。

 

 パクリ――― もぐ、もぐ、もぐ―――

 

「なるほどエヴァンス産の牛肉でしたか。部位はサーロイン、ランクはA4といったところですね。それを一ヶ月ほど冷蔵で熟成させ、さらに素人目には見えない切り込みを「長い」……すみません」

 

 ウッカリ、私としてしての在り方が前面に出てしまい提供された料理の考察を呟いていると、その呟きに律儀に耳を傾けていたらしいキルアに遮られる。その視線や言葉が示すのは結局のところ「それで評価は?」といったところだろうか。

 

「美味しいですよ。『料理人(シェフ)自ら選りすぐったステーキ定食をご賞味あれ』と謳っていただけのことはあると思います。素材の目利き、手の込んだ仕込み、ハンター試験の受験者がいつ訪れても美味しく食べれるように計算されて調理された食材、そこに込められた想い……… 全てが調和して崩れず()()()()ことや()()()()というほどではありませんが、十分に料理人の顔が見える料理です。

 機を以て望めば、それは()()()()()()ことはできると思いますよ」

 

「はじけるとか、さずけるとか、はだけるとか……… 何を言ってるのかサッパリわからねえよ」

 

 そういって不満げな表情を浮かべるキルアに私は笑顔で答えた。

 

「えぇ、正直なところ()自身も何を言ってるのかサッパリわかりません」

 

「おい」

 

「まぁ、いいじゃないですか。それよりも食事が冷めてしまいますし、残すのは手間隙かけて用意してくださった料理人に失礼です。しっかり頂きましょう?」

 

 抗議の声を敢えて無視して私は食事を再開したのだが……… なんでキルアは顔赤くしてるんですかね? 貴方、私が『男』だって知ってるでしょ!

 

 

 * * *

 

 

 俺と少年(キルア)との出会いは、彼が6つの頃まで遡る。否、より正確に言えば俺と少年の一族(ゾルディック家)との親交そのものは、かれこれ20数年前、少年(キルア)が生まれる前まで遡る。それは、少年(キルア)の父親シルバ=ゾルディックと、その父親(つまりキルアの祖父)ゼノ=ゾルディックが受けた暗殺対象(依頼)として狙われたことが、その始まり。

 

 俺が人間界(この場所)へ本格的に足を着けてのは約100年前、それ以降『うっかり』で霊長(ヒト)を殺戮してしまい抑止力(アラヤ)に狙われるのは面倒だという判断から幾重にも重ねた制約の印を纏った状態で彼ら親子(ゼノとシルバ)を相手をすることになったわけだが、それを無事に切り抜けた後に俺が彼らに付けた評価は『遊び相手には丁度良い』というものだった。

 

 何故、俺がゾルディック家(暗殺一家)に狙われることになったのか…… まぁ、思い当たる節が何も無いなんてことはなく、たぶん今でも合間を見ては移動する暗黒大陸(向こう側)から持ち帰るものが原因だろうというのは想像に難くない。何せ、それを人の世を牛耳る要人たち(V5)の前で広げてしまったこともあるのだ。ヘルベルとか、アイとか、パプとか可愛いやんね? ブリオンは戦闘訓練には持って来いだし一体何が行けなかったのか―――

 

「今すぐ元の場所に返してきなさい! お願いですから!!」

 

 ―――その場に居合わせた要人たちから凄い顔芸付の懇願をされたのは今でも記憶に残っている。

 

 最初は渋ったのだが、本当にタイミング悪く居合わせた要人たちを警護するスタッフが無惨にも返り討ちになっている様子を見たことと、余りにも必死過ぎる、その様相と並びたてられる言葉の数々に気圧される形となって断腸の思いで着いて来た子たちを元の場所に返したものだった。まぁ、ブリオンだけは組織の練兵にも持って来いなので今でも本拠地の地下や知人の家の番人としてご活躍いただいていることを自慢したくてウズウズする気持ちを何とか鎮めている状態でもある。たぶん言ってしまえば最後、貧者の薔薇(ミニチュア・ローズ)とか使われかねないしね、その程度じゃ俺も、ブリオンも排除なんかできないと思うけど。むしろブリオンの方は異常なダメージに曝されたことで暴走し、余計に被害を拡大させる可能性すらある。そんなことは要人たちも解ってるんじゃないかなと思いつつも無用な警戒をさせる必要も無いだろう。自重、自重。

 

 とはいえ、そのときのやり取りのお陰で俺自身や俺の所属する組織の地位が世界レベルで向上してしまったという思わぬ特典も付いたのは僥倖だったと言えるのかもしれない。今日に至っては、俺の所属する組織は表でも裏でも度を越えたことを仕出かさない限りにおいては『ハンター』と同等レベルの待遇を受けられる状態となっていたりもする。なので俺自身としてはハンター証(ライセンス)など本当は要らないのだが(多数の部下も持っていることだし)、とはいえ、それが無いと不便なこともある。あくまでも組織のことを知っている者に対しては有効なのであって世間一般の認知度は低いのだ。どちらかと言えば裏社会で大きな顔をしている組織だしな……… なのでハンター証(ライセンス)所持者のように俺が組織に所属する者だからと言って公的施設の95%を無償で使えたり、一流の企業並の融資を受けられるということはない、ということ。事前に手続きを済ませなければ一般レベルでは入国禁止の国や立ち入り制限区域に入ることも適わないしね。でも、それはハンター証(ライセンス)所持者にしても同様なのかな? 詳しいことは何も知らないけど。

 

 そういえば、タツキから正式に組織(倶楽部賭朗)トップ(御屋形様)を引き継いだソウイチからは「これ以上ない究極の搦め手(実力行使)だね、あんなこと他の誰にも出来ないよ」と若干引き気味に言われたが、その所為もあって未だに御屋形様代行(事実上のNo.2)から降りられなかったりする。しかも、そこから降りられないだけじゃなく、陰獣やれだの、立会人やれだのと言われることもあり、何だかとても便利なヒト扱いされている気がするのだが……… うん考えないことにしよう。気にしたら負けだ。

 

 そういうこともあって様々なルートを経由してゾルディック家に(諸悪の根源)を排除しろという依頼が入ったのかもしれないが、ゾルディック家としては相手の素性も分からないのに踏んだり蹴ったりだったのではないだろうか。まぁ、暗殺(それ)をゾルディック家へ依頼したV5の代行組織は、組織(倶楽部賭朗)の情報ネットワークをフル活用して炙り出した後にきちんと影も形も残らないように潰した上に、裏切りのお礼参り(代償)としてV5(本丸)には1つの贈り物をプレゼントしてやったんだけどね。その後に伝え聞いた話では「新しい厄災(6つ目)が着た!!」とか大騒ぎだったらしいけど、なんのことだろう? 全然、分からないなぁ(白目)

 

 

 閑話休題

 

 

 というのが俺とキルア少年の一族たちの馴れ初め。そこからは基本的にお互いに不干渉であるという協定が取られていたようだったのだけれども(少なくともゾルディックとしては俺や俺に関わる者たちを狙うことを極力避けるようになったらしい)、俺はゾルディック家で慶事があると聞くたびに当事者達へ様々なモノをプレゼントしていたりもするのだが―――

 

「おぬしはワシらを潰したいのか、生かしたいのかハッキリせんか!!」

 

(えーーー………)

 

 ―――そう疲れた表情を浮かべるゼノを前に正座でSEKKYOされたことも記憶に新しい。

 

 なのでミルキ(次男)が生まれて以降の慶事に於いては基本的に祝電とご祝儀(現金)だけにするように努めている。本当に何が行けなかったのか未だに解らないんだけど、何がダメだったのだろうか。ミケ(ただのデカい犬?)に変わって、今の雁字搦めにした状態の俺となら良い勝負ができるほどに立派に不法侵入者を撃退できる役目を務めていて、かつ、執事たちや家族のレベルアップにも役立っているブリオンとか、これ以上無いご祝儀(物理)だったと思うんだけどなぁ……… 

 

 だって別にトクベツな血統を持っているわけではない初めての友人であるド■=フ■■ク■(思い出せない)や俺が所属する組織(倶楽部賭朗)の古参または才能豊かな面々たちは立派に対抗できるだけの戦力を身に付けているのだ。それに比べて、それなりに人の世でも歴史の長いゾルディック家ほど特異な系統を持つ一族なら十分にやっていけるハズだと思ってのことだったのだが。それに生業の関係上、外敵も多いだろうしね。

 

(おかしい。そうやって理詰めで考えていくと本当に何が行けなかったのか解らない。え、便利だよね? ブリオン………)

 

 

 * * *

 

 

 そう過去の出来事を回想していた私の意識を浮上させる様に目的地に着いたことを報せる音とともに重厚な造りのエレベーターの扉が開く音が同時に響いた。

 

「おい、先行くぞ」

 

「あ、待ってくださいよ。あと一口ですから」

 

 そういって自分の分を食べ終えていたキルアが先を促し、私は最後の一切れを口に運んで足早に席を立つ。少し行儀が悪いのは承知の上だが、それに鎌かけてエレベーターが地上に戻ってしまっては元も子もないので今回ばかりは目をつぶって欲しい。そう思いながら会場に足を踏みだし辺りを見回したところで見知った顔に声を掛けられることになった。

 

「あ、八尋さん? 珍しいですね、こんなところに。はい番号札(100番)です。ご武運を」

 

 そういって番号札を渡してきたのは霊長(ヒト)なのか、魔獣なのか、良く分からないハンター協会の職員にして協会の最高権力者(ハンター協会会長)アイザック=ネテロの秘書を長年に渡って務める者(マーメン)の姿だった。

 

「今の、知り合いか?」

 

「はい。どちらかというと()ではなく、主人(本体)の方の、ですけどね。私、あまり表に出て活動しませんし、今だって表に出ているのは、じゃんけんに負けたからですし………」

 

 そうキルアに答えると何だか言葉にすることの難しい表情を浮かべながら「お前も大変なんだな」と何故か肩に手を当てられた。ちょ、なんで心配されてるんですかね? 地味に傷つくんですけど!!

 

 とはいえ年齢差の話を出したら想像を絶する隔たりのある(それも私たちの事情など知りもしない)子供相手に、それを言っても仕方が無いので我慢して言葉を飲み込み、2人で地下道の隅へ移動しようとしたところで見るからに人の良さそうなおっさん(怪しい人物)に声を掛けられた。

 

「よ。ちょうど君たちで100人目だね」

 

 そんなあからさまな人物に真面目に応対するほど()もキルアも暇ではないので(実際は特に試験が始まるまでやることもなく時間は持て余しているなのだが)、適当にあしらおうとするものの相手は()たちのことを無視して怒涛の自己紹介を始めたのだった。やだ、なにこれ、意味が解らないよ。

 

「………ろ!」

 

「………きろ!」

 

 ん? あれ??

 

「おい、起きろ。確かにおっさんの話は退屈だけどさ。それに缶ジュース(飲み物)も配って歩いてるらしいし貰っておこうぜ」

 

「ごめん、あまりに退屈だったから寝ちゃってました」

 

「「それも酷いな!」」

 

 見事に名も知らぬおっさんとキルアの声がハモった瞬間だった。

 

 要約すると、このトンパと名乗る見るからに怪しい人の良さそうなおっさんは毎年開催されているハンター試験の常連で、かれこれ今回で30回目の挑戦なんだとか。そして現時点で120人(番)まで増えた参加者の中から要注意人物や経験者たちを教えてくれたとのこと。うん、()は意識を落としていたので全然聞いてなかったから解らないけど、仲間でもない初めてあった人間相手に此処まで詳細に受験者の情報を教えてくれる時点で()()()()()()()()()()と宣言しているようなものだということに気づかないのだろうか?

 

 ともかく、そういうこともあって最後にお近づきの印だといって手渡してきた缶ジュース(飲み物)に何も仕掛けがない訳が無い。そう思って断ろうとしたのだが―――

 

「お、美味いなー、これ」

 

 ―――既に缶のプルタブを開けて喉を潤す少年が1人いた。

 

 あ、うん。生粋の純粋培養である暗殺一家の跡継ぎに生半な毒や薬など効かないと解っていても止められなかったことに少しだけ私は罪悪感を覚える。そして隣で缶の中身を飲み干されたということは()も受け取らないと行けないない流れだということだ。まぁ、飲まずに、その辺に捨てれば良いだけなんだけれども。

 

「あ、どうもご丁寧に。じゃあ、この林檎味を頂きますね? 中身は()()()()()()ので、私たちはこれで」

 

 そういって出された缶ジュースの中から1つを選び、その場を後にした。背後で聞こえるように舌打ちをするあたり、本当に仕事が温いとしか言いようが無い、というどうしようもない感想だけが私の中に残ったのだった。

 

 

 * * *

 

 

「それ、飲まねえの?」

 

「だって中身に()()()()()()()()()()()分かりませんし、たぶん致死性の毒ということは無いでしょうから下剤の類だと思いますけど……… それにしてもキルア君は少し不用意が過ぎると思いますよ?」

 

 そう敢えて小言を漏らすとキルアは少しスネた様に「だって俺には効かねえし………」と呟いていたが、そういう問題ではないと()は思いつきではあったが効果的な反論を試みたのだった。

 

「例えば中身が毒などではなく、単なる嫌がらせ目的で、あのトンパ(おっさん)の股の間にぶら下がっているモノから出されるナニとかだったら、どうするつもりだったんですか?

 仮にキルア君が女性だったとしても男性のアレから出されるナニを経口摂取したところで孕むよ「分かったから、それ以上言うなぁぁぁ!!!」………危険性が分かって頂けたようで何よりです」

 

 私は地下道の端っこで必死に飲み込んだモノを吐き出そうとする少年に哀愁の目を向けることしかできないのだった。うん、完全な自業自得ですよね、これ。

 

 その後は立ち直ったキルアが「ちょっと、あのおっさんぶっ殺してくる」というのを必死に宥めながら試験開始の合図が来るまで時間を潰すのだった。




 というわけで原作沿いで話を進めることにしていきます。
 本編と切り離すかどうかは不明なので、とりあえずタイトルは適当ですし、表示設定も「一覧と検索の結果」、「ランキングの表示」からは除外してあります。
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