捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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青春の影 #94

 

「……おお、そっか。じゃあライブある時は観に行くわ」

「はい!よろしくお願いするずら!」

 

 正直意外だったのは、このまま活動終了するんじゃないかとうっすら思っていたからだ。あの三人がいなければAqoursじゃない的な。

 

「新しいAqoursでもなるべく早くライブやりたいねって言ってるから、もしかしたら八幡さんがこっちにいる間にライブができるかもずら」

「そりゃあ、ありがたいな。まあ、新体制になって色々大変だろうから無理しなくていい」

「それにしても八幡さんが一人暮らしずらか。感慨深いずらね」

「いや、近所のおばちゃんじゃねえんだから。まあ、早いとこ部屋探しに行かなきゃな」

「……はやく八幡さんの新居に遊びに行きたいずら」

「…………」

 

 そんな頬を赤く染めて言われるとあれこれ想像しちゃうんですが……だって男の子なんだもん!

 

「八幡さん、なんか目つきがいやらしいずら」

「……すっかり春だな」

「誤魔化し方が下手すぎるずら」

「そういや、そっちも制服とか変わるんじゃないのか?」

「ずら。もう新しい制服も届いて、さっそく着てみたずらよ」

 

 花丸はえへんと胸を張った。うん、見てみたい。口に出したら軽蔑されるだろうか。

 すると、目の前に何かが差し出された。

 よく見るとそれは、待望の新制服の花丸だ。そして、さらに……

 

「これ、最新機種だな」

「ふっふっふっ、未来ずら。未来ずらよ、八幡さん!」

 

 そんなプロデューサーにやるみたいに詰めてこられても……まあ、幸せそうならオーケーか!何より可愛い。

 スマホの画面には花丸だけでなく、Aqoursの現メンバーが笑顔で写っていた。その姿は違和感なく、これなら新しい学校でもスクールアイドルとしてはやく認められそうだ。何なら全国優勝の肩書もあるし。

 

「じゃあ、お互い何か甘い物でも食うか」

「賛成ずら〜♪」

 

 お互い次のスタートに向け、期待に胸を膨らませながら、この先起こるかもしれないあれこれについて、気ままに話をした。

 だが、人生というものはいつも思いも寄らない方向に行くことがあると、千葉から静岡に移住した経験のある俺すら忘れていた。

 

 ********

 

「分校?」

「はい、ずら⋯⋯一部父兄から反対があったらしくて」

 

 まあどこに行っても変化を嫌う人間とはいるもので、そこに大した理由はないのだ。だからこそ対処もしづらかったりする。

 練習場所も現在確保できてないらしく、一旦過去に使っていた砂浜で練習することにしたそうだ。

 ただ、悪い話ばかりではなく、今回の編入に合わせて特別に開催が決定される新年度部活動説明会で、Aqoursにパフォーマンスの機会が与えられたそうだ。

 

「八幡さん、観に来てくださいずら!」

「いや、無理だろ。部外者どころか不審者だ」

 

 こう言いながらも観に行きたい気持ちはあった。

 何故か花丸の表情に不安の影を感じてしまったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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