捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
「そっか⋯⋯」
「うぅぅ⋯⋯不甲斐ないずら」
部活動説明会当日の夜。花丸の声はあからさまに沈み込んでいた。
ちなみに俺は観に行けそうもなかったので、四月から住む部屋を探しに行っていた。途中で何かしら連絡が来ると思っていたのだが、何も来なかったので中止になったのかと思ったくらいだ。
そして電話してみたら、ライブが上手く行かなかったとの事で⋯⋯
「まあ、そういう日もあるだろ。てか、分校扱いか」
「ずらぁ⋯⋯」
花丸達が実際に見に行った校舎は、浦の星の生徒が入るだけで精一杯の広さしかないらしい。何だ、その待遇。左遷させられた社畜の練習でもさせようというのだろうか?
とはいえ、何ができるわけでもないのがもどかしい。
だが、話を聞くことくらいはできる。月並みなやり方ではあるが。
「⋯⋯実際、三年がいなくなってどうだった?」
「⋯⋯始まる前からずっと不安だったずら。それまでも勿論緊張とかはあったずらよ。でも、これまでとは違った種類のものと言いますか⋯⋯あとステージがとても広く感じたずら」
「そっか」
やはり先輩ということで精神的に頼りにしてしまう部分もあるし、素人にはわからないがあの三人のパフォーマンスの持ち味がない状態でライブに臨む不安もあるのではないかと思う。
それが重なった状態で、アウェーな空間でライブを行い、失敗したことを誰が責められるだろうか。社畜だって苦手な上司の前ではパフォーマンスも落ちるだろう、多分。例えとして正しいかわからんが。
「他にライブやる機会はないのか?」
「まだ決まってないずら⋯⋯マルも皆もこれからAqoursをどういう形にしたいのかが定まってないというか⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
さて、何を言うべきか。
パフォーマンスに関するアドバイスなどできるはずもなく、何なら少し前なら何かできるかなんて考えること自体烏滸がましいなどと考えていただろう。今さらだが。
俺は考えをまとめようとするのをやめ、勢いで口を開いた。
「あー、今から行って大丈夫か?」
「え?あ、はい⋯⋯大丈夫ずら。でも八幡さんは大丈夫ずらか?」
「大丈夫たから聞いてるんだよ。じゃあ行くわ」
俺は通話を切ると、すぐに着替えて家を出た。
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「は、早いずらね。八幡さん⋯⋯」
「多分この道走るの慣れたからだろ」
自分でも驚く速さで自転車を漕いでしまったことに苦笑いしながら、自転車を降り、花丸に駆け寄ると、彼女は表情を隠すように胸に飛び込んできた。
⋯⋯たまには考えなしに動くのもいいな。