捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

104 / 115
青春の影 #97

 

 砂浜へと続く階段を降りていくと、Aqoursがメンバーはダンスの練習をしているところだった。聴き慣れた曲を新しいフォーメーションに変えようとしているのだろう。

 そこに三人分の空白を感じてしまうのは、やはりあの三人のパフォーマンスがAqoursにもたらしていたものは大きかったようだ。

 

「ふむ⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」

 

 鹿角姉妹は、今のAqoursを見てすぐに何か察したように目を細めた。やはり同じスクールアイドル同士だからこそわかることがあるのだろうか。

 すると、向こうもこちらに気づいて手を振ってきた。

 花丸は俺と鹿角姉妹が同時に出てきた事に首を傾げた。まあ、行くとは言ってなかっからな。あと、鹿角姉妹が来ることは高海以外は知らないらしい。

 俺はさっそく飲み物の入った袋を高海に手渡すと、Aqoursからやたらでかい声でお礼の言葉が返ってきた。

 

「⋯⋯じゃあ、俺はこれで」

「あっ、よかったら比企谷先輩も見てってください!」

「え?いや、俺は⋯⋯」

「まあまあ、いいじゃないですか。せっかく来たんですから」

 

 背を向けようとした俺の肩を引きずり、鹿角姉は俺を近くの階段に座らせた。どうやら強制参加イベントらしい。

 まあ、この手のものは人前でやるのが一番成長するらしいので、俺みたいなのがいることで役に立つのなら別にいいが。

 

「じぃ〜⋯⋯⋯⋯」

 

 何故か花丸が効果音付きでこちらを見ている。どうかしたのだろうか、スポーツドリンク以外が良かったのか?いや、花丸はそんなことで不満を言うタイプではない。

 とはいえ、思い当たる節がない以上後で本人に聞いてみるしかない。

 その思考を断ち切るように鹿角姉がAqoursに話しかけた。

 

「じゃあ、さっそく見せてもらってもいいですか」

 

 ********

 

 新生Aqoursのパフォーマンスを見た鹿角姉は、はきはきとした口調で、ひとかけらの遠慮もなく現実を叩きつけた。

 小原の歌唱力、松浦のダンス、黒澤姉の華やかさなど、今のAqoursから欠けたものを的確に言い当て、そのうえでもう一度三人に会ってみたらどうかと提案してみた。

 しかし、第三者からの評価がショックだったのか、Aqoursの表情は沈んでいる。

 

「ルビィ達、どうしたら⋯⋯」

「そんなの⋯⋯自分達で考えるしかないじゃない!」

 

 突然鹿角妹は黒澤妹の言葉に激高し、駆け出した。

 ⋯⋯彼女と今のAqoursの状況は似ている。さらに鹿角妹は一人でのリスタートだから、思うところがあるのかも知れない。

 だが騒ぎはそれだけでは収まらなかった。

 なんと海の向こうから、凄まじい轟音を響かせて、ヘリが飛んできた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。