捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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青春の影 #98

 唐突すぎて現実を認識するだけで精一杯だった。

 何故このタイミングでヘリがこちらに向かって飛んでくるのか。マジで非常事態かと思ったわ⋯⋯。

 

「ねえねえ、これどんな状況!?」

「⋯⋯い、いや、俺もわからん」

 

 さらに、いきなり知らない女子から話しかけられる。それも、初対面だというのにやけに親しげだ。

 肩くらいまでの黒髪に女子的には少し高めの身長、あとどこか見覚えのある目元の少女は口元の笑みを絶やさぬまま続けた。

 

「私、曜ちゃんのいとこの渡辺月です!よ〜ろしく〜!あなたは国木田花丸ちゃんの恋人の比企谷先輩ですよね!話は聞いてます!」

「そ、そうか、よろしく⋯⋯」

 

 ヘリの轟音の中でもしっかり届く声に、俺は会釈しながら、渡辺からどんな話を聞いたが気になった。いや、今はそれどころじゃないか。

 ヘリは俺達のいる位置から割と近い場所に浮かんだまま、やかましくこちらを見下ろしている。

 

「鞠莉ちゃんだ!」

 

 高海が嬉しそうに声を上げる。ああ、確かにこんな登場ができるのはよほどの金持ちだろう。だが、何故このタイミングで?

 すると、ヘリのドアが開き長い金髪とサングラスが印象的な女性が姿を見せた。

 ⋯⋯もしかしてあれは⋯⋯

 

「いつもMy Daughterがお世話になってマース!私はMari's Motherデェェェェェース!」

 

 ちなみに花丸はちらちらとこちらを見ている。

 

 ********

 

 俺達はそのままヘリで小原邸まで連れて行かれた。何故俺まで、などと考える時間もないくらいにあっという間に。

 Aqoursメンバーの後ろにの席で、鹿角姉と渡辺月に挟まれて座り、時折こちらを見る花丸に頷きながらの空の旅は、短距離ながら貴重な経験だったかもしれない。

 到着した俺達は何に使うのかはわからないホールに招かれ、小原母のピアノの演奏を聴かされていた。これなんの時間ですか!?

 一同そわそわしている中、自身もピアノを演奏する桜内は、その音色に身を乗り出していた。

 そして花丸⋯⋯なぜこちらをじーっと見ている。まあ、隣に座れなかったのは残念だが、今はAqoursの活動中だから致し方ない。

 曲が終わりを告げると、小原母は立ち上がり、演技がかった口調で告げた。

 

「マリーがあの『ハグゥ』と『デスワ』の3人でイタリアに行ったきり、連絡が取れなくなってしまったのデース!!」

『⋯⋯⋯⋯』

 

 一同静まりかえる。

 え、その二人誰?となりかけたが間違いなく松浦と黒澤だろう。てか、海外で連絡取れなくなったってやばくない?小原は住んでたみたいだが⋯⋯。

 驚きと焦りで背中を汗が伝うと、今度は天井に穴が空き、金貨が大量に降ってきた。

 

 

 

 

 

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