捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
やがて日が暮れると、出店などは終了し、キャンプファイヤーの時間になった。井桁型に組まれた木の真ん中で燃え上がる炎を中心に、生徒達がフォークダンスを踊っている。
松浦は小原に片膝をつき、ダンスを申し込んでいた。え、何あれ。めっちゃかっこいいんですけど。
俺は他の観客に混じり、そのゆったりした音楽と踊りを観ていた。この衆人環視の中でスクールアイドルの花丸とフォークダンスをするわけにはいかないし、フォークダンスといえば古傷を抉られるので、このくらいの距離感が丁度いい。
すると、背後からちょんちょんと誰かが肩をつついてきた。
「⋯⋯おお、どした?」
「ふふっ、びっくりしたずらか?」
「そりゃあな。つーか、踊らなくていいのか?」
「だから八幡さんをダンスに誘いに来たずら」
「⋯⋯は?いや、さすがにそれは⋯⋯」
「こっちに来て欲しいずら」
花丸は俺の手を引っ張り、人混みをすり抜け、校舎の陰へと移動した。これだけでもかなり大胆な行動なのだが、周りは炎とフォークダンスに魅入られていて、こちらに気を配る者はいなかった。
そして、どちらからともなくフォークダンスの姿勢になり、そのままリズムに身を委ねる。
前は自分の運動神経をコンプレックスに思っていた彼女だが、やはりスクールアイドルとして練習を積んだ分、軽やかに踊っていた。
ちなみに俺は慣れてなさからか、足元ばかり見ていた。
「ふふっ、八幡さん。緊張しすぎずら」
「い、いや、もう何年もやってないからね?てか、これ二人だけだと余計混乱しない?」
「八幡さんは⋯⋯マル以外と踊りたいずらか?」
「いや、全然むしろこのままチークダンスに移行したいまである。やり方知らんけど」
「そ、即答しずぎずら⋯⋯こっちが恥ずかしくなってくるずら」
花丸は校舎の向こうから微かにこちらを照らすオレンジ色明かりに、ぼんやりと輪郭を浮かび上がらせていた。
それでも、頬が朱色に染まっているのは確信が持てた。
やがて、どちらも動きを止め、自然と唇が惹かれ合う。
「⋯⋯⋯⋯」
「ん⋯⋯⋯⋯」
場所が場所なので、意識してはやく離れると、花丸は少し物足りなそうに膨れてみせた。
「むぅ⋯⋯」
「⋯⋯い、今はこれで⋯⋯その、俺も大変不本意ではあるんだが⋯⋯」
「ふふっ、じゃあ後にするずら」
「そろそろ戻るか」
「はい」
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盛り上がった閉校祭も終演を迎え、一つの区切りがつく。
最後はAqoursが中心となり、皆で歌を歌った。
柄にもなく俺も口ずさんでしまっていた。
夜空の星がそれに共鳴するように輝きを撒き散らし、まんまるい月がそれを見守っていた。