捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
「は?」
気づいた頃にはもう遅いと言わんばかりに大量の金貨が降り注いでくる。嘘みたいな状況だが本当だ。だが⋯⋯何だ、これ?頭に当たってもあんま痛くないというか⋯⋯金属じゃない?あとなんか甘い匂いがするんだけど⋯⋯。
「これは⋯⋯チョコずら♪」
花丸は金の包装紙を剥がして、中のチョコにかじりついた。
⋯⋯なんだ、この演出は。さすが大富豪、余計な演出も一味違う。
Aqoursに差し入れを持ってきただけなのに、朝っぱらからサプライズが渋滞していて、動揺が収まるのがはやくなった気がする。
そして、小原母はこちらの数名がまだあたふたしている事などお構いなしに話を進めた。
とりあえず今からイタリアへ行って、三人を探してきてほしいらしい。交通費や諸々の費用はすべて小原家持ちで。マジで夢の中にいるんじゃないかと頬をつねってみるが、しっかり痛い。どうやら現実らしい。
まあ、これまでのAqoursを見ていたら、こういう突拍子もない出来事が起こってもおかしくはないと思えとしまう。色々心配だが⋯⋯無事に三人を探してきてほしいと思う。なのに⋯⋯
「どうして俺までイタリア行くことになってるんだ?」
「それはさっき小原さんのお母さんが説明したじゃないですか。女の子達だけで人生初のイタリアは心配だからって」
「⋯⋯さっき行ったことあるから、道案内は任せろって言わなかったか?」
「ほら、私も女の子だから」
俺も危険な事があったら大して役に立たないんだが、まあこういうのは心理的なものだろう。
花丸は海外初めてらしいが大丈夫だろうか?
前の席にいるので表情は見れないが、黒澤妹と津島の会話に相槌をうつ声音はいつもどおりに聞こえる。意外とメンタル強いからあんま心配はしてないが。
すると、花丸はさっと立ち上がり、こちらを振り向いたかと思うと、さっきみたいにじーっと見てきた。
「ど、どうかしましたか、花丸さん?」
気圧されてつい敬語になってしまう。一体どうしたというのだろうか。
「むぅ⋯⋯⋯⋯ずら」
何やらぼそぼそと呟いているが、声が小さすぎて聴き取れない。
しかも、花丸はぷいっと視線をそらし、再び座ってしまった。
⋯⋯どうした?怒ってる?ていうか、これ俺が何かやらかしてしまったのか?多分そんな気がする。
花丸と恋人同士になってからまだ半年も経ってないからか、初めての状況に焦りが頭の中を埋め尽くしていく。
「あらら、比企谷先輩⋯⋯大変そうですね。でも、青春って感じでいいかも」
渡辺月は何故か楽しそう俺と花丸を見比べていた。