捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
ジェラートを食べ終わり、皆の元へ戻ると、黒澤妹がぶんぶん手を振って出迎えてくれた。
「行くとこ決まったよ!」
「くっくっくっ、目指すは彼の約束の地⋯⋯ヨハネ、堕天!」
「善子ちゃんも戻ってきてよかったずら。色んな意味で」
「ヨハネ!てかどういう意味!?」
「花丸ちゃんと比企谷先輩も戻ってきたから行こっか!」
「千歌ちゃん、そっちじゃないわよ」
「あはは、じゃあ月ちゃんお願いね」
「じゃあ、レッツヨーソロー!!」
「それ私の台詞!」
とりあえずAqoursはイタリアでもAqoursのままである。
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目的地は割とここから近い場所にあるらしく、少し移動すると、似たような場所に到着することはできた。
「うゆゆ⋯⋯」
「ルビィちゃん大丈夫ずらよ」
ヴェネチアンマスクは黒澤妹には刺激が強かったのか、かなり怖がっていた。花丸に慰められているのを見て、津島は呆れて溜め息を吐いている。
一応確認してみるが、周囲を見渡してみても、あの三人らしき人物はいない。
「うーん、いないなぁ」
「どこ行っちゃったんだろ?」
「これだけじゃイマイチわからないわね」
すると公衆電話がいきなり鳴り始めた。
⋯⋯なんだ、いかにも怪しくて怖いんですけど。
周囲を歩く人達も怪訝そうな目を向けている。
俺やAqoursのメンバーも鳴り続ける公衆電話を固唾を呑んで見守る中、渡辺月がすたすたと駆け寄り、受話器を取り上げた。
その堂々とした立ち振る舞いに周囲の人間が呆気にとられている。彼女は何回か頷き、受話器を戻すと、さっきと同じスピードでこちらに戻ってきた。
「コンタリーニ・デル・ボーヴォロだって!」
『⋯⋯⋯⋯』
⋯⋯どこ?
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本当に信じていいかどうかわからないが、とにかく動かなければ始まらないので、俺達はコンタリーニ・デル・ボーヴォロとやらに向かうことにした。
寂れた路地裏を歩いているが、海外だという高揚感やイタリアの建物の造りのせいか、こういう場所すらも観光地に見えてくる。普通の旅行で来たわけではないものの、どうやら俺は非日常に浮き足立っているらしい。ボディーガード的な役割を仰せつかっているので気を引き締めねば。
やがて細い道の向こう側に見た目こそ古いが威厳のある建物が見えてきた。
「あれだよ!」
「わぁ⋯⋯!」
「素敵ね。こんな場所があるなんて」
建物の外観をぼんやり眺めていると、一番上の方から誰かが手を振っているのが見えた。あれは⋯⋯
「おい、あれ⋯⋯」
「あー!」
「お姉ちゃん!!」
俺が指さした方を確認すると、Aqoursはすぐさま走り出した。