捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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青春の影 #102

 

「ずらぁ⋯⋯この階段、長すぎずらぁ⋯⋯」

「待ってるから慌てなくていい」

「あ、ありがとうございます⋯⋯でも、がんばるずらぁ⋯⋯」

 

 花丸はふらふら歩きながら、それでもしっかりと一段一段昇っていく。ちなみに黒澤妹は大好きな姉の姿を見つけてからというものの、すさまじい速さで駆け上がっていった。あいつ、運動苦手とか言ってる割にそこそこ体力あるんだよな。

 とはいえ、花丸もスクールアイドルを始めてからはしっかり練習についていってるので、以前よりは遥かに体力がついている。疲れを隠せないものの、休むことはなかった。

 やがて階段が途切れ、Aqoursのメンバーと渡辺月の姿が見えた。

 

「あ、花丸ちゃん!比企谷先輩!」

「やっと昇ってきたね」

「比企谷さんも巻き込まれてしまいましたのね」

「さっすが花丸のステディデース!」

「⋯⋯おう」

「着いたずらぁぁぁ〜〜〜⋯⋯」

 

 花丸はそのまま仰向けに倒れ込む。

 おつかれと声をかけてから、再び三人の方に目をやると、にこやかに手を振ってきた。

 久しぶり⋯⋯でもないが久しぶりに感じてしまう再会。

 とりあえず目的は達成したようで何より。

 そう考えたのも束の間、ふとある事に気づく。

 周囲の人間がこちらにやたらと視線を向けてくる。

 何かを確かめるような目つきというか⋯⋯

 

「そういえば何で行方不明になっちゃったの?」

「「「⋯⋯行方不明?」」」

 

 三人は首を傾げる⋯⋯ああ、なんとなくわかった気がするんだが。

 

「やっぱりそういう事になってるのね⋯⋯!!」

 

 小原も思い当たる節があるのか、怒りにぷるぷる震えだした。

 

「え、どうしたの?」

「多分だが俺達、小原達の居場所特定するためにイタリアに行かされたんだよ」

 

 そうこうしているうちに、周囲の観光客の何人かが手に持ったチラシと三人を見比べている。おそらく誰かに配らせたのだろう。

 小原はゆっくりとかぶりを振り、黒澤と松浦と交互に目を合わせた。

 

「ここには長くステイできないわね⋯⋯曜、ごめん!」

 

 彼女はコートの裏ポケットあたりに手を突っ込み、そこから何かを引き出し、塔の外に放り投げた。あれは⋯⋯

 

「「くんくん⋯⋯制服!!!」」

 

 W渡辺がなんの躊躇いもなくキャッチしに行く。マジか、こいつら⋯⋯!

 それを見た残りのメンバーは慌ててしがみついた。

 俺も考えるより先に体が動き、一番後ろにいる黒澤妹と津島の肩を押さえつけた。

 

「おい、小原⋯⋯!」

「詳しい説明はナッシングデース!」

 

 こうして三人は再び俺たちの前から姿を消した。

 

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