捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
「ずらぁ⋯⋯この階段、長すぎずらぁ⋯⋯」
「待ってるから慌てなくていい」
「あ、ありがとうございます⋯⋯でも、がんばるずらぁ⋯⋯」
花丸はふらふら歩きながら、それでもしっかりと一段一段昇っていく。ちなみに黒澤妹は大好きな姉の姿を見つけてからというものの、すさまじい速さで駆け上がっていった。あいつ、運動苦手とか言ってる割にそこそこ体力あるんだよな。
とはいえ、花丸もスクールアイドルを始めてからはしっかり練習についていってるので、以前よりは遥かに体力がついている。疲れを隠せないものの、休むことはなかった。
やがて階段が途切れ、Aqoursのメンバーと渡辺月の姿が見えた。
「あ、花丸ちゃん!比企谷先輩!」
「やっと昇ってきたね」
「比企谷さんも巻き込まれてしまいましたのね」
「さっすが花丸のステディデース!」
「⋯⋯おう」
「着いたずらぁぁぁ〜〜〜⋯⋯」
花丸はそのまま仰向けに倒れ込む。
おつかれと声をかけてから、再び三人の方に目をやると、にこやかに手を振ってきた。
久しぶり⋯⋯でもないが久しぶりに感じてしまう再会。
とりあえず目的は達成したようで何より。
そう考えたのも束の間、ふとある事に気づく。
周囲の人間がこちらにやたらと視線を向けてくる。
何かを確かめるような目つきというか⋯⋯
「そういえば何で行方不明になっちゃったの?」
「「「⋯⋯行方不明?」」」
三人は首を傾げる⋯⋯ああ、なんとなくわかった気がするんだが。
「やっぱりそういう事になってるのね⋯⋯!!」
小原も思い当たる節があるのか、怒りにぷるぷる震えだした。
「え、どうしたの?」
「多分だが俺達、小原達の居場所特定するためにイタリアに行かされたんだよ」
そうこうしているうちに、周囲の観光客の何人かが手に持ったチラシと三人を見比べている。おそらく誰かに配らせたのだろう。
小原はゆっくりとかぶりを振り、黒澤と松浦と交互に目を合わせた。
「ここには長くステイできないわね⋯⋯曜、ごめん!」
彼女はコートの裏ポケットあたりに手を突っ込み、そこから何かを引き出し、塔の外に放り投げた。あれは⋯⋯
「「くんくん⋯⋯制服!!!」」
W渡辺がなんの躊躇いもなくキャッチしに行く。マジか、こいつら⋯⋯!
それを見た残りのメンバーは慌ててしがみついた。
俺も考えるより先に体が動き、一番後ろにいる黒澤妹と津島の肩を押さえつけた。
「おい、小原⋯⋯!」
「詳しい説明はナッシングデース!」
こうして三人は再び俺たちの前から姿を消した。