捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
『続いて登場するのは、内浦が生んだスクールアイドル・Aqoursのです!』
司会の方がそう言うと、マル達はステージへと足を踏み入れた。
すると、想像を遥かに超えた歓声がAqoursを迎えた。
何もかもが地区大会とは比較にならない大きさで、マル達は客席の光の海を目を見開いて、しっかりと見つめた。
『さあ、Aqoursのメンバーが育った内浦からも同級生や家族など、大勢ご来場してます!』
背後にあるスクリーンに客席が映し出される。その中にはメンバーのご家族がいて、その中にマルのおばあちゃんもいた。
笑顔でペンライトを振ってくれている。
それだけで心が軽くなるのを感じる。
そして、おばあちゃんの隣に⋯⋯八幡さんがいた。
あれ?マルは緊張しすぎて幻覚でも見てるずらか?
目をぱちぱちさせて、もう一度見てみる。
すると、やはりそこに映っているのは八幡さんだった。おばあちゃんに声をかけられ、何やら頷いている。
でも、どうして?今日は静岡で試験だって⋯⋯。
そこでこんな状況を作れそうな人物に思い当たり、視線を向けた。
すると⋯⋯鞠莉ちゃんはウインクで返してくれた。
後でちゃんとお礼言わなきゃ。
胸の奥から力が湧いてくるような感覚。
あとはこの9人で⋯⋯最高のパフォーマンスのために力を出し切るだけだ。
『さぁ、それではAqoursのパフォーマンスです!曲はWATER BLUE NEW WORLD!!』
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少し時を遡ると⋯⋯
「マジで到着しちゃったよ」
俺は人生初の超高級車を降り、思わず呟いた。
試験終了後の呼び出しに応じてグラウンドに出ると、なんとヘリコプターが待っていた。
どうやら小原が手配したものらしい。アイツ、無茶苦茶やるなぁ⋯⋯さすが桁違いの金持ち。
これは後で礼を言いまくらんといかんやつだ。
俺は運転手に頭を下げ、会場のゲートへと向かった。
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やがてAqoursのパフォーマンスが始まると、水色の光の海がこの会場にいる観客を⋯⋯そして、Aqoursのメンバーをつつみ込んだ。
この場にいるのはAqoursのファンだけではない。
それでも皆ペンライトを青く染めて、Aqoursのパフォーマンスに魅入られていた。
この場にいることができる奇跡にただ感謝するしかない光景。
俺は自分の頬を温かいものが伝うのを感じていた。
それでも一瞬たりとも見逃したくはない。
目を瞬いて視界が滲むのを防ぎながら、彼女達の⋯⋯花丸のパフォーマンスを心に焼き付けた。
やがて曲が終わると、隣に座っている花丸のおばあちゃんからそっとハンカチを差し出された。
俺は頭を下げてそれを受け取った。