捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
「け、結婚って、あの⋯⋯!?」
「ていうか、そんな相手いたの!?」
「どんな人!?どんな!?」
「ま、鞠莉ちゃん、大人⋯⋯」
「まさか番となる相手があろうとは⋯⋯」
「結婚⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯マジか」
これはさすがに予想外だった。あと花丸が「結婚⋯⋯」と呟きながらこちらをちらちら見るのはどうリアクションを取ればいいんですかね。
「果南!」
「だって隠しててもしょうがないでしょ?事実なんだし」
「だからそうならないようにしてるの!」
「⋯⋯前から言われてたのか?」
「言われたのは最近の話。まあ、それまでは色々言われても聞く耳ナッシングだったんだけどね。今度ばかりはそうもいかないみたい」
小原が寂しそうに目を伏せると同時に、勢いよく扉が開いた。
「っ!?⋯⋯ママ」
「えっ、ウソ?」
「もう見つかっちゃったの!?」
やはりか、と思いながら視線を小原母の背後に向けると、特に誰もつれてきてはいないようだ。アニメで見るようなガタイのいい黒服のSPとかいたら、もう諦めるしかないところだったわ。
「マ、ママ!?どうして⋯⋯」
「これはハグゥとデスワの入れ知恵デスカ?」
「違うわ!私が自分で考えたの⋯⋯ママがしつこいから」
「しつこくしなかった結果がこれデス!」
「これって⋯⋯」
「あなたはイタリアの高校の卒業資格を失った。こっちで積み上げてきたものを台無しにしたのデスよ!おまけに学校は廃校になっではないデスか!」
「でも、スクールアイドルとしては結果を残せた!皆の想いを⋯⋯浦の星の名前をスクールアイドルの歴史に刻んできたわ!」
「それがなんだと言うのデスか?何かあなたの人生に得があったのデスか?⋯⋯くだらない」
鞠莉母の言葉にAqoursメンバーの視線に熱が灯った。部外者の俺ですら珍しく苛ついてしまったから無理もないだろう。
だが、小原母は娘の怒りの籠もった視線を平然と受け止めたまま彼女に手を伸ばした。
「来なさい。あなたの行動は私が⋯⋯」
「待って!」
小原は負けじとその場に踏みとどまり、松浦と黒澤も彼女の腕を掴んで支えていた。
「スクールアイドルは絶対にくだらなくなんかない!もし、それを証明できたら⋯⋯私に自分の人生を自分で決めさせて!それと、二人と会うことも許して!」
「⋯⋯いいでしょう。ただしできなかった時はわかってマスね?」
小原は力強く頷く。Aqoursの他のメンバーも同様に頷いた。
その様子を見た小原母は、来た時と同様に颯爽と立ち去った。