捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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青春の影 #107

 

 騒動の後、俺達はレストランへと来ていた。3年生組がまだ晩飯がまだだったらしいので、俺達もせっかくたからとついてきた。

 3年生組はもうかくれんぼをしなくていい開放感に浸りながら、運ばれてきた料理に舌鼓をうっている。

 

「お前、すげえな⋯⋯」

「美味しいずら〜♪」

 

 花丸はさっきのフードコートでの食事と同じくらいの量を注文していた⋯⋯胃袋どうなってるんですかね。ちなみに俺はその三分の一くらいだ。

 彼女は料理の一つ一つに目をキラキラさせながら頬張っている。

 

「八幡さん、このラザニアおいしいずらよ」

 

 花丸がラザニアを掬ったスプーンを差し出してきた。

 気づいた頃には口元まで来ていたので、俺はそのまま頬張ってしまう。あ、これめちゃくちゃうまい。後で小町に教えてやろう。

 

「ハレンチですわ」

「見せつけてくれるね」

「Oh、イタリアに来ても二人はラブラブデース!」

「花丸ちゃん⋯⋯大胆」

「もうちょっと慎みを持ちなさいよ」

「ちっ!ボッチのクセに!!」

「はわわ、マ、マルはそんなつもりじゃ⋯⋯八幡さん、ごめんなさいずら!!」

「⋯⋯いや、べ、別に謝る必要はない。うまかったし」

 

 ていうか、誰かボッチのクセにとか誰か言わなかったか?お前はなんでイタリアにまでいるんだよ。そろそろ正体を暴かなければならない。

 俺はさっと背後を振り返ったが、そこにはそれらしい人影はなく、女性客しかいなかった。

 ⋯⋯まさかな。

 

「八幡さん、どうかしたずらか?」

「いや、何でもない」

 

 まあ、いいだろう。実害は出てないわけだし。

 

「それで、どうするんですの?」

「何が?」

「歌う場所ですわ!さっきあんな意気込んでたじゃありませんの!スクールアイドルの素晴らしさをお母様に見せると!」

「もちろんわかってるわ。やるからにはもちろん全力デース!」

「ライブできたらすごく楽しそうな場所、たくさんあるもんね!人もたくさんいるし!」

「カメラは僕に任せて!比企谷先輩も別アングルで撮ってくれるから!」

 

 何やら勝手に役割分担されたが、手持ち無沙汰なのも申し訳ないのでありがたい。

 俺は渡辺月の方を見て、黙って頷いた。

 ふと花丸に目をやると、真剣な面持ちで他の一年生組と目配せしている。

 やがて、意を決して花丸が口を開いた。

 

「聞いてほしいことがあるずら」

「あの、ライブの場所の事何だけど⋯⋯私達一年生でも話し合っていいかしら?」

 

 花丸と津島が立て続けに発言すると、今度は黒澤妹が立ち上がり一同に目をやった。

 皆の視線を受けているのを確認すると、黒澤妹は一語一語噛み締めるように話し始める。

 

「今回のライブの場所はルビィに決めさせてほしい。これまで、上級生に頼ってばかりだったから」

 

 その発言に最初は驚いていた黒澤だったが、そっと口元に笑みを浮かべ、優しく目を細めた。

 

 

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