捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
騒動の後、俺達はレストランへと来ていた。3年生組がまだ晩飯がまだだったらしいので、俺達もせっかくたからとついてきた。
3年生組はもうかくれんぼをしなくていい開放感に浸りながら、運ばれてきた料理に舌鼓をうっている。
「お前、すげえな⋯⋯」
「美味しいずら〜♪」
花丸はさっきのフードコートでの食事と同じくらいの量を注文していた⋯⋯胃袋どうなってるんですかね。ちなみに俺はその三分の一くらいだ。
彼女は料理の一つ一つに目をキラキラさせながら頬張っている。
「八幡さん、このラザニアおいしいずらよ」
花丸がラザニアを掬ったスプーンを差し出してきた。
気づいた頃には口元まで来ていたので、俺はそのまま頬張ってしまう。あ、これめちゃくちゃうまい。後で小町に教えてやろう。
「ハレンチですわ」
「見せつけてくれるね」
「Oh、イタリアに来ても二人はラブラブデース!」
「花丸ちゃん⋯⋯大胆」
「もうちょっと慎みを持ちなさいよ」
「ちっ!ボッチのクセに!!」
「はわわ、マ、マルはそんなつもりじゃ⋯⋯八幡さん、ごめんなさいずら!!」
「⋯⋯いや、べ、別に謝る必要はない。うまかったし」
ていうか、誰かボッチのクセにとか誰か言わなかったか?お前はなんでイタリアにまでいるんだよ。そろそろ正体を暴かなければならない。
俺はさっと背後を振り返ったが、そこにはそれらしい人影はなく、女性客しかいなかった。
⋯⋯まさかな。
「八幡さん、どうかしたずらか?」
「いや、何でもない」
まあ、いいだろう。実害は出てないわけだし。
「それで、どうするんですの?」
「何が?」
「歌う場所ですわ!さっきあんな意気込んでたじゃありませんの!スクールアイドルの素晴らしさをお母様に見せると!」
「もちろんわかってるわ。やるからにはもちろん全力デース!」
「ライブできたらすごく楽しそうな場所、たくさんあるもんね!人もたくさんいるし!」
「カメラは僕に任せて!比企谷先輩も別アングルで撮ってくれるから!」
何やら勝手に役割分担されたが、手持ち無沙汰なのも申し訳ないのでありがたい。
俺は渡辺月の方を見て、黙って頷いた。
ふと花丸に目をやると、真剣な面持ちで他の一年生組と目配せしている。
やがて、意を決して花丸が口を開いた。
「聞いてほしいことがあるずら」
「あの、ライブの場所の事何だけど⋯⋯私達一年生でも話し合っていいかしら?」
花丸と津島が立て続けに発言すると、今度は黒澤妹が立ち上がり一同に目をやった。
皆の視線を受けているのを確認すると、黒澤妹は一語一語噛み締めるように話し始める。
「今回のライブの場所はルビィに決めさせてほしい。これまで、上級生に頼ってばかりだったから」
その発言に最初は驚いていた黒澤だったが、そっと口元に笑みを浮かべ、優しく目を細めた。