捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

115 / 115
君想い #11

「そういや、まだ聞いてないんだが、今日はどこ行くんだ?」

「ふっふっふ。私に任せて。今日で君は内浦マニアになるから」

「いや、そこまでなりたくはないんだが……」

「まあまあ、遠慮しなくていいから。さ、行くよ!」

 

 遠慮など一切してないんだが……。俺の千葉愛なめんなよ。

 だが、松浦がすたすた歩き出したので、とりあえずついていくことにした。

 何の気なしに空を見上げると、雲一つない青空だった。

 

 ********

 

「まずはここ!」

「……おお」

 

 まず案内されたのはお洒落な外観の喫茶店。海の近くというのがまたいい。

 だがそれだけではなく……

 

「わんっ」

 

 もちろん店員が吠えたわけではない。店に入ると、足元には小さな犬がこちらをくりくりした目で見上げていた。

 

「……かわいい」

「でしょ?この子目当てに来るお客さんもいるんだよ。お~よしよし」

 

 松浦が優しく頭を撫でると、犬は嬉しそうに目を細める。

 すると、奥からぱたぱたと足音が聞こえてきた。

 

「いらっしゃいませ~。あら、果南ちゃん珍しい……もしかして、彼氏?」

「違いますよ~」

「…………」

 

 ちょっと前にもこんなことがあったような……。

 どこをどう見たらそうなるのか。変なこと考えちゃいそうになるからやめてね。

 

「彼は最近引っ越してきたんです。今日は町の案内を……」

「なるほど、じゃあサービスしなくちゃね」

 

 二十代後半くらいの店員さんは、こちらに向かってウィンクした。これは「次回もサービス、サービス♪」の伏線だろうか。

 くだらないことを考えていると、再び犬がくりくりした瞳でこちらを見上げている。

 

「ね?いい雰囲気でしょ」

「かわいい……」

「えっ!?」

 

 そっと犬を愛でていると、松浦が驚いた表情をしていた。

 

「どした?」

「え?あ、いや……な、何でもないから!……まぎらわしいなぁ、もう」

 

 いきなり何だろうか。

 だが、すぐにコーヒーが運ばれてきて、この謎は謎のままだった。

 

 ********

 

 喫茶店を出ると、松浦は「う~ん」と大きく伸びをした。

 

「よし、次は運動しよっかな」

「……は?」

 

 町案内のはずが運動?この体力おばけに付き合って運動なぞしていたら、俺の身体は『はちまん、こわれる』みたいになっちゃうんだが。スペアとかねえんだぞ。

 

「あはは、冗談だよ冗談。それはまた今度しっかり付き合ってもらうから」

「そ、そうか」

 

 どっちにしろ運動はさせられるらしい。まあ、最近体力ついてきたのでいいんだけど。

 

「さ、行こ。まだまだ付き合ってもらうからね」

「……おう」

 

 ********

 

「ち、千歌ちゃん!あれ!」

「え?……あっ」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【書籍化】 ま! よ! け! の! 塩! (120年分)(作者:哀森賢人/哀しみを背負ったゴリラ)(オリジナル現代/ホラー)

【書籍化決定!】2026年08月24日 GCノベルズ(GCN文庫)様より発売中!▼  自分の部屋の天井の四隅を同時に見てみよう。▼  大丈夫。何も起きないから。絶対なにも起きないから、大丈夫だから。ね?ね?▼夜の山をじっと見続けると、何か光るモノが見えるよ。▼それが動いていたら、スマホで動画を撮ってみよう。▼きっとバズるよ。ほら撮って。▼    寝る前に布団…


総合評価:27626/評価:9.09/連載:50話/更新日時:2026年09月05日(土) 23:27 小説情報

​『逆襲のシャア』の総帥に憑依した元商社マン、アクシズを落とさず地球圏を支配する 〜静かに暮らしたいだけなのに、アナハイムと狂信者に神輿を担がれて逃げられない件〜(作者:なやむ)(原作:ガンダム)

「お願いだから、もうこれ以上俺(キャスバル)を神輿として担がないでくれ……!」▼目が覚めると、そこは宇宙世紀0090年代▼よりにもよって、グリプス戦役末期、ハマーン・カーンと一騎討ちに臨み、その後消息不明になっていた世紀のカリスマ、シャア・アズナブルーキャスバル・レム・ダイクンに憑依していた▼本物のシャアはすでに成仏してどこにもいない。残されたのは、ただ「早…


総合評価:13308/評価:8.79/完結:9話/更新日時:2026年07月28日(火) 18:00 小説情報

分身スキルの最強戦術って自爆特攻じゃね?(作者:sasarax)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

異世界に転生したにもかかわらず、奴隷として酷使される日々。▼剣も魔法も学べず、唯一の武器は自分の分身を生み出すスキルだけだった。▼なんとかその分身スキルを使って成り上がろうと試行錯誤する中、主人公は気付く。▼分身の自分であれば死んでも別に問題ないじゃないか、と。▼足らない力の代わりに命をかける。▼守るべき誰かを自分の命を投げ捨てて守る。▼大丈夫。だって、分身…


総合評価:19097/評価:8.96/連載:89話/更新日時:2026年09月13日(日) 16:12 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>