捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
曲が終わると、一瞬しんと静まり返ってから、何かが弾けたように拍手の音がメンバーをつつみ込んだ。拍手を贈る観客の中には小原母も混じっている。その口元には笑みを称えいて、Aqoursのパフォーマンスから何かを受け取ったことは疑いようがなかった。
小原は母親に向き合い、まっすぐな瞳で想いを告げた。
「パパとママが私を育ててくれたように、Aqoursの皆が⋯⋯スクールアイドルとの出会いも私を育ててくれたの!全部あってこその私なの!失くすことなんて⋯⋯できないよ」
「⋯⋯⋯⋯」
小原母は黙って聞いていたが、やがて再び笑みを見せ、何も言わずにその場をあとにした。
その背中を見送った松浦が小原の肩をぽんぽん叩いた。
「⋯⋯認めてくれたのかな?」
「さあ?でも、私の気持ちは伝わったはずだから」
小原は晴れやかな表情で皆を振り返った。
その様子を見て、他の皆も笑顔になる。
この瞬間だけでもイタリアに来てよかったと思えた。まあ、そもそもタダで来てるわけなんだが。
「八幡さん。最後のは余計ずら」
「心読まないでね」
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「ヨハネ⋯⋯帰還!!!」
「あ〜疲れた〜」
「むっちゃん達、学校で待ってるって」
「なんだろね?」
「ちょっと待ちなさいよ!!」
「マル達はこれから学校に用事ありますけど、八幡さんはこれからどうするずらか?」
「とりあえず一旦家に帰るわ。小町にお土産渡さないと」
「わかったずら。じゃあまた後で」
「おう、それじゃ」
俺は荷物を持ち直して帰路についた。
何故か見慣れた帰り道を一歩一歩確かめるように歩いていると、ようやく沼津に帰り着いたという実感が沸いた。
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バスを降り、しばらく歩き、自宅が見えてきたかと思うと、ポケットの携帯が震えた。
花丸か?とすぐに画面を確認すると、そこには意外な名前が表示されている。
「はい、もしもし」
「やあ、久しぶりだな。元気にしてるかね」
「お久しぶりです。こっちは変わりなく。そっちはどうですか、平塚先生」
「まだ一年目だから覚えることが多くて大変だよ。まだ一年目だから」
大事なことなんで二回言いましたね。
「君が大学に受かったのは連絡をもらったから知ってるが、今はどうしてる?もう住む所は決めたのか?」
「それは少し前に決めましたよ。今色々あってイタリアから帰ってきたところです」
「そうか。イタリアか⋯⋯ん?イタリア!?ああ、まあ卒業旅行と考えれば⋯⋯」
「いや、そういうわけじゃないんですが⋯⋯」
俺は唐突に発生したイタリア行きのイベントについて、かいつまんで説明した。
「⋯⋯そうか。まあ、君もそっちで奉仕部活動していたのなら何よりだ」
「いや、別にそんなんじゃ⋯⋯」
「じゃあ、そろそろそっちに着くから色々聞かせてくれたまえ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」