捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
数分後、本当に自宅前に赤いアストンマーティンが姿を見せた。
そして、4つのドアすべてが開き、懐かしい顔が姿を見せた。
「⋯⋯おう」
まず何を言えばいいかわからず、とりあえず右手を軽く挙げてみると、向こうは手のひらをひらひら振ってみせた。
「ヒッキー、イタリア行ってたの!?」
その中の一人、由比ヶ浜結衣が目をキラキラさせながら、ドタバタと駆け寄ってきた。
「第一声がそれかよ⋯⋯」
まあ、相変わらずといえば相変わらずなので、かえってほっとする部分もあるのだが。
「比企谷君、大学合格おめでとう」
「おう、そっちもおめでとう。まあ、お前は特に驚くこともないが⋯⋯よく由比ヶ浜を難関大に入れたな。お前、学習系YouTuberとして稼げるんじゃね?」
「そうでもないわ。由比ヶ浜さんが頑張ったからこそ受かったのよ」
「いやいや、ゆきのんの教え方が上手すぎただけだから!てか、今さりげなく失礼なこと言わなかった!?」
「それよか、今日はどうしたんだ?わざわざ静岡まで」
「あら、この時期にこんな荷物を持って遠出するのだから理由くらいすぐ想像つくでしょう?それともまだ時差ボケで頭が働かないのかしら?」
「⋯⋯⋯⋯」
久々の毒舌に安心してしまった自分が悔しいのは置いといて、確かに眠気はある。まあ、唐突な再会でだいぶ吹き飛んだが。
「せんぱ〜い、私もイタリア行きたかったです〜」
「そんなん高校の元先輩にねだる奴初めて見たんだが⋯⋯」
「元先輩なんて言わないでくださいよ〜。これからは人生の先輩です♪」
「ああ、そっか。わかった」
「うわ、うっすい反応」
「つーか、ここじゃなんだし場所変えないか?荷物置いたあとで喫茶店とかなら案内するけど。つーか、どこに泊まるんだ?」
「十千万ってとこだよ!ここからすぐ!」
「⋯⋯は?」
「どしたの?」
「いや、別に⋯⋯」
まさかこのタイミングで高海のとこに泊まりに行くとは⋯⋯どんな偶然だよ。
俺は内心の動揺を悟られないよう、4人を連れて近くの喫茶店へと向かった。
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喫茶店でコーヒーを飲みながら、俺は主に由比ヶ浜に請われるままに、この一年の出来事をざっと話した。
その間雪ノ下はこちらから目を逸らさない。こちらがつい目を逸らしてしまうくらいに真面目に聞いていた。まあ、俺のみに焦点を当てればほとんど受験勉強なので、そんな語ることもないのだが。
きりのいいところまで話し終え、コーヒーで喉を潤すと、由比ヶ浜は「あの⋯⋯」と口を開いた。
「ヒッキーてさ、今付き合ってる子いるでしょ?」