捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
「⋯⋯ああ、まあ」
あえて言わなかった部分を突っ込まれ、つい面食らって頷いてしまった。
この質問は他の三人も予想外だったのか、目を見開いて由比ヶ浜の方を見ていた。
彼女はその視線に気づき、頬をかきながら笑った。
「あはは、なんか気になっちゃってつい⋯⋯何回か話に出てきたその子と付き合ってるのかなって」
「あぁ、前来た時もかなり仲よさげでしたもんねぇ」
「⋯⋯⋯⋯」
雪ノ下はまだ意外そうにこちらを見ている。まあ、わかる。何なら改めて振り返ってみても本当に意外というか、過去の自分に言ってみたところで信じないだろう。
「比企谷がまさか沼津で大人の階段を上っていたとはな⋯⋯ああ、結婚したい」
「あの、変な意味にも聞こうちゃうんでやめてくれませんかね」
新しい学校でもその台詞を口にしているのだろうかと思うと、何だか居たたまれない気持ちになってくる。もう誰かもらってやってくれよぉ⋯⋯まさか沼津で言う事になるとは思わなかったな。
「でも、それでイタリアにまでついて行っちゃうなんてすごいねえ」
「いや、それは成り行きっつーか⋯⋯」
「あぁ、会ってみたいなぁ。ヒッキーの彼女」
「⋯⋯まあ、それはまたの機会に」
「せ、せんぱーい、またの機会にしなくても大丈夫そうですよ⋯⋯ほら、すぐそこに」
「は?」
一色の指さす方向に目をやると、窓ガラスの向こうから花丸がじ〜っとこちらを見ている。その背後には苦笑いをしているAqoursのメンバーがいた。
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「は、はじめまして!国木田花丸と言います。よろしくお願いします、ずら⋯⋯です」
「ずら?」
「あ、いえ、今のは⋯⋯っ」
「ううん、気にしないでいいよ。わぁ、かわいいね!ていうか、まさかヒッキーがAqoursのメンバーと付き合ってたなんて⋯⋯」
由比ヶ浜はどうやらスクールアイドルを知っているらしく、たまたま動画サイトでAqoursの決勝のパフォーマンスを生中継で見ていたらしい。
「東京ドームでライブ⋯⋯すごい盛り上がりようね」
「人気アーティストばりだな」
「Aqoursの歌って踊ってる動画観てみたんですけど⋯⋯すごいですね。会場の空気が一つになってるっていうか」
「ありがとうございます!」
近くのテーブルに座っている高海が元気にお礼を言う。
その勢いに千葉組は驚いたが、すぐに笑顔を見せた。
「あはは、本当に皆かわいいなぁ。なんかライブ観てたからかテレビで観る人に会った気分⋯⋯」
「そんな、大げさだよ〜。そういえば比企谷くんはそっちにいる時はどうだったの?」
「マ、マルも知りたいずら!」
松浦の質問に花丸も便乗する。だが⋯⋯
「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」
四人は顔を見合わせた。おい、露骨に言いづらそうにするな。いや、これ俺のせいでしたね。うん、なんかごめん。