捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
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確かに国木田花丸そのものだ。あどけない寝顔は、年より幼く感じる。小さく開かれた口からは、規則正しい呼吸音が聞こえ、俺の鼻先をくすぐってくる。
「すぅ……すぅ……もう……食べられないずら……」
「…………」
そんな寝言を言う奴は初めて見たぞ。いや、それより…………はあぁぁぁ!?
眠気が一気に消し飛び、目の前にある顔から離れようとする……だがしかし……
「ん~♪」
思いっきり体にしがみつかれた。
「お、おい!……!」
俺の胸の辺りに、むにゅむにゅっと柔らかいものが当たっている。しかし、このボリュームは……まじか。おそらくは由比ヶ浜と同じくらい……とか言ってる場合か!
バストトゥバストを数秒間堪能(わざとではない)して、何とか逃れた。
「ふぅ……」
一息ついたところでドアが勢いよく開く。
「お兄ちゃん、せっかく花丸ちゃんに起こしてもらってるのに、まだ起きないの?」
「し、失礼します……」
二人は俺と国木田を見て、その表情を凍りつかせる。
「「「…………」」」
その時間が止まったような瞬間を真っ先に破ったのは小町だ。
「お、お、お兄ちゃんが、花丸ちゃんを無理矢理……」
「いや、起きたら国木田が布団の中に……」
「お兄ちゃん、言い訳しない!」
「小町ちゃん、落ち着いて。ほら、まんま肉まん上げるから」
「ありがと、にいに!……じゃないよ!そんなんでごまかされないからね、お兄ちゃん!」
「は、花丸ちゃんが……大人に……ぴぎぃ……」
黒澤妹は目に涙を浮かべ、へなへなとへたり込む。
「おい、落ち着け」
内心、テンパり気味である。このままじゃ捕まっちゃうよ!
どう説明したものかと思っていると、隣で何か動く気配があった。
「ん~よく寝たずら~♪」
この場の空気をじんわりと弛緩させていくような呑気な声と共に、国木田が目を覚まし、伸びをしていた。その際に胸が強調され、ちょっとアレな事になっているので、慌てて目を逸らす。
「あれ?皆、どうしたずら?」
「「「…………」」」
国木田は、俺を起こそうとしていたら、布団の誘惑に勝てなかったらしい。本人がそう言うなら、そういう事なんだろう。ただ、俺のようなエリートボッチじゃなかったら、勘違いしちゃうので自重して欲しいところだ。
「もう、花丸ちゃん。驚かさないでよ。お兄ちゃんが犯罪者になったかと思ったじゃん。ま、小町は信じてたけどね♪」
「いや、お前全く信用してなかったじゃん」
俺の言葉に、小町はてへっ♪とウインクした。ったく、可愛くねえ天使だな。
「比企谷先輩、ごめんずら」
国木田は申し訳なさそうに謝ってくる。
「もう大丈夫だ……」
別に損はしていないし?胸おおきかったし?柔らかかったし?まあ、いいだろう。それより……
「花丸ちゃんが……大人に……」
まずは黒澤妹を正気に戻さなければならない。
どうやら朝から忙しい日になりそうだ。
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