捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
新生Aqoursライブ当日。
ライブ会場となる分校のグラウンドには、既に多くの観客が詰めかけていた。ライブの配信が効いたのだろう。
周囲に視線を巡らせ、その中に千葉組の四人を見つけると、向こうも同時に気づいた。
「やっはろー!すごい人気だねー。さすがにびっくりしちゃった」
「年齢層も思いの外幅広いわね」
「ていうか先輩、一昨日ライブあったんなら教えてくださいよ〜」
「まあ、そう言うな。あれは特別なものだったらしいからな」
「あー、まあ、何つーか⋯⋯おはよう」
「挨拶一言だけでまとめた!」
「まあ、沼津に行っても比企谷君は比企谷君と言うことかしら」
「そりゃあな。場所変えただけで人間がそんな変わってたまるかよ」
俺の言葉に四人は笑みを見せた。どういう意味を含んでいるのかはわからない。もしかしたらお前の腐った眼は変わったほうがいいよ
「あっ、いたいた!おはよー」
振り向くとAqoursの三年生組がいた。三人とも大きなキャリーケースを引いている。
「⋯⋯今日、行くのか」
「うん、三人で決めたんだ」
「もちろん、ライブは見届けていきますわ」
「これは終わり、じゃなく始まりデス。また帰ってくるからね」
その言葉に頷くと、開幕を告げる放送が流れた。
ステージにAqoursの六人が現れると、歓声と拍手が彼女らを包み込む。隣りにいる由比ヶ浜もやたらでかい拍手で盛り上げている。
その期待に満ちた観客達に笑顔で応えると、彼女達はスタンバイした。
まるでそれが合図のように観客達は静まり返る。この関係性はさすが地元といったところだろうか。
静寂が十秒くらい続いたところで、待ちに待ったイントロが流れ始める。
穏やかで力強いメロディーに合わせ、メンバーが感情たっぷりに踊ると、ぐっと惹き込まれていくのを感じた。
歌が始まると、その歌詞から彼女達と⋯⋯すぐ傍にいる彼女達の関係性を歌ったものだと想像がつく。
ふいに彼女らとの一年間を思い出した。
去年は違った濃さで、違った色に輝いている。
輝いてるなんて言ってしまうあたり、俺もこちらへ来て少し変わったのかも知れない。
まあいいだろう。住む場所が変わっただけで人が簡単に変わることがないのと同じくらい、時間と出会いが人を変えるのは当たり前なのだから。
近くにいる三人に目をやると、満足そうな笑みを見せている。
改めて大事な事に気づけたのは六人だけではないかもしれない。
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ライブが大好評で幕を下ろし、分校の校門近くで佇んでいると、花丸がやってきた。
「八幡さん!お待たせずら!」
「⋯⋯おう、おつかれ」
花丸はこちらに笑みを向けると、きょろきょろと周囲を確認する。
「皆は⋯⋯行っちゃったずらか?」
「⋯⋯ああ、『またね』って言ってたぞ」
「そうずらか⋯⋯八幡さん」
「?」
「おら達⋯⋯マルと八幡さんは、離れてもすぐに会えますよね?」
「⋯⋯会える。何なら会いに行く。大した距離じゃないし、仮に距離があっても」
花丸は赤く染まった頬を確かめるように手で触れると、ぱあっと笑顔を見せた。
すぐ近くまで来ていた高海達に気づくまで、俺はその笑顔を見つめ続けていた。