捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

126 / 126
青春の影 #108

 

 一年生組は話し合いのために先に帰ったため、同い年の三年生組と並んで屋敷へと続く道を歩いている。

 

「比企谷くんもすっかり沼津に馴染んだね〜」

「それをイタリアで言われるとは思わなかったわ」

「あなたも引っ越しの準備が忙しかったんじゃありませんの?」

「まあ、思ったよりもスムーズに事が運んだから大丈夫だ」

「花丸と離れ離れになるから寂しいんじゃない?」

「⋯⋯そりゃあな。でもまあ、近いから会おうと思えばいつでも会えるから問題ない」

「何なら花丸が泊まりに行っちゃうかもデース♪」

「泊まりに!?そ、そ、そんなのハレンチですわ!!学生の間は清い交際を心がけてくださいまし!」

「落ち着け。お前の脳内がハレンチになってるから」

「ダイヤはそういうとこあるからね」

「ダイヤったらお・ま・せ・さ・ん♪」

「お黙らっしゃい!!」

 

 黒澤のでかい声がイタリアの夜の街に高らかに響いた。

 

 ********

 

 屋敷に戻り、自分に割り当てられた部屋に入ろうとすると、花丸がとてとてと駆け寄ってきた。

 

「八幡さん、おかえりなさいずら!」

「ただいま。話し合いは終わったのか?」

「今休憩中ずら。候補になる場所が多くて頭の中が混乱してきたから、一旦頭の中を整理するずら」

「そっか⋯⋯何か手伝えることはあるか?」

「ありがとうずら。でも、今回は自分達だけでやってみたいずら」

 

 花丸は力強い笑みを見せた。その目には確かな決意の色が滲んでいる。

 俺は首肯して、彼女の頭を撫でライブ関連以外の提案をしてみり。

 

「じゃあ、飲み物の差し入れくらいはしていいか?」

 

 その申し出に花丸は顔を綻ばせた。

 

 ********

 

 2日後、俺と渡辺月はスペイン広場にて、カメラを構えてスタンバイしている。

 独特な造りの階段は、普段は観光客でごった返してるらしいが、今は人が入れないよう規制線が張られ、不自然な空白ができていた。

 だが、周囲では何が起こるのかと待ちわびるように視線を注ぐ観客がいる。

 張り詰めた緊張感の中、ポケットで携帯が震え、準備完了のメッセージが表示される。

 俺は渡辺月に視線を送り、音源のスイッチを入れた。

 すると、軽やかなイントロが鳴り響き、メンバーがあちこちから現れる。

 そこに歌声が重なると、自然と歓声が上がった。

 近くにいた観光客の何人かはスマホで撮影までしている。

 まさかまたこの9人のパフォーマンスが見れると思ってなかった俺は、撮影を忘れないよう、細心の注意を払いながら、彼女らの姿を脳裏に焼き付けた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【書籍化】 ま! よ! け! の! 塩! (120年分)(作者:哀森賢人/哀しみを背負ったゴリラ)(オリジナル:現代/ホラー)

【書籍化決定!】2026年08月24日 GCノベルズ(GCN文庫)様より発売中!▼  自分の部屋の天井の四隅を同時に見てみよう。▼  大丈夫。何も起きないから。絶対なにも起きないから、大丈夫だから。ね?ね?▼夜の山をじっと見続けると、何か光るモノが見えるよ。▼それが動いていたら、スマホで動画を撮ってみよう。▼きっとバズるよ。ほら撮って。▼    寝る前に布団…


総合評価:27773/評価:9.09/連載:51話/更新日時:2026年09月26日(土) 20:21 小説情報

助けた女の子に「責任を取りなさい」と迫られてる件(作者:萩月輝夜)(原作:魔法科高校の劣等生)

崑侖方院によって全てを失い世界へ憎悪と破滅を望む少女の四葉真夜。それを現実世界での原作小説をみて一目惚れした男がとある事からスパダリの少年に転生し悲劇の前に救い出され脳を焼かれたらどうなるか。▼※この作品は一部劇場版魔法科高校の劣等生【四葉継承編】のネタバレを含みます。▼ご了承ください。▼劇場公開で真夜様の狂喜を見て救わなければ…となったので救済をします。▼…


総合評価:8954/評価:7.95/連載:21話/更新日時:2026年09月23日(水) 10:26 小説情報

​『逆襲のシャア』の総帥に憑依した元商社マン、アクシズを落とさず地球圏を支配する 〜静かに暮らしたいだけなのに、アナハイムと狂信者に神輿を担がれて逃げられない件〜(作者:なやむ)(原作:ガンダム)

「お願いだから、もうこれ以上俺(キャスバル)を神輿として担がないでくれ……!」▼目が覚めると、そこは宇宙世紀0090年代▼よりにもよって、グリプス戦役末期、ハマーン・カーンと一騎討ちに臨み、その後消息不明になっていた世紀のカリスマ、シャア・アズナブルーキャスバル・レム・ダイクンに憑依していた▼本物のシャアはすでに成仏してどこにもいない。残されたのは、ただ「早…


総合評価:13461/評価:8.79/完結:9話/更新日時:2026年07月28日(火) 18:00 小説情報

どうやら凌辱系エロゲの世界に転生したようですが、俺は今日も平和に生きたい。~なのでBADエンド回避のために殺します。理由はもちろんお分かりですね?~(作者:岳鳥翁)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

「えぇ……ここ、凌辱系エロゲの世界かよぉ……」▼嘘だどんどこどーん、の邂逅まであとゼロ秒である。


総合評価:12597/評価:8.43/連載:16話/更新日時:2026年09月20日(日) 18:05 小説情報

分身スキルの最強戦術って自爆特攻じゃね?(作者:sasarax)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

異世界に転生したにもかかわらず、奴隷として酷使される日々。▼剣も魔法も学べず、唯一の武器は自分の分身を生み出すスキルだけだった。▼なんとかその分身スキルを使って成り上がろうと試行錯誤する中、主人公は気付く。▼分身の自分であれば死んでも別に問題ないじゃないか、と。▼足らない力の代わりに命をかける。▼守るべき誰かを自分の命を投げ捨てて守る。▼大丈夫。だって、分身…


総合評価:19159/評価:8.95/連載:96話/更新日時:2026年09月27日(日) 17:02 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>