捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
一年生組は話し合いのために先に帰ったため、同い年の三年生組と並んで屋敷へと続く道を歩いている。
「比企谷くんもすっかり沼津に馴染んだね〜」
「それをイタリアで言われるとは思わなかったわ」
「あなたも引っ越しの準備が忙しかったんじゃありませんの?」
「まあ、思ったよりもスムーズに事が運んだから大丈夫だ」
「花丸と離れ離れになるから寂しいんじゃない?」
「⋯⋯そりゃあな。でもまあ、近いから会おうと思えばいつでも会えるから問題ない」
「何なら花丸が泊まりに行っちゃうかもデース♪」
「泊まりに!?そ、そ、そんなのハレンチですわ!!学生の間は清い交際を心がけてくださいまし!」
「落ち着け。お前の脳内がハレンチになってるから」
「ダイヤはそういうとこあるからね」
「ダイヤったらお・ま・せ・さ・ん♪」
「お黙らっしゃい!!」
黒澤のでかい声がイタリアの夜の街に高らかに響いた。
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屋敷に戻り、自分に割り当てられた部屋に入ろうとすると、花丸がとてとてと駆け寄ってきた。
「八幡さん、おかえりなさいずら!」
「ただいま。話し合いは終わったのか?」
「今休憩中ずら。候補になる場所が多くて頭の中が混乱してきたから、一旦頭の中を整理するずら」
「そっか⋯⋯何か手伝えることはあるか?」
「ありがとうずら。でも、今回は自分達だけでやってみたいずら」
花丸は力強い笑みを見せた。その目には確かな決意の色が滲んでいる。
俺は首肯して、彼女の頭を撫でライブ関連以外の提案をしてみり。
「じゃあ、飲み物の差し入れくらいはしていいか?」
その申し出に花丸は顔を綻ばせた。
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2日後、俺と渡辺月はスペイン広場にて、カメラを構えてスタンバイしている。
独特な造りの階段は、普段は観光客でごった返してるらしいが、今は人が入れないよう規制線が張られ、不自然な空白ができていた。
だが、周囲では何が起こるのかと待ちわびるように視線を注ぐ観客がいる。
張り詰めた緊張感の中、ポケットで携帯が震え、準備完了のメッセージが表示される。
俺は渡辺月に視線を送り、音源のスイッチを入れた。
すると、軽やかなイントロが鳴り響き、メンバーがあちこちから現れる。
そこに歌声が重なると、自然と歓声が上がった。
近くにいた観光客の何人かはスマホで撮影までしている。
まさかまたこの9人のパフォーマンスが見れると思ってなかった俺は、撮影を忘れないよう、細心の注意を払いながら、彼女らの姿を脳裏に焼き付けた。