捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
Saint Snowのライブの余韻も冷めやまぬ中、今度はAqoursのライブが始まる。
きらびやかな衣装に身を包んだ彼女達は、ラブライブ優勝者としての貫禄を持ちながら、それだけに頼らない唯一無二のパフォーマンスを見せていた。
メロディーに乗って耳に入ってくる歌詞は、まるで陽がさすようなイメージを聴くものに思い起こさせる。
スポットライトがまるで始まりを告げる朝陽に見えてきた。
きっとこれは九人のAqoursの終わりなんかじゃない。
少しだけデザインの違う衣装を着た三人の旅立ちという名の始まり。そして六人の新生Aqoursの始まりを告げる歌だと勝手な解釈をしてしまうくらいに、この楽曲とパフォーマンスは前向きなエネルギーに満ちている。
このライブを間近で見られる幸運を噛み締め、俺は最高のライブをカメラに収めた。
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「すごい⋯⋯このライブを生で観れたのがボク達だけだなんて勿体ないくらいだよ!」
曲が終わり、録画を終えると、渡辺月が興奮した口調でまくし立てた。その意見には完全に同意なので、俺はなるべく大きくはっきりと頷いた。
「二人ともお疲れ様〜」
「ご協力感謝いたしますわ」
「グッジョブデース♪」
三年生組がこちらにやってきた。
その表情は本当に晴れやかで、心の底からやりきった表情をしている。
まあ、こんだけの清々しい表情できるなら、もうスクールアイドルとしてやり残したことはないのだろう。
少し離れた場所にいる残りのメンバーは、その背中を切なそうに、そして眩しそうに見守っていた。
きっと彼女達もいつか迎えるその瞬間を、今だけ、ほんのちょっとだけ想像したのかもしれない。
でも、明日にはまた振り返らずに進むのだろう。
彼女らの大好きな三人のように最後まで悔い一つ残さずにやりきるために。
ふと花丸に目をやると、視線がぶつかる。
彼女は笑顔で頷いた。
その目の端に微かに輝いた温もりは、これまで見た何よりも輝いて見えた。
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「八幡さん、お待たせずら!」
「いや、こっちも今帰る準備できたところだから。つーか、他のメンバーは?」
「えっと⋯⋯ゆっくり八幡さんに労ってもらいなさいって」
「⋯⋯なるべく頑張る」
「あ、あのっ、今日のマルはどうでしたか?」
「あー、最高だった。次のライブも楽しみになってくるくらいには」
「よかったずらぁ。急遽決まったライブだから色々心配で⋯⋯」
「そっか。本当にお世辞とか抜きでよかったんだが」
「ふふっ、じゃあ八幡さん。一つお願いしていいですか?」
「?」
「⋯⋯頭を撫でてほしいずら」
「⋯⋯わかった」
右手だけで労えるのならいくらでもやってやる。
俺はしばらく彼女の柔らかな髪の感触を確かめながら、その小さな頭を撫でた。