捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
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それでは今回もよろしくお願いします。
「スクールアイドル?」
「ずら。ルビィちゃんと一緒にスクールアイドルのライブを観に行くから、それで先輩も……」
「黒澤妹も……」
「ピギィッ!」
俺が茂みの方に目をやると、さっきまで少し顔を出していた黒澤妹は、あっという間に引っ込んでしまった。まだ慣れてない奴に対してはこうなるらしい。他人事ながら心配だ。
ちなみにスクールアイドルとはテレビまあ普通にアイドル部だ。ラブライブという甲子園みたいなものを目指す部活で、5年くらい前に人気が沸騰した。きっかけは確か、μ’sとA-RISEだったか。
「高海千歌さんっていう先輩方が、最近作った部活……といっても、まだ承認はされていないみたいですけど」
「高海?」
「知ってるずらか?」
「ああ、知ってるっつーか、ダイビングショップで1回会ったことがあるだけだ」
「そうずらか。じゃあ、お知り合い同士ということで、先輩も一緒に行くずら!ね、ルビィちゃん?」
「う、うん!」
「悪い。その日は用事が……」
「じゃあ、大丈夫ずらね」
「……ちょっと待て。なんか色々おかしい」
納得している国木田に抗議の声を上げると、彼女と黒澤妹は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「小町ちゃんが言ってたずら」
「せ、先輩が……」
「用事があるって即答する時は、用事なんてない時だって」
「ぐっ……」
小町ちゃん。お兄ちゃんの癖を人に話すのは止めようね。
「嫌……でしたか?」
「うゆ……」
いかにスクールアイドルに興味がなかろうと、この二人のこんな切ない視線(片方は茂みの影から)を浴びたら、大抵の日本男子は頼みを聞いてしまいそうな気がする。
まあ、『大抵の』だがな……俺はそこから余裕ではみ出すことのできるボッチ力を持っている。
「悪い。俺はあまり……」
「ずら……」
「うゆ……」
「はぁ…………わかった。行くっての」
「くっ……ずら丸以外にもう一人!私のサタン……私と赤い糸で結ばれた彼にまとわりついてるなんて……」
ライブ当日。
生憎の雨で客足が遠のく心配はあるが、体育館での開催なので、ライブそのものに影響はない。
国木田と黒澤妹は先に到着していた。
「あ、比企谷先輩!おはようございます」
「……お、お、おはようございます」
「おう……」
俺は黒澤妹が国木田の背後に隠れるだけなのに感動しながら、体育館へと向かったところで……
「あ、あのあの!」
いきなり背後から声をかけられ、振り向くとそこには、サングラスにマスク着用のあからさまに怪しい奴がいた。
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