捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
ラブライブ!サンシャイン!!もそろそろ最終回……いや、さらなる展開に期待します!!
それでは今回もよろしくお願いします。
「「「………」」」
「あの……わ、私……」
とりあえず国木田と黒澤妹を背に庇い、相手の様子を窺う。
てゆーか、何この人!滅茶苦茶恐いんですけど!!
女子っぽいが、ハアハア息を荒げて、ガクガク体を震わせ、変な構えをとっている。さて、どうしたものか。
「ずらぁ……」
「ピギィ……」
国木田と黒澤妹の震えを感じ取り、なんとか目の前の怪しい奴を睨みつける。あと黒澤妹よ、背中に爪が食い込んですごく痛いんですけど……。
「はうっ……!」
何故か怪しい奴は変な叫び声を上げ、片膝をついた。
何かの発作だろうか。
「お、おい……」
「だめっ、来ないで!」
「ああ……」
どうやら大丈夫そうだ。色々と疑問は増えていく一方だが。もう無視して通り過ぎてもいいんじゃなかろうか。
「……や、やっぱり、素敵な目……」
「どうした?」
「見ないで!この身を焦がしてしまうから!」
「悪い……」
謝ってしまったが、俺が謝る理由などないはず。
やるせない気持ちになっていると、俺の背後から顔を出した国木田が、不審人物に声をかけた。
「もしかして、その声……」
「げっ、ずら丸!い、いつもいつも、何でこの人と!」
不審人物は国木田を指差し、何やら抗議をしたが……ずら丸?
「ずらっ!?」
「はっ、離脱!!」
こちらが誰一人動けないでいると、不審人物は素早くこちらに背を向け、雨の中を駆け抜けて行った。
「国木田……知り合いか?」
「いえ、気のせいずら」
「ならいいが……」
絶対に何かを隠しているが、国木田はにぱっと笑顔でごまかした。
「それより早くいきましょう、先輩♪」
「始まっちゃいますよ」
「……そうだな」
いまいち釈然としない気持ちのまま、俺達は先を急いだ。
薄暗い体育館内へと足を踏み入れると、我が妹が駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん!花丸ちゃんにルビィちゃんも!」
「……おう」
小町は一足早く体育館へ向かい、準備に参加していたらしい……妹とのコミュ力の差に泣いちゃう!だってお兄ちゃんなんだもん……まあ、それはさておき……
「結構、人いるんだな」
見たところ、客は俺達を含めて10人から20人くらい。無名のスクールアイドルのライブにしては上出来ではなかろうか。
しかし、小町のリアクションは少し暗めだった。
「あはは……そうなんだけどね。実は……」
「「体育館……」」
「満員……」
結成して間もないAqoursの初ライブに課せられたノルマは、この体育館を満員にする事。
しかし、さすがに無謀すぎる。
そもそも体育館は全校生徒が入っても余裕ができるものだ。それを満員とか……。さらに、浦の星は生徒数も減少している。
悪い条件を挙げればきりが無い。
「つーか、なんでそんなノルマを……」
「それは、できると思っているからデース!!」
突然背後から聞こえたよく通る声。
振り向くと、日本人離れした美しい金髪の女子生徒がそこにいた。
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