捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
それでは今回もよろしくお願いします!
「やっほ~!果南ちゃん!」
「ヨーソロー!」
松浦の知り合いと思われる二人がボートを降り、こちらへ駆け寄ってくる。蜜柑色がかった短めの髪の少女は手をぶんぶん振り、薄目の茶色が印象的なショートボブの少女は敬礼しながら、という賑やかな挨拶スタイルだ。
「今日も二人して元気だね」
「もっちろん!新学期始まったらやりたい事始めるからね!景気づけに潜りに来たよ!」
「そちらの二人は、お客さん?」
ヨーソロー(仮)の視線がこちらに向く。
「うん。この前引っ越してきたんだって。こっちの子は千歌達の後輩になるよ」
「え、そうなの!?」
「初めまして比企谷小町です!こっちが兄の…………」
「比企谷八幡だ」
「私は高海千歌です!浦の星女学院の2年生!」
元気いいなー。でも少し声のボリュームを落としていただけると助かります。
「ヨーソロー!初めまして。渡辺曜です!」
つられて敬礼をしそうになった。軽く手を上げて応え、それをごまかす。片や小町はビシッと敬礼を返している。適応力高すぎである。
「ヨーソロー!私の事は小町って呼んでください、先輩♪」
「よろしくね、小町ちゃん!お兄さんも!」
「お、おう…………」
唐突な距離の詰め方に一歩引いてしまう。こちらが男だという事はあまり意識していないようだ。男の勘違い製造機である。
「お兄さんはどこの高校に通うんですか?」
渡辺が隣にすとんと腰かけてくる。こちらは普通の距離感で助かる。
「沼津の共学だ」
「へえ、結構大きな高校ですよね。あ、二人はどちらから引っ越してきたんですか?」
「「千葉!」」
「「…………」」
あ、やべ。千葉愛が爆発してドン引きさせてしまった。高海と渡辺は顔を見合わせている。
「千葉って…………どこだっけ?」
「東京の下だよ、千歌ちゃん」
「くっ。これが千葉のイメージなのか…………!」
「お兄ちゃん、ファイトだよ!お兄ちゃんが千葉の良さを広めていけばいいんだよ!」
「ああ、そうだな…………」
「よ、曜ちゃん。私、何かいけない事言っちゃったかな?」
「多分…………」
「あはは…………」
意外と東京の下という表現も傷つくのだがあえて口には出すまい。さて、MAXコーヒーはどこかな?そこの自販機には…………ない。
「ねえ、皆で一緒に潜らない!?」
「お近づきの印にって事で!」
「いいね、やろう!」
「ほら、お兄ちゃん!」
「あ、ああ…………」
幾つもの歯車がギシギシと音を立て、静かに回り出す。どの歯車がどの歯車と噛み合うのか、それは誰にもわからない。
「ここで…………海の音が聞けるのかな?」
「フフッ、ようやく戻って来れたワ。待っててね果南、ダイヤ!」
こうして物語の続きが紡がれていく。
次回から個別に入ります。最初は果たして…………。
読んでくれた方々、ありがとうございます!