捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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青春の影 #72

 三日後の早朝。

 俺と小町はパソコンの前に陣取って、画面を食い入るように見つめていた。

 

「……増えないね」

「そりゃあそうだろうな。時間が時間だし……」

「お兄ちゃん、ドライなセリフと表情が合ってないよ」

「…………」

 

 正直まだ信じている。

 あれだけのパフォーマンスを見せたのだ。もっと興味を持たれてもいいはずだ。

 時計に目をやると、タイムリミットまであと3分を切っていた。

 

「う~、あと少しなのに~」

「…………」

 

 じたばたする小町の隣で祈るも、無情にも時間は過ぎて、やがてタイムリミットを迎えた。

 

「……ダメ、だったね」

「……ああ」

「……私、部屋戻るね」

「……ああ」

 

 小町がぱたぱたと自分の部屋に駆け足で戻ると、あとはただただ静かになった。

 真っ先に浮かんできたのは、彼女の……彼女達の後ろ姿だった。

 

 *******

 

 それからその日は勉強をしていたはずだが、正直あまり覚えていない。ただ机に向かい、ぼんやりとしていただけに思える。

 俺はもう一度時計を確認し、すぐに出かける準備を始めた。

 そして、玄関で靴を履いていると、小町から声をかけられた。

 

「あれ、お兄ちゃん出かけるの?……あ、そうか。うん、気をつけてね」

「おう」

 

 さっきより元気が出たみたいで何より。

 あえて顔を確認するような真似はせず、俺は自転車を走らせた。

 

 *******

 

 花丸は、まだ帰路の途中だったようだ。

 ぼんやり浜辺に座り、一人で海を見つめる姿は、まるで絵画のようだが、彼氏としては心配にもなる。

 

「……隣、いいか?」

「えっ?あ、は、八幡さん……」

「てかもうだいぶ暗いからな。悪いが拒否権はなしで」

 

 有無を言わさない感じで隣に座ると、花丸はこちらにぴったりと寄り添ってきた。

 優しい体温が少し肌寒くなってきた秋の夕暮れに心地よく、このままこうしていたくなる。

 だが、本来の目的を思い出し、俺はなるべく言葉を選びながら口を開いた。

 

「……残念、だったな」

「……はい」

「あー……いや、悪い。さすがにこういう時何言えばいいかわからん。何か俺にして欲しいことあるか?」

「もう少し、ここで一緒にいてください、ずら」

 

 意外と即答だったことに驚き、目を向けると、彼女は目に涙を溜めていた。

 それを気に留めることなく、彼女は口を開いた。

 

「そうすれば……また、前を向けるから……」

「……わかった。付き合う」

 

 それから、しばらく彼女は泣いた。

 波音にまぎれ、かき消されてしまうくらいに小さく泣いた。

 俺はその声を黙って聞きながら、いつの間にか現れていた一番星を見ていた。

 

 

 

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