捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
三日後の早朝。
俺と小町はパソコンの前に陣取って、画面を食い入るように見つめていた。
「……増えないね」
「そりゃあそうだろうな。時間が時間だし……」
「お兄ちゃん、ドライなセリフと表情が合ってないよ」
「…………」
正直まだ信じている。
あれだけのパフォーマンスを見せたのだ。もっと興味を持たれてもいいはずだ。
時計に目をやると、タイムリミットまであと3分を切っていた。
「う~、あと少しなのに~」
「…………」
じたばたする小町の隣で祈るも、無情にも時間は過ぎて、やがてタイムリミットを迎えた。
「……ダメ、だったね」
「……ああ」
「……私、部屋戻るね」
「……ああ」
小町がぱたぱたと自分の部屋に駆け足で戻ると、あとはただただ静かになった。
真っ先に浮かんできたのは、彼女の……彼女達の後ろ姿だった。
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それからその日は勉強をしていたはずだが、正直あまり覚えていない。ただ机に向かい、ぼんやりとしていただけに思える。
俺はもう一度時計を確認し、すぐに出かける準備を始めた。
そして、玄関で靴を履いていると、小町から声をかけられた。
「あれ、お兄ちゃん出かけるの?……あ、そうか。うん、気をつけてね」
「おう」
さっきより元気が出たみたいで何より。
あえて顔を確認するような真似はせず、俺は自転車を走らせた。
*******
花丸は、まだ帰路の途中だったようだ。
ぼんやり浜辺に座り、一人で海を見つめる姿は、まるで絵画のようだが、彼氏としては心配にもなる。
「……隣、いいか?」
「えっ?あ、は、八幡さん……」
「てかもうだいぶ暗いからな。悪いが拒否権はなしで」
有無を言わさない感じで隣に座ると、花丸はこちらにぴったりと寄り添ってきた。
優しい体温が少し肌寒くなってきた秋の夕暮れに心地よく、このままこうしていたくなる。
だが、本来の目的を思い出し、俺はなるべく言葉を選びながら口を開いた。
「……残念、だったな」
「……はい」
「あー……いや、悪い。さすがにこういう時何言えばいいかわからん。何か俺にして欲しいことあるか?」
「もう少し、ここで一緒にいてください、ずら」
意外と即答だったことに驚き、目を向けると、彼女は目に涙を溜めていた。
それを気に留めることなく、彼女は口を開いた。
「そうすれば……また、前を向けるから……」
「……わかった。付き合う」
それから、しばらく彼女は泣いた。
波音にまぎれ、かき消されてしまうくらいに小さく泣いた。
俺はその声を黙って聞きながら、いつの間にか現れていた一番星を見ていた。