捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
「じゃあ、マルはそろそろ行くずら」
「ああ、応援してる」
花丸は去り際、俺の手を握り、ぎゅっと力を込めた。
「これでマルは大丈夫ずら。行ってきます」
「⋯⋯いってらっしゃい」
まるで自宅のような力を抜いた挨拶を交わし、花丸は関係者用の通路へと向かった。
この後は小町とホテルに戻り、時間になるまで勉強したり、少しぼーっとしながらコーヒーを飲んで過ごした。
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夜になり、再び会場に戻ると、明るい時間よりも人が増えている。気がするとか曖昧なものではなく、確かに増えていた。
制服姿の女子の姿が目立つが、もしかしたら今から始まるSaint Aqours Snowのライブが目当てなのかもしれない。
「ねえ、多分あの子達、Saint Snowと同じ学校の子達だよ。確かあんな制服だったもん」
「そっか。よく知ってたな」
「むしろ知らないお兄ちゃんにびっくりだよ」
「いや、女子の制服とかしらないから。ああ、さすがに浦の星女学院の制服はわかる」
「なんでそんなドヤ顔できるかわからないけど⋯⋯まあ、花丸ちゃんへの愛が溢れてるからいいや」
「⋯⋯⋯⋯」
小町の言葉は聞こえないふりをしておいた。
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やがてライブの時間になり、Saint Aqours Snowの出番がアナウンスされると、それだけで歓声が上がる。どうやら期待値はかなり高いらしい。
そして、場の空気が変わったのを察知したかのように一旦照明が落ちると、一際大きな歓声が上がる。
その熱気に導かれるように、スポットライトはステージ中央を照らした。
明かりに照らされその姿を見せたのは、今回の⋯⋯この曲の主役とも言うべき存在、黒澤ルビィと鹿角理亞だ。
二人が大切に歌を紡いでいくと、楽曲がギアを切り替えるようにテンションが上がる。
花丸や津島など一緒に楽曲を練り上げたメンバーに加え、AqoursのメンバーとSaint Snowの鹿角聖良もパフォーマンスを彩る。
まるで普段から一つのグループとして活動しているみたいに息ぴったりのパフォーマンスに皆が息を呑む気配を感じた。
この最高のライブを一瞬たりとも見逃したくない一心で、俺はひたすら視線をステージに固定した。
花丸は先程までのほんわかした空気はどこへやらといった感じだ。だいぶステージ慣れしたのもあるだろうが。活動初期から見守ってきたのもあり、ぐっとこみ上げてくるものがある。
ラストにメンバーの衣装が光り、煌びやかな星形になると、その感動が抑えきれないかのような拍手が鳴り響いた。