捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
函館から帰ってくると、冬は深まり、翌日には年越しを迎える小晦日になった。
花丸は今日はAqoursのメンバーと何やら夜遊びみたいなことをするらしい。何だろう、夜に駆けるのだろうか。
そんな事を考えていると携帯が震え始めた。こんな時間に電話をかけてくる奴は一人しかいない。番号も浦の星女学院だしな。
「もしもし」
「あ、八幡さんずらか?」
「おう、ていうか浦の星女学院からかかってきてるみたいなんだが、今学校に忍び込んでるのか?」
「ずらっ!?どうしてわかるずらか!?」
「ああ、こっちからはどこの番号からかかってきたかわかるからな」
「み、未来ずら〜!!」
「感動してもらえて何よりだ。それよか、大丈夫なのか?」
「はいっ、今日は合宿とかではなくただのお泊り会ずら!もうすぐここも廃校になっちゃうし、3年生は卒業しちゃうからこうして皆でお泊りできる貴重な機会ずら♪」
よほど楽しいのか花丸らしからぬ深夜テンションになっている。
こちらもそれが伝染してきたのか、つい口元が緩んでしまう。ああ、今顔見てえな。でも向こうがスマホ持ってねえからな。
ビデオ通話をしてみた時の花丸のリアクションをつい妄想していると、花丸がくすくす笑うのが聞こえてきた。
「どした?」
「ふふっ、なんだか不思議だなって思ったずら」
「?」
「だって去年の今頃は八幡さんは千葉にいて、オラは図書室でルビィちゃんとずっと本を読んでたずら。そろが今はこうして夜中に電話してるだなんて⋯⋯なんかくすぐったいずら」
「⋯⋯確かに。え、ていうか口にされるとこっちまで照れくさくなるからやめてくんない?今間違いなく顔赤くなってるんだけど」
「マルも赤くなってるからお揃いずらよ」
「そっか⋯⋯まあ、それならいい、のか?」
「いいずら。でも、来年から八幡さんが少し遠くに行っちゃうのは寂しいずら」
「それは⋯⋯まあ、電車ですぐの場所だからちょくちょく会いに行くわ。どちらにせよ大学の時点で家を出るように小町から言われてるからな」
「じゃあ仕方ないずらね。でもマルからも会いに行くずら。だから、その時は⋯⋯泊めてください、ずら」
「⋯⋯お、おう、その時はいつでもウエルカムだ。どんと来い」
「はわわ、べ、別にそういういやらしい意味じゃないずら!」
「落ち着け、まだ変な事は何も言ってないからね。まあ、そこまで言われたら合格しなきゃな」
「ずら。あ、お勉強の邪魔してごめんなさいずら」
「いや、気分転換になった。ありがとな」
「こちらこそありがとうずら。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
俺は彼女の声の名残を感じながら伸びをして、再び机に向かった。