捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
大晦日。
受験生の身なので今年はそこまで実感が湧かないが、今年は静岡で迎える初めての年末年始だからか、不思議な感覚だけはひしひしと感じていた。
……総武高校の連中は今頃千葉で年越しを迎えようとしているのだろうか。
千葉に思いを馳せていると、「お兄ちゃ〜ん!」と小町が呼ぶ声が聞こえてきた。
「花丸ちゃんが来てるよ〜!」
「おお、今行く」
時計を見ると、年越しの瞬間はだいぶ近くなっていた。
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「ふぅ、寒いずらぁ。でも北海道より暖かいずらぁ……でも、やっぱり寒いずらぁ」
「とにかく寒いってのはわかった」
やはり寒いのは苦手らしい花丸に、自分のマフラーを首に巻いてやり、そっとこっちに引き寄せる。
すると、花丸は俺の腕にがばっとしがみたいてきた。
「ハグ、ずら」
「それ、松浦がやってるやつじゃないか?」
「八幡さんにしていいのはマルだけずら」
「……まあ、そうだな」
不意打ちの殺し文句にもごもごと返事をすると、神社に続く長い階段と、初詣に集まった人達が見えてきた。
「……ああ、何度見てもここの階段長えな。どうする、帰る?」
「帰らないずら!ちゃんと初詣するずら!!」
どうやらこの寒さと行列に立ち向かうつもりらしい。まあ、俺もここまで来たんだし、花丸が行くと言うんだから、しっかりと願掛けしておこう。
「そういや、Aqoursのメンバーとは行かなくてよかったのか?」
「明るくなってから皆で集まるから大丈夫ずら」
「そっか」
花丸の胸の膨らみが遠慮なく押しつけられるのに意識を持っていかれないように、俺はひたすら彼女の言葉や唇の動きに注目した。
初詣に来ているのは比較的若い人が多い。まあ、この階段しんどいからな。深夜に上るのとかなかなか大変だろう。
「八幡さんは千葉にいる時は初詣はどうしてたずらか?」
「明るくなってから小町と行ってたくらいだな」
「あはは、やっぱり仲良しずら。そういえば小町ちゃんは初詣は行かないずらか?」
「あー、何つーか⋯⋯気ぃ遣ってくれたんだろ」
「ずらっ!?そ、それは責任重大ずら。全力で八幡さんを楽しませないと小町ちゃんに申し訳ないずら」
「いや、そんな気負わなくていいからね。何ならそろそろ『お兄ちゃんと二人で初詣なんて行きたくない』とか言い出してもおかしくない年頃だし。そもそも初詣行くだけだからね」
「は、八幡さん⋯⋯キス、していいずらよ?」
「おーい、花丸さーん?もしもーし」
ある、なんかこの子話聞いてませんね。可愛いけど。
「⋯⋯貴方達、公衆の面前で何をしてますの?」
「「っ!!!」」
突然背後から声をかけられ、振り向くと、そこには腕を組み、仁王立ちになった黒澤ダイヤと、他のAqoursのメンバーがいた。