捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
受験当日。
俺は花丸からもらったお守りをもう一度見て、試験前の確認に戻った。
Aqoursは昨日から東京にいる。今頃は会場入りしているのではないだろうか。ちなみに内浦からの応援団には無料でバスが出るらしい。
最後のライブを生で観れないのは残念だが、まあ後で配信のアーカイブを観れるから良しとしよう。
その後、小町から送られてきたメッセージを確認すると、試験開始の時刻を迎えた。
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「ふぅ⋯⋯」
「花丸ちゃん、大丈夫?」
ルビィちゃんが心配そうに顔を覗き込んでくる。何を言おうとしているかはその表情からわかった。
「大丈夫ずらよ。皆がいるから。ルビィちゃんは大丈夫ずらか?」
「うゆ。最後だから精一杯がんば⋯⋯ルビィ!」
「くっくっくっ、我がリトルデーモン達⋯⋯魔の地で堕天する準備はできてますか?」
「善子ちゃんこそ大丈夫ずらか?さっきからこの辺りウロウロしてるけど」
「う、うるさいわね!まだ時間があるから色々考えちゃうのよ!」
一年生組でわちゃわちゃやっていると、不安が自然とやわらいでいくのがわかる。心の片隅に顔を覗かせる寂しささえも。
私は心の中で『大丈夫』と自分の背中を押した。
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よし、ようやく全部終わった。
試験終了を告げるチャイムが鳴る。
それと同時に全身の空気が弛緩していくのはっきり感じだ。手応えはあったし、二度確認する余裕もあったので、ひとまず安心といったところだろうか。
この試験会場を出れば、今度は開放感に浸れそうだ。
時計を確認すると、まだAqoursのパフォーマンスまでは少し時間がある。
つっても、今から行って間に合う時間ではないし、何なら新幹線の時間も都合が悪い。
いや、人生においてタイミング悪かったことなんていくらでもあるし、もう飲み込んだ事だろ。
すると、窓の外からバリバリと音が聞こえてきた。
その音はやがて耳をつんざく騒音となり、廊下を歩く受験生達も何事かと窓の外に目をやっていた。
さらに、まるで競い合うようなボリュームでチャイムが鳴る。
『沼津高校の比企谷八幡君、至急第一グラウンドに向かってください』
「は?」
『沼津高校の比企谷八幡君、至急第一グラウンドへと向かってください』
間違いなく二度名前を呼ばれた。
俺は何とも言えない予感に突き動かされるように第一グラウンドへと向かった。
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「そう、じゃあ間に合いそうね。お願い」
「鞠莉ちゃん?どうかしたずらか?すっごくニヤニヤしてるずら⋯⋯」
「ふっふっふ、花丸。細かい事を気にしてはいけまセーン。とりあえずマリーにおまかせ♪」
「よ、よくわからないけどわかったずら⋯⋯」
「あれ、絶対ロクでもないこと考えてるよ」
「⋯⋯ですわね」