貴女が残してくれたもの 作:takamy@ganbaranai
ーーー西木野総合病院ーーー
千歌 「…」
曜 「千歌ちゃんどうしたの…?」
みんな 「…?」
千歌 「り、梨子ちゃんが…もうあと…半年しか…生きられないって…」
曜 「えっ…?」
ルビィ 「嘘…」
善子 「…ねぇ、なにかの間違いでしょ…?そう言ってよ、ねぇ!」
千歌 「…」フルフル
千歌 「さっき…病院の先生が…梨子ちゃんのお母さんに話してるのを聞いちゃって…」
鞠莉 「そんな…」
果南 「き、聞き間違いってことも…」
千歌 「……」フルフル
花丸 「ついこの前までマル達と一緒に歌ってたのに…」
ダイヤ 「…とにかく…今は私たちの出来ることをしましょう…予備予選まで時間はないのですよ…?」
千歌 「そう…だね…」
曜 「千歌ちゃん…」
ーーー次の日ーーー
ダイヤ 「1、2、3、4、1、2…千歌さん、少し遅れてますよ」
千歌 「あ、うん…!」
曜 (あの後…千歌ちゃん何事も無かったように練習してるけど…やっぱりどこか寂しそう…)
ダイヤ 「千歌さん、少し休みますか?…」
千歌 「大丈夫です!ありがとうございますダイヤさん!今はとにかく悲しんでる場合じゃない…梨子ちゃんの為にも…予備予選をしっかり突破しないと…」
果南 「でも、千歌が無理してたら元も子も無いよ?」
千歌 「大丈夫だよぉ!心配してくれてありがと!」
果南 「…」
果南 (流石の私でも今の千歌が無理してるのわかるよ…今日はもうこの辺でいいんじゃないかな…)チラッ
ダイヤ 「…皆さん、昨日の今日ですしそろそろ終わりに…」
千歌 「だめ!私は大丈夫だから、続けよ?ね?」
ダイヤ 「いやしかし…」
曜 「ううん、果南ちゃんの言う通り、やっぱり千歌ちゃん無理してるよ、今日は大人しく休も?ね?」
ダイヤ 「曜さんの言う通りですわ、このままだと空回りするだけですわよ?」
千歌 「私は…梨子ちゃんのために…絶対成功させて、予備予選突破したいの!だから!」
ダイヤ 「…はぁ…わかりました…くれぐれも無理しないように、みなさんも」
みんな 「はーい」
曜 「…梨子ちゃんの…ために…」
鞠莉 「曜…?大丈夫?」
曜 「ん?大丈夫だよ?どうして?」
鞠莉 「なんでもないわ、それならよかった」
曜 「うん!」
ーーー西木野総合病院ーーー
真姫 「…お母さん…残念ですが…」
梨子ママ 「そんな…なんとかならないんですか?!あの子はまだ若いんですよ?!今、学校楽しいって…ピアノで挫折したのを乗り越えて懸命に生きてるんですよ?!」
真姫 「…すみません…梨子さんのガンは既に末期になってしまっていて…」
梨子ママ 「…つっ…うっ…梨子…梨子…っ…」
真姫 「…本人には…伝えますか…?」
梨子ママ 「…まだ治療も終わってないですよ…まだわからないじゃないですか!」
真姫 「…そう、ですね」
梨子ママ 「私は諦めません!先生!延命治療ってありますよね??お願いできませんか?!」
真姫 「それは…梨子ちゃんの意思を聞いてからにしませんか…私たちで決めていいものではありません」
梨子ママ 「…わかりました…じゃあ…それは私から…」
真姫 「はい」
ーーー次の日の朝ーーー
梨子 「うっ、おぅえっ……頭がガンガンする…朝ごはん…食べられそうにないな…どうしよう…ってなにこれ?!…髪が…枕に…いっぱい…うっ…ううっ…」
梨子 「……どうして…こうなっちゃったんだろう…」
梨子ママ 「…梨子ちゃん…大丈夫?」
梨子 「あ、お母さん!大丈夫だよ…」
梨子ママ 「ご飯…食べてないんじゃない…?」
梨子 「?!い、いや、後で食べようと思って…」
梨子ママ 「…そう…ねぇ、梨子、落ち着いて…聞いてね…」
梨子 「うん…」
梨子ママ 「梨子のガンはね…もう…末期で…」
梨子 「…私、なんとなくそんな気がしてた、日に日にご飯が食べられなくなって、頭が痛くなって、今朝になってみたら薬の作用で髪が抜けて…多分もう長くはないんだなぁーって」
梨子ママ 「…ごめんね…梨子…健康な体に産んであげられなくて…ごめんねっ…」
梨子 「ううん、お母さんは悪くないよ?むしろ感謝してる…いつもありがとう、こんな私をずっと育ててきてくれて…」
梨子ママ 「梨子…梨子ぉ…うっ…」
梨子 「大丈夫、私は大丈夫だから、泣かないで?」
~〜〜〜〜〜
梨子ママ 「…梨子…なんだか大人になったね…」
梨子 「そうかな?」
梨子ママ 「えぇ、ホントに…立派になった…ね」
梨子 「…お母さん…って、そろそろ面会時間終わりだよ?」
梨子ママ 「あら、そうね、梨子なんか欲しいものあったりする?明日持ってくるよ?」
梨子 「あ!それじゃあ…ニット帽と……!」
梨子ママ 「わかったわ、喜んでくれるといいわね!」
梨子 「うん!」
ーーー浦の星女学院ーーー
曜 「おっはよーそろー!」
千歌 「あ!曜ちゃん!ね、見てこれ!」
曜 「あ、かわいい!どうしたの?このシュシュ」
千歌 「梨子ちゃんがみんなにって!」
曜 「梨子ちゃんが…」
千歌 「うん!あ、曜ちゃんのもあるよ!はいこれ!」
曜 「ありがとう!」
ダイヤ 「練習開始しますわよ」
みんな 「はーい」
曜 「千歌ちゃん…」
千歌 「ん?どうしたの?」
曜 「頑張ろうね…!」
千歌 「うん!曜ちゃんも早く来てねっ!」
曜 「うん…!」
鞠莉 「ねぇ、曜、後で話があるからちょっと残ってね?」
曜 「え?うん、わかった」
ーーー練習後ーーー
ダイヤ 「では、明後日は本番です、明日は今日以上に気合い入れて行きますわよ!」
みんな 「おー!」
ダイヤ 「それでは解散!」
千歌 「みんなお疲れ様でした、気をつけてねー!!」
みんな 「はーい」
千歌 「あれ?曜ちゃん、帰らないの?」
曜 「あ、うん、ちょっと、ね?」
千歌 「…?曜ちゃん、待ってようか?」
曜 「いいよいいよ?!遅くなっちゃうよ?帰るの」
千歌 「…今のは曜ちゃんの…よう、と掛けて…」
曜 「説明しなくて…いいから…」
千歌 「…じゃ帰るよー?じゃぁね?」
曜 「うん、また明日」
曜 「それで…鞠莉ちゃん…?急にどうしたの?」
鞠莉 「曜、あなた最近、ちかっちと上手くいってなかったでしょー?」
曜 「うえぇ?どうして?いつも通り仲いいよ?」
鞠莉 「いいえー、曜の表情、最近暗いよー?」
曜 「そりゃあ…梨子ちゃんがあんなことになっちゃって…」
鞠莉 「それだけじゃないはずよ?曜…貴女…梨子にちかっちを取られた気になってちょっぴり、嫉妬ファイヤーが燃え上がってない??」
曜 「うえぇ?!し、嫉妬??私が?そんなのしてな…」
鞠莉 「曜…ぶっちゃけトークしましょ??本音を出さないと、ダメだよ??」
曜 「…私ね、昔っからずーっと千歌ちゃんと一緒に過ごしてきて、小さい頃は離れるなんてこれっぽっちも考えてなかったの。でも、やっぱり大きくなっていくにつれてすれ違っていって…中学生になると私も部活が忙しくて、どんどん話すことがなくなってしまったの。でも、高校生になって、千歌ちゃんが私となにか一緒にしたいって言ってくれた時、すっっごく嬉しかった」
鞠莉 「うん。」
曜 「それでね?千歌ちゃん…私と一緒にやるためにスクールアイドルを始めるって言ってくれて…そしてそれは、私達2人だけのものじゃなくなって…梨子ちゃんが入って、みんなが入って来て、千歌ちゃん楽しそうで…もちろん私も楽しかったし、何より千歌ちゃんが笑顔なのが1番嬉しかった。だけど…」
鞠莉 「だけど…?」
曜 「合宿…終わったあたりから、千歌ちゃん…梨子ちゃんのために頑張るって…私…それを聞いてすごい悲しくって…梨子ちゃん、なんでここに来たんだろうとか思ってしまったの…そして、梨子ちゃんが倒れたって聞いた時もちょっと喜んでしまった自分がいて…そんな自分が嫌で嫌いで、許せなくって…そんなこと思ってたから、私、その報いで梨子ちゃんが病気にかかって千歌ちゃんにも嫌われちゃったかなって…」
鞠莉 「…曜…梨子の件は誰のせいでもないのよ…?」ギュッ
鞠莉 「それに、嫉妬は誰でもするわ…曜だけじゃない、曜は梨子に後ろめたさも感じて…むしろ自分の感情に流されないいい子だと思うよ…でも!そうやって1人で抱えるのはダメよ?」
曜 「…うん」
鞠莉 「それに、ちかっちが曜のこと嫌いになるはずないでしょう?考えすぎよ?」
曜 「そう…かなぁ…」
鞠莉 「そうよ、だって、今までずっと支えられて来たんだよ?嫌いになるはずないと思うよ、2年間思い続けた私が言うんだもん、間違いありません」ニコッ
曜 「…鞠莉ちゃん……ありがとう…話…聞いてくれて…スッキリした…かも」
鞠莉 「どういたしまして!それじゃあ私は仕事に戻るわね?」
曜 「え?まだ残るの?…私も手伝うよ…?」
鞠莉 「大丈夫よ?すぐ終わるわ、それに…待ってる人がいるかもよ?」
曜 「…?」
千歌 「あ!曜ちゃん!何してたのー?」
曜 「え?千歌…ちゃん?帰ったんじゃなかったの?」
千歌 「うーん…ひとりじゃさみしかったから…」
曜 「そっか…」
千歌 「私…忘れてないから、曜ちゃんと一緒にスクールアイドルを作り上げること…まだ途中だけど…今の9人で…成し遂げよ…?」
曜 「?!うん!!」
ーーー西木野総合病院ーーー
梨子 「ゲホッゲホッ…頭痛い……千歌ちゃん達…今頃練習かな…いいな…私…今の私に出来ること…なにかないかな…」
真姫 「あら、お昼寝からお目覚めかしら?」
梨子 「あ、真姫さん」
真姫 「体調は?どう?」
梨子 「まぁ、まだ大丈夫です…」
真姫 「…そうだ、そういえばもうすぐ予備予選じゃないかしら?ラブライブのあなた達も出るの?」
梨子 「でますよ?私抜きでですけど…ってえぇ?!知ってたんですか??私が?スクールアイドルだって!」
真姫 「あ、言ってなかったわね、実はにこちゃ…私の友達がAqoursのファンでね、もちろん私もだけど…あ、実は私も昔、やってたのよ?スクールアイドル」
梨子 「ええぇ?!こんなところでファンの方としかもアイドルの先輩と会えるなんて…」
真姫 「私もよ、こんな形で会えるなんて、ね」
梨子 「それで…グループ名はなんだったんですか…?」
真姫 「μ's…よ、聞いたことあるかしら」
梨子 「…?!!えええええ?!μ'sって、あの、あのμ'sですか?!」
真姫 「そうよ?」
梨子 「すごいです!へぇ…後で千歌ちゃんに自慢しないと♪…あ、前にピアノを引いていたと言ってましたけど…もしかして曲…作ってたんですか…?」
真姫 「そうなる、わね」
梨子 「実は…」
………
真姫 「いいわよ、ただし無理は禁物よ?体調のいい日だけよ?」
梨子 「ありがとうございます!」
ーーー予備予選当日ーーー
ルビィ 「うゆうゅ…緊張してきた…」
花丸 「ルビィちゃん、ふんばるびぃ、ずらっ♪」
善子 「ふっ、この程度で緊張なんてだらしないわね」
花丸 「善子ちゃん…足震えてるずら…」
千歌 「みんな!もうすぐ本番だよ!」
千歌 「梨子ちゃんはいないけど、梨子ちゃんのいるところまで届くように!今、全力で輝こう!Aqours〜!」
みんな 「サンシャイン!!」
"想いよひとつになれ"
"この時を待っていた"
(梨子 「真姫さん…実はお願いがあって…」)
"ふと、気づくと重なり合うよ"
"一途に未来を呼ぶココロ"
(梨子 「私…みんなのために今出来ることを考えてたんです」)
"震えてる手を握って行くんだよ"
"すれ違った後でコッチに振り向いて"
(梨子 「私は今までAqoursの曲を作ってきました」)
"ほらね、ホントは"
"一緒だったよ気持ちはね"
(梨子 「だから、今、私に出来るのはAqoursに曲を残すこと…私のメッセージを残すこと…」)
"何かをつかむことで"
"何かを諦めない"
(梨子 「私が私であるうちに、みんなと輝きたいから!」)
梨子ちゃんが前向きになってきました、Aqoursもまとまって…
それでも時間は迫ってきてしまいます、残された時間でどれだけ梨子ちゃんは残せるのだろうか…