「ねえ、あのデカブツどんどん強くなってんだけど?」
「あの中に聖杯が!」
「力を貸してくれ!ジークフリート!」
結界を出たら、ミツ首の怪獣が巨大化しながらこちらに向かって進んできており、仲間や知り合いがそこで戦っていると知ったら・・・戦う覚悟くらいしちゃうよね?
「変身もうできないし、触媒もスッカラカン、でも!行かなきゃ!いつも優雅に!ボッコボコよ!」
遠坂凛とはそういう人間だ。
「最早これは聖杯戦争ではありません!この戦いを・・・終わらせます!」
聖女とはこういうものだ。
「ジークフリート、あなたの龍殺しの力を!どうか!」
主人公とは得てしてこういうものだ。
しかし、その先で戦っているのはEMIYAであり、人類いや、JINNRUI最高にして最凶の理不尽であったのが運の尽きである。
「封印術式解放!」
現場にたどり着き最初にこの言葉を聞いた遠坂はひたすらに安心と信頼と・・・ほんの少しだが理不尽さを感じた。
「出番は・・・ない、そうなの、そうなのね!」
更に巨大な敵を前に凄まじいまでの魔力を練り上げて行くのを観測したジャンヌは自身が積み上げてきた自信とか、英霊としてのほんの少しの慢心が砕け散り、目の前の光景にただ、祈った。
「ちょっともう、無茶苦茶だとは感じてましたが・・・これは・・・人の、それもたった一人の力なのですか?知名度とか、ルーラー特典とかで強化された聖女と言う名の小娘にはもう聖杯戦争とか無理なんでしょうか!?」
そして、変わって行く、それも個人によって塗り替えられて行く世界を見て、度重なる幸運と悪運でどうにか生きていたホムンクルスは、自身の知る英雄と言うのに似た理不尽さと力強さを思い出し、苦笑いする。
「世界は・・・広いなぁ。」
そう言いながら、自身はこの先どうなるんだろうと言う不安、そしてどうしたらこんな理不尽な者へと至れるのか思案し始め・・・結局、竜になりつつある自分の体を眺めていた。
そんな、彼ら三人のことなど気にもしないでEMIYAはどうしようもなく完璧に、そして完膚なきまでに相手を粉砕し、心を叩き折り、踏み潰した。
この時、此処にいた全員の意見が完璧に一致する。
「「「「「理不尽だ!理不尽なまでに強すぎる!」」」」」
そして、此処にいる間は全知全能の完璧な理不尽はこう嗤う。
「理不尽なんかじゃない、ちょっと切り札が多いだけさ?あと、ほら?人間卒業間近と言うか?卒業済みと言うか・・・まあ、そんな感じだよ。」
こんなえらくフワッとした回答でも、実力が伴えば頷くしか無いのだから世の中は広いのであった。
そう締めくくられた報告書を持って、遠坂凛はゆっくりと時計塔へ向かった。
無双編、終わり。