使徒レリエルが幻想郷に来た理由が明かされるかも・・・?
ではでは・・・
急いで戻らないと!!
前傾姿勢になり、右の靴で地面を勢いよく蹴り上げる。
体を左側へ向け、右手を空に伸ばす。
後方かかえこみ宙返り、つまりバク宙を一発かましてから足をひねる。
一瞬前右手を伸ばしたその空間には何もなかったはずが、とてつもなく疾いスピードで長年ずっと愛用している箒が飛んでくる。
衝撃を吸収する形で膝を曲げて箒に飛び乗り、すぐさま右手を箒の柄をがっしりと握って舵をとる。
帽子を押さえても飛んで行ってしまいそうなくらい加速する。
速く、もっと速く・・・!
体力と魔力ががくんと減っていくのが実感できる。
まだ小さい・・・
二人の姿が少しずつ大きくなっていく。
二人も使徒の高速移動といった異常事態に気づき、戸惑っているようだ。
10、9、8、7、6・・・
「にとりー!奴の、穴野郎の行先はたぶん紅魔館だ!行くぞ!」
「紅魔館~?」
「そうだ!」
5、4・・・
「りょーうかーい!soaring-epuipment起動!」
にとりの巨大なリュックサックが機械音とともに展開される。
コンプレッションストラップが胴をがちっと固定し、中から巨大な金属製のホログラムに輝く翼が開く。
ウィングをひきしぼってはためかせ、にとりが飛び立つ。
「ちょっと待ってくださ~い!!」
椛の声が聞こえる。
3、2・・・
ぼわーんと銅板が歪むような音と共に空間に大きく裂け目が入る。
目玉だらけの空間から紫が顔と腕を半分まで這い出してきた。
「ふが!」
紫が椛の首元を鷲掴みにし、バサッと空に投げ上げる。
箒の頭を左に向け、急旋回しつつドリフトする。
椛のお腹周りを小脇に抱えて空中で大きく回り、進行方向を元に戻す。
1!!!
八卦炉に溜めていた魔力のパワーを箒に流す。
破裂するように加速する。
ごおおと空気との摩擦音が耳をつんざく。
「ねえ魔理沙。」
周囲の轟音のせいでよく聞こえない。
「あの穴の成分、ディラックの海って言ったでしょ?ディラックの海は、3ナノメートルの内向きの結界によって支えられているの!!」
「へええ!結界なのねええ!あのロボットの中にいた男の子はねえ!あれはレリエルって言って、コアっていう弱点があるっていってたぜえええ!!」
「コアがあるのはたぶん穴の中心だよ!でもね、淵の結界に傷をつければ海は漏れ出して形象崩壊するんだよ!」
「じゃあ二手に分かれた方がいいと思うんだぜええ!!」
にとりにいい情報をもらった。
「あんた!速すぎなのよ。勝手においてかないでほしいわね。」
「すまんな霊夢。急いだほうがいいと思うんでな。」
紅魔館まであと少しだ。
「魔理沙さん、私はレリエルじゃなくって紅魔館へ行きます。紅魔の輩が絡んでいる気がするんです。」
「わかった。私たち三人はレリエルを倒しに行くぜ。じゃあ手、放すぞ。」
地面に向かって剣技を打ち込む椛。
光の結晶が舞い散り、衝撃が吸収された一匹の狼が地面に降りる。
巫女が札を取り出し、河童は背中からアーマーを取り出し、魔法使いは八卦炉を取り出す。
「正体が分かればどうってことはないわ・・・」
改めて見てみれば、かなり気持ち悪い外見をしている。
奥があるのかないのかも分からない。
まるでベンタブラックのようだ。
いや、ビッグバン直後の宇宙か。
吸い込んでしまいそうで、また何もかもを見透かされそうなドロドロした妖気が漂う。
影を本体とし、球体を幻影とする使徒。
巫女は札を、魔女は八卦炉を、河童はアーマーを構えて戦闘態勢に入る。
狼は青龍刀を抜き館に踏み込む。
「「「「美しく残酷にこの大地から往ね!!」」」」
***
「なぜ使徒は消えたのか・・・」
全く分からない。
裏死海文書の通りに、ゼーレのシナリオ通りにいくはずならここで倒されるべき存在のはずだ。
使徒が知恵の実を求めて侵攻してくるのだとして、なぜ地下にかくまっているリリスを無視し消えるのだ。
「ディラックの海は消えた。幻影を飲み込み、消えたのだ。」
まるで人の考えが分かるかのように、ゲンドウはそう語る。
「私には訳が分からんのだよ、碇。」
「直にわかる日が来る。第三の月だ。」
第三の、月。
白き月は知恵の実を持ったリリスを生み、人類を生んだ。
黒き月は生命の実を持ったアダムを生み、使徒を生んだ。
「もう一つ月があると?」
「私も最近それを知ったからな。いや知りうるべきではなかったのかもしれない。」
「どうした、お前が後悔をするなんて珍しいじゃないか。」
「違う。絶対に誰にも知られないことが、存在意義なのだ。神秘なのだ。」
この言葉の本当の意味を知るのは少々先だろうな。
「真の人類補完計画が、今から始まる。」
真の・・・か。
「じゃあ今までのシナリオのままだとうまくいかないのか?」
冗談めかして言ってみたが、碇の反応は想像とはかなり違っていた。
「そうだ。今までのは茶番だ。やらねばならないことが増えたのだよ。」
「忙しくなるわけだな。」
「いずれは、かの住民を滅ぼさなければならないな。」
***
でも、放っておくわけにはいかない。
あの二人が闘っているというのに、僕は指をくわえて待つことしかできないのか。
僕には僕のできることがあるはずだ。
ベッドの横にたまたま立てかけてあった松葉杖を手に取る。
この程度の傷なら、今まで何度も何度も負ってきている。
いける、動ける。
ベッドから飛び起き、スリッパを履くのももどかしくぎこちなく数歩歩く。
松葉杖を脇に挟み、出せる限界の速さで外に出る。
使徒はもうだいぶ向こう側へ行ってしまった。
「あっちか・・・遠いな。」
杖の先端が擦れる。
僕は風を切る。
どれだけ歩いたか、もはや頭で考えてすらいない。
だから、それを目にしたときはかなり驚嘆してしまった。
「エヴァンゲリオン初号機・・・」
この世界でこんなに早く出会うとは思わなかったのである。
目の前に横たわったパイロットのいない梅紫色の機体は、魂の抜けたただの台座であった。
だが、それは僕の魂に何かを訴えかけた。
僕の、唯一の場所。
存在意義。
闘エ・・・!
僕の片足は既に希望に突き動かされ、未来へと踏み込まれていた。
幻想郷にはMilitantな連中が多そうではありますね。
僕も生命の実がほしいな・・・
あと「弓と矢」とか、青だぬきポケッ・・・ゲフンゲフン
次の話もお楽しみに!