ゴメンなさい。
今回ちょっとだけ戦闘シーンがあります。
楽しみにね~
ではでは・・・
ガンガンと金属製の戸を粗雑に叩く。
僧は敲く月下の門、なんてお上品な雰囲気は微塵もない。
拳が鉄を殴りつけるたびに眉間のシワが深くなってゆく。
限界点に達しそうだ。
ムズムズした苛立ちを足に込め、一歩後ろに引く。
直後、蝶番が無残にも打ち砕かれる音が響き渡る。
足首が少々痛むのを堪えつつ、蹴破られた門扉を踏みつけ侵入する。
手薄な警備だ。
いや、おかしい。
「紅美鈴、あの中国人はどこへ行った…?」
館の重々しい鉄扉に手を掛け、息を整える。
今更ながら震える右腕を左手で精一杯つねり、扉を推す。
もうウダウダと考える暇はないのだと錆びた音が誇張される。
暗闇が包み込む。
「吸血鬼の家なだけあって薄暗くて薄気味悪いわね。」
一歩また一歩、背中に這い寄る恐怖から逃げるように奥へ進む。
急かされるかのように歩行のスピードが上がる。
「この馬鹿みたいに広い屋敷から、たった一人の吸血鬼を探さないといけない。 」
足早に立ち去りたい気持ちを払拭するかのようにただ前へ前へ・・・
行くはずだった。
「ッ!」
一瞬だった。
右から左へ、何かが視認できない程のスピードで横切る。
刹那、首筋に触れた冷たいものを投擲用のナイフだと認識する。
思考が錯乱する間のタイムラグののち、熱い何かが喉をこみ上げる。
ドロリとした液体が喉仏を伝う。
いくつもの思考が行き交うが、戦闘慣れしているおかげで間合いを取るべきだという最適解を導き出し、なんとか後ろに飛び退く。
右手をいつもの愛刀が収められるべき位置を捉え、抜いた刀を上段に構える。
「血、出てたのね。」
熱くてドロリとした液体が己の体を巡り支える血液だと知り、不覚にも敵に攻撃を許してしまったことを悔やむ。
来い!!
カツ、カツ。
先ほどナイフが飛び出てきた右側の角に全神経を集中させる。
斜め前から堂々としたハイヒールの靴音がテンポ良く聞こえる。
静かに忍び寄るわけでもなく、刻一刻と迫ってくる。
次の瞬間。
誰も、誰の気配もなかったはずの背後から、押しつぶされそうな殺意の気配を感じ、体中が粟立つ感覚を覚える。
「何かと思えば小汚い野良犬ね。」
戦慄以外になんと形容するべきなんだろう。
恐怖が背中から全身に這い回る。
「へぇ、野良犬ね。言ってくれるじゃないの。下婢の分際で。」
決して天狗としてのプライドから出てきた言葉ではない。
今にもガタガタと音を立てて震えそうな歯をギッと噛み締め絞り出した…
見栄だ。
それでも声を上げられたこと自体が奇跡かと思われるくらいであった。
「ふうん・・・面白い。もったいないけど、主の命に従い…」
頤に鋭くナイフがあてがわれる。
耳元で囁く妖艶な声に息を飲む。
「・・・殺す」
まるで時間が凍らされたかのような感覚。
いや、噂にも聞いていた通り実際に時間を止められたのだろうが…
殺さぬようにわざとナイフを掠めさせる射撃能力の高さ。
私の動きを予期した立ち回り。
相手の筋肉を麻痺させるような声のトーン。
時間停止という反則級の能力。
確かに完璧で瀟洒な従者だ。
しかし、しかしだ。
直接的な加害者でなくとも、この「使徒」の襲来には一枚噛んでいると考えてしかるべきなのだ。
現に今、使徒は館に少しずつ接近している。
こんなところで手間取っているわけにはいかない。
それに、仮にも私は哨戒天狗の一人だ。
「誤解よ。信じられないかもしれないけれど、私は使者であって侵入者ではない。先ほどの発言は謝るから刃物を下ろすことね。」
「命乞いかしら。惨めね。」
今だ。彼女の威圧感が少し薄れた気がする。
下げた刀の柄を逆手持ちし、ナイフを弾く。
コンマ1秒後、時を止めようとする彼女の左手を私の左手で抑え込み、肘で相手の胸元辺りを打つ。
懐中時計が床に転がり落ちる。
「ぐっ!!」
天狗独特の風のような俊敏さを生かして一歩距離を取る。
青龍刀を中段から斬りあげ、メイドの喉元に突きつける。
「仮にも自称ただの使者だから、手荒な真似はしたくないの。私もこの剣を下げるから武器を下ろして。」
しばし沈黙が流れ・・・
「理解したわ。話だけは聞いてあげる。」
***
これが親子なのか。
息子が消えたというのに、あの冷ややかな態度はあまりにも…
かわいそうとは違う言い知れぬ感情。
彼には重すぎる荷物を背負わせた挙句、自分は血が繋がってもいないのに強引なことをしてきた。
事務的な保護者として自覚はもちろん、常に罪の意識はないわけではなかった。
にもかかわらずあんな言動は何か深い意味があるから、いやあったとしても信じられない。
ただでさえ翌日から平然とNERVに出勤している自分自身に反吐がでるのだ。
無論仕事に手をつけられるわけもないのだが。
彼はもう死んでしまったのか?
まだ生きて何処かにいるのか?
もしかしたら今この瞬間、苦しみ、もがき、助けを求めながら死んでいったのか?
シュレディンガーの猫のような思考が鎖となって胸を縛り付ける。
マヤも、マコト君も、シゲル君もそうだと信じている。
「葛城三佐、少し話を。」
問題の人物からの一声で我に帰る。
「了解しました、司令。」
形式的な会話を済ませ、スタスタと後に続く。
入り組んだ鉄の要塞の中心へ向かう。
革靴とハイヒールの足音が規則正しく整然と鳴らされる。
重々しいエレベーターのドアがちんと軽快な音とともに開く。
私を先に入らせ、司令が後へ続く。
行き先ボタンを押す…かと思うと、徐に胸ポケットから鍵を取り出す。
「・・・」
何をし始めるのかと思うと、鍵を脇の方にある鍵穴にがちゃりと差し込み鉄のカバーを外す。
中から顔をのぞかせたのは、黄色と黒の縞模様に包まれたグリップがついた重々しいレバーだ。
司令は何の躊躇も見せず、いかにも危険そうなレバーを下におろす。
ブーと無機質な警告音が耳を引っ掻き、昇降機の中がほのかに赤く照らされる。
「まさか・・・」
「CENTRAL-DOGMAの最下層、TARMINAL-DOGMAだ。」
ターミナル・ドグマ。
それは光の巨人たる第一使徒「アダム」が安置されている、誰も入ることを許されない厳重警戒地区。
なぜ今?私が?
状況が全くと言っていいほどつかめない。
カチカチと階層の数を刻む接触音が密室空間での気まずさを倍増させている。
しばらくし、扉の開くガコンという音が場面を切り替えさせ、何重にもプロテクトされたもはや隔壁のようなものが次々と開いてゆく。
「どうしてこの場所へ?」
重々しい口をやっと開いて話したセリフが今の思考を全て物語っている。
目の前に広がる朱色の液体、L.C.Lの大海に、くどい茜色の十字架。
そして磔刑に処された大罪人のような数十メートルにも及ぶアダムの巨躯。
胸には手術のように縫った跡。
顔を隠す紅紫の仮面には趣味の悪い目玉が合計七つ。
下半身は分断され、断面からは明らかに合わない人間サイズの足が何十本も「生えている」。
湿った暗い空気が周りを取り巻き、アダム自身の不気味さも相まって現実とは思えない虚無感がある。
前を歩く司令が突然立ち止まり、手すりに軽く手を預けつつゆっくりこちらに振り向く。
「ここにいるのはアダムではなく、人類の真の生みの親たる第二使徒『リリス』である、と説明しよう。」
リリス。
地球を生命のスープで満たし、人類を始めとする全ての生物を生み出した使徒。
襲ってきた使徒たちは、アダムではなくリリスをターゲットにしていたというのか。
今までの常識がいとも簡単に覆され、状況の飲み込みに時間がかかる。
そこにさらに追い打ちをかけるかのごとく、到底理解できない言葉が司令の口から発せられる。
「これより人類補完計画を破棄し、真の補完を実現すべく『対虚構人類統合補完計画』の第一フェーズを開始する。」
いかがだったでしょうか。
最後意味わからんですかね。
あとやっぱりタブレットで文章打つのは結構だるいですな。
パソコンが一番だべ。
もしかしたら気まぐれでオリジナルの作品書くかもです。
それよりも先に定期投稿しろや!!!って言われそう。
いや自分でも思うなぁ。