今回はシンジ君側です。
ではでは・・・
異変の偵察は、かなり骨が折れそうな予感がする。
そもそも私は異変の解決になんてそんなに深く携わったことはない。
というよりも異変の片棒を担いだ経験のある人間なのだ。
そう、こういうのは咲夜さんが自分で行くものではないのか・・・
ただ、空の穴は刻一刻紅魔館を包み込み始めている。
紅魔館にいる方が危ない。
つまり離れた方が安全かもしれないということだ。
そうすると今度は咲夜さんが心配になってくる・・・
「ああ、もう堂々巡りだ。」
門番として自分ではハードな仕事をこなして来たと思ってはいる。
でも、こんな無茶ぶりは初めてだ。
体力や持久力は紅魔館の中で随一だと自負している。
だから息こそ切れないものの、走って現場へ向かえば向かうほど足取りが重くなってゆく気がする。
紅魔館と博麗神社の中間地点の辺りに差し掛かる。
とりあえず誰か事情を知ってそうな人間はいないか?
「ん?」
何だあれは。
空の闇のせいかかなり暗く黒ずんで見えるが、くすんだラベンダー色の・・・巨人?
大きく横たわった巨人は9等身もの細身の体だが、適度に頑丈な筋肉をつけ、がっちりと全身を鎧で固めている。
よく見ると角まであるではないか。
「鬼のヤツか?」
ダッシュで駆けつけ、巨人の肩の辺りまで来る。
そっと触れると、冷たい金属のようであり、一方で柔軟に変形する奇妙な材質でできていることがわかった。
「何かしら、コレ」
怪しげな物体を舐め回すように見つめ、周囲を回ろうと歩き始める。
だが、足はほんの数歩で止まってしまった。
「人の気配!!」
気を使う程度の能力。
背後から近寄ってくる人間の気配が首筋をそっと撫でる。
少年だ。
14,5歳の男の子が頭に包帯を巻き松葉杖で歩いてくる。
自然と構える。
向こうはまだ気づいていない。
今が奇襲のチャンスだ。
異変の首謀者に間違いないだろう。
間合いはおよそ200メートル、走れば3秒だ。
3、2、1、
「う、うわああ!?誰?」
「貴様、異変の主犯か。」
口ではかっこいいことを言っているが、心の中ではもしかしたらあんな巨大なエネルギーを生み出した張本人かもしれない人にケンカを売れていることに驚きつつ、何よりも恐怖が蔓延っている。
しかし、その少年から帰ってきたのは素っ頓狂で意外な一言だった。
「僕、どっちかというと・・・異変の被害者、というか」
は?
こんなにも粗雑で信頼性の欠ける言い訳がこの世に存在するだろうか。
一体どうするつもりなのだろうかと思っていると、説明するべきであろう事を一個一個追いながら口に出している。
「あの穴は使徒と言います。僕は別の世界でこれに乗って使徒と戦っていた時に飲み込まれ、気づくとここに落ちていたんです。」
情報収集の為だと自分に言い聞かせつつ、好奇心に突き動かされてつい聞いてしまう。
「ワープホールって事?」
「はい、そうです。」
「この巨人は?」
「エヴァンゲリオン、です。あ、これは私たちの味方です。あの使徒を倒すために今から乗り込もうと思っていたんですが・・・」
はっきりと言ってかなり信頼できない。
しかし、落ち着いて考えると、あの穴を消すことができるものが果たしてあるのかと聞かれればはいとは言えない。
確かに霊夢さんは異変解決のプロだ。
場慣れしているし、頭もいいし、何よりも博麗の巫女という特殊な地位がある。
しかし、あれほどまでに巨大な異変は前代未聞だ。
このエヴァンゲリオンとやらが助力になるのならそれはかなり心強い。
助力になれば、の話だが・・・
とにかく、今のまま放置するのは最悪の選択だ。
「賭けるわ。」
「え?」
「あなたの話、まだ全然信用できないけれど、あの使徒とやらを消さなくちゃいけないのは絶対。だからあなたに賭ける事にしたのよ。」
「でも、もし裏切ったりしたなら、幻想郷があなたに制裁を与えるわ。」
背筋がぞくっとする。
武者震いというものか。
「私、紅美鈴。あなたは?」
「僕は、碇、シンジです。」
「じゃあ、よろしくお願いするわね。」
「こちらこそ!」
***
メイリンさんに担がれ、何とか初号機のうなじに這い寄る。
持ち前の臆病さで何回も
「大丈夫ですか。」
と聞き、何回も
「私、体力だけが自慢だから!」
と言われた。
その言葉が彼女自身を鼓舞するためではないと言い切れはしないが。
複雑に突起が組み合わさった躯体に登りつめ、既に誰かにこじ開けられたエントリープラグに入り込み、緊急電源を内部から手動で接続する。
不幸中の幸いというべきか、つい先ほどまでアンビリカルケーブルから給電していたおかげで、活動限界まではあと4分だそうだ。
最近改装されてまだ違和感の残るグリップハンドルを操作し、初号機を起動。
ガウン
シュイーン
機械音が響く。
トーンがみるみる上昇していき、脳天を突き破って中に意識が流れ込んで行く感覚。
僕が僕じゃなくなって、
僕が溶けていって、
この堅苦しい肉体を脱ぎ捨てて、
一つになって、
僕が宇宙になる感じ。
まぶたを開け、潜在意識に語りかけるように映像がインプットされる。
エヴァの眼は、今僕の眼だ。
目の前に広がる丘がちな平原。
ヴューポイントがぐんと上がる。
150mといったところか?
なだらかな地形が多いのか、かなり遠くまで見渡せる。
神社、集落、洋館、屋敷・・・
ニッポンの原風景に近い。
「急ぐぞ!!」
周りの、お世辞にもまともとは言い難い方々だって人間だ。
僕を助けてくれた。
僕に居場所をくれた。
肩の装甲からプログレッシブナイフを出し握りしめて眼前に突き出す。
覚悟が決まり、カラダ中から闘志が湧き出る。
使徒と、僕のテキと、かたをつける!
いかがでしたでしょうか・・・
物語が遅々として進まないのは置いておいて。
次は早めに出せると思います。
思います。