申し訳ないっ!
実生活が多忙を極めてまして・・・
ではでは・・・
「私の・・・せいだ・・・」
紅魔の主は回転いすに座り、こちらに背を向けながら小さくそう言った。
うわさに聞くレミリア・スカーレットはカリスマと威厳に溢れるリーダーであるが、そんな面影はサッパリ無く、ただ恐怖に怯える少女であった。
数分前。
「お嬢様は館を守れとおっしゃったわ。」
メイドの目は切れ長で、常に冷静に見える。
あまりいい出迎えではなかったが、武器を渡すことを条件に案内してもらえるだけまだましか。
「お嬢様の命はぜっ・・・って聞いてる?」
「ああ、はい。」
常に冷静と言ったが、それは間違いかもしれない。
レミリア「お嬢様」のことになるとめっぽうダメなのだろうな、と思う。
吸血鬼の嫌う日光を完全に排除しているためか、不健康かつ不気味極まりない屋敷である。
しばらく歩くと、大広間に出た。
ひときわ大きく荘厳なオーラを醸し出している扉が奥に見える。
「ここよ。」
天狗の中でも三下な私が、幻想郷の中でも強大な力を持つ吸血鬼の長と対面するというのはなかなかに貴重というよりも非現実的な話である。
普通だったら緊張するのだろうが、今は幻想郷終焉の危機というさらに非現実的なリアリティを突き付けられているせいで、感覚がマヒしているのか驚くほど緊張はない。
「ヘタな真似したら、貴方・・・」
声の方を向くが、そこに人影はない。
ポンッと肩を後ろから叩かれる。
「どうなるかわかってるわよね?」
小さく笑みを含んだ声で囁かれる。
「ああ、はい。」
究極の生返事である。
メイドは音もたてず移動すると、ドアノブに手をかけ引き、小さく頭を下げる。
「どうぞ」
若干小股で入る。
主と思しき少女は思いのほか小柄で、向こう側を眺めている。
何から話すべきか・・・
二回ほど深呼吸をしてから話を始める。
「異変の件、ご存じですよね?」
「・・・」
「あの使徒とやらは、紅魔館に向かって移動しているそうですが。」
「・・・」
問いかけても返事はない。
空気は限りなく気まずくなっている。
あの、と声をかけようとしたとき、レミリアは小さく言った。
「私の・・・せいだ・・・」
やはり、とは思ったが、それ以上にその声のかぼそさに驚きが隠せない。
「お嬢、様?」
メイドは心配そうに声をかける。
「私には、貴方たちに謝る資格すらない。」
声に嗚咽が混じっている。
「うっ・・私、わたし・・・」
必死に涙をこらえているようだ。
何かしら事情はあるのだろうが、泣いているだけではサッパリわからない。
メイドはハンカチを片手に小走りで駆け寄り、まるで子どもをあやすかのように慰め始めた。
なぜこんなものに付き合わされているのか・・・
なぜか私が泣かせたかのような雰囲気になってしまい、きまりがわるい。
メイドが勢いよくこちらに振り向き、よくもお嬢様を泣かせたなと言わんばかりににらみつける。
理不尽である。
「いいのよ、咲夜。私の初動が間違っていた。私が皆に説明する。」
メイドを小さく手で制し立ち上がると、こちらに向き直った。
ホライズンブルーの髪が揺れる。
背中から生えた「チスイ」コウモリの羽は、座っていてわからなかった分想像以上に大きく、唇の端から顔を覗かせている牙も、この少女を吸血鬼たらしめている。
こちらに一歩一歩確かに歩きはじめた。
「初めまして、レミリア・スカーレットよ。さっきは見苦しいところをみせてごめんなさいね。」
上品なカーテシーとともに挨拶され、洋式の礼儀作法を知らない私は少々焦ったが、素直に深々と礼をして身分を述べた。
「犬走椛と申します。異変の解決で手が離せない博麗と霧雨と河城に代わり、お伺いさせていただきました。」
小さな主は応接用のいすに座るよう促す。
「どうぞ?」
失礼します、と小声で言い、静かに席に腰を掛ける。
レミリアもまた向かいの席にゆっくり着き、おもむろに話し始めた。
「使徒の狙いはフランよ。私は今まで、あの子のことは秘密にしていた。」
フラン、というと、レミリアの5つ下の妹だったか。
私は風のうわさでしか聞いたことがない。
確か、気が触れていて監禁されていただとかなんとか・・・
「私がフランを結界の外に出してしまったせいで、外の世界の使徒が『ニオイ』を嗅ぎつけて幻想郷まで来てしまった。」
なんで彼女の妹が標的にされているんだ?
そもそもあの巨大な穴は何の目的で来たんだ?
「一から説明するわね・・・」
***
太古の昔。
この地球に白き月が落下した。
そして、白き月と共にこの地球に降り立ち生命の実を食したアダムは、14体の使徒を生み出した。
使徒たちは自らの実を制御するためのカシウスの槍を使い、活動を始める。
はずだった。
それらは黒き月の落下の衝撃によって阻まれ、活動を停止する。
これが、後々ファーストインパクトといわれる物だ。
そしてこの時、黒き月から分裂し、現在地球の衛星軌道上にあるのが、月である。
黒き月と共にやってきたのは、知恵の実を食したリリスであった。
リリスはカシウスの槍と共に地球を生命のスープで満たし、地球上の様々な生物、そしてヒトを生み出した。
ヒトは、白き月に隠された裏死海文書を解読し、使徒と母なるアダムが接触すると、使徒が完全な生命体となることを知る。
そして近々使徒たちが眠りから覚めることも。
ヒトはアダムを卵の状態まで戻し、使徒から隔離することを決める。
しかし、計画は頓挫。
アダムが覚醒し、セカンドインパクトが発生する。
アダムの肉体と魂の破片を回収したヒトは、アダムの替え玉としてリリスをおき、その周辺を要塞化した。
また、アダムとリリスの複製であり強大な力を持つエヴァンゲリオンにより要塞を徹底的に防御することを決める。
そして、すべての使徒を抹殺して原罪を晴らし、究極的には人類を補完することを目標とした。
時に、西暦2015年
使徒たちは長い眠りから覚め、裏死海文書の予言の通り、アダムとの接触を試みる。
それがアダムの影武者となったリリスとは知らずに。
ヒトは第11使徒、イロウルまでは順調に活動停止に追い込み、サードインパクトを防ぎ続けた。
そう。
イロウルまでは。
月は、二つだけじゃない。
紅き月。
その周辺部は、現在博麗大結界によって外界から隔離され、幻想郷となっている。
幻想の実を食した、言うなればi番目の使徒であるフランドール・スカーレット。
レリエルはその存在を察知した。
レリエルは、フランドール・スカーレットを取り込み、三つのうち二つの実を併せ持つ半完全生命体となり、知恵の実を得る足掛かりにしようとした。
***
「私は、永遠に紅い幼き『月』・・・」
ため息交じりにそう言うと、椅子から立ち上がり、スペルカードを一枚抜いた。
「私にできることは、この槍を使うことだけ。」
先ほどの情けない顔とは打って変わって、決意がみなぎっている。
声は力を含み、迷いはとうの昔に忘れてきたようだ。
カードを前に出す。
体を紅いオーラが包み込み、地面は音を立てて揺れる。
これこそが、神に等しきチカラ。
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
なんか説明パートチックになっちゃたなぁ・・・
次回、早く投稿できるよう善処します・・・
筆が遅いの改善したい!